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第412話 獣人生活 16 獣人生活の終わり

 体育の授業が終わり、放課後になった時に変化は起きた。

 全員の身体が光り出し消えると全員が元の姿に戻るのだった。


「元の姿に戻った、ゴリラのパワーも気に入ってたんだけど、やっぱり人間の姿が一番だね」


「私としては帰る前に戻れて良かったよ、まあ、羊のツノとお別れなのは少し寂しいけど」


「キツネの耳と尻尾、結構気に入ってたのでもう少し戻らなくても良かったのですが、残念ですね」


「私はこのタヌキさんの尻尾を抱き枕みたいにして寝てみたいなって、思ってた」


 それぞれが気に入っていた事を言うがそれは真理亜達だけではなかった。


「せっかくエリーちゃんと同じワニになれましたのに、できればエリーちゃんにも同じワニになったわたくしの姿を見せたかったですわ」


「透明化できる力、もっと使ってみたかったな」


「ふふ、長い腕、結構気に入ってたんだけどな、残念」


 獣人の姿が当たり前だったのかそれぞれ気に入っていた部分があり名残惜しいと感じる子は多くいるのだった。

 それから放課後になり皆が帰って行く。


「リズ、お前も元に戻ったんだな」


「はい、元に戻れて本当に良かったです」


 レイアはリズと一緒に帰っている。

 そしてリズは獣人から元に戻った事を心底喜んでいる。


「お前、確かブラキオサウルスだったか?」


「はい、ブラキオサウルスです、首が長くなっていて驚きましたよ」


「英語の授業でお前が来ていなかったから気になっていたが代わりの英語の先生から事情を聞いて、大変だなと言う感想が素直だったよ」


 ブラキオサウルスの獣人になっていたリズは今日は授業は一度出ていないのであった。

 その理由はブラキオサウルスは首が長い恐竜である。

 首が長いからこそリズの首が物凄く長くなっていたのである。

 見た目は妖怪のろくろ首みたいな感じであった。


「首が長いからそのままでは教室に入れませんし、首をかがめて入ったらそれはそれで」


「授業がやりにくいな、そもそも黒板に手が届くのかって感じになるし」


「おかげで今日は授業ができずにずっと外にいましたね」


「さすがにその首の長さじゃな、そう言えばキリンの獣人になっている子もいたが、そっちは子供だから普通に授業を受けられて良かったけどな」


「私は大人なので無理でしたね、保健室の佐藤先生も今日は誰も来なくて暇だったそうなので一緒にお話ししてました」


「獣人だから身体の硬さも頑丈でケガをする子がいなかったんだろうな」


 こうして清涼女子学園獣人化騒動は幕を閉じるのだった。


 次の日、いつものように皆が楽しく喋っていると教室のドアが開き出て来たものに全員が目を見開く。

 

「おい!! 亜子はどこだ!! 出て来い!!」


 そこには制服の上に軍服をマントのように羽織り軍人帽子を被った梓美が腕を組み怒りの形相をしていた。

 しかも彼女の下にはウサギのマークがついた戦車があり彼女はその上に立っている状態だった。


「梓美、一体何があった?」


 色々ツッコみどころがある梓美を見て皆が聞きたい事を沙月が聞く。


「ああ、昨日の事だ」


 梓美は怒りの形相のままに沙月の問いに答えるのだった。

 

~梓美 回想~


 獣人化が終わり梓美が帰ろうとしていると彼女に声を掛けて来た子がいるのだった。


「ねえ、南条さん」


「ん? どうした?」


「えっと、ごめん、何でもない」


「・・・・・・何だったんだ?」


 話し掛けて来たかと思ったら何も言わずに去って行く子を不思議に思いながらも梓美は帰りの準備をするのだった。

 しかし、そこから何人かが梓美に声を掛けるが何も言わずに去って行く。

 

「なあ、一体どうしたんだ? 私に話し掛けて来たかと思えば何も言わずに去って行く、気になって仕方ないんだが」

 

 気になった梓美は次に声を掛けて来た子に問い掛けるのだった。


「結城さんが言ってたの」


「亜子が?」


「うん、結城さんがウサギは寂しいと死んでしまうから、ウサギの獣人になった南条さんも本当は一人で寂しいんだよとか言ってて、それで」


「・・・・・・そう言う事か」


「な、南条さん?」


「ああ、心配しなくても大丈夫だ、私は寂しくもないし気を遣わせてしまって申し訳ない、すまないが私は急いで帰らなければならないので失礼させてもらうよ」


「う、うん」


 梓美は見た目は笑っていたが絶対心は笑っていなかった。


~梓美 回想 終~


「私がぼっちで寂しいだと? ふざけやがって、亜子の奴ぅー!! 亜子、どこだー!! このラビット戦車でぶっ飛ばしてやる!! ラビットミサイルぶっ放してやる!!」


「何でウサギが英語で戦車が日本語なんだよ!?」


「そんな事どうでも良いだろ? それより亜子はどこだ!!」


「亜子なら今日家族と一緒に動物園に行くって言ってたぞ」


 梓美の問いに沙月が答えると周りの皆もうんうんと頷く、それを聞いた梓美はさらに怒りを露わにする。


「亜子ー!! 精々今のうちに動物園を楽しんでおけ、最期の思い出をなぁ!! 帰って来たら覚悟しておけー!!」


 梓美の姿を見て皆は思った。

 ウサギは孤独死しない生き物だと。


~side 亜子~


「ぶえっきしっ!! うぅ、急に寒気が」


「ちょっと亜子、大丈夫?」


「うん、大丈夫、あ、あずみんのお土産この大きなウサギさんのぬいぐるみにしよう」


 家族と動物園に来ていた亜子はお土産コーナーで一番大きいウサギのぬいぐるみを手に取って梓美の機嫌を取ろうとするのだった。


 


 




  




読んでいただきありがとうございます。


獣人生活が終わりました。


面白ければブクマと評価をよろしくお願いします。

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