第408話 獣人生活 12 獣人スポーツ 7
「水橋さんですって!?」
奈木の正確性のスパイクを花音がレシーブで拾った事に驚く茜。
「獣人になって運動できるようになったから、今回は私も役に立てるよ、真理亜ちゃん」
「うん、真央ちゃん」
「ああ、ふんっ!!」
レシーブで拾ったボールを真理亜がトスをして上げて真央がスパイクを決めて点が入るのだった。
「完全にがら空きの場所に打ったし、ミーシャちゃんが反応できなかったはずなのに」
「針ヶ谷さんは完璧にこなしましたわ、それなのに何故水橋さんが?」
「やはり、そういう事ですね」
「五十嵐さん?」
奈木と茜が疑問に思っているが唯は何かの確信を得ているようだ。
「花音さん、足が速いんですよ」
「どう言う事ですの? 水橋さんは鳥の獣人では?」
茜の問いに他の子達も同じ疑問を思う。
花音は羽が生えているので鳥の獣人である事は間違いない。
ただの鳥なら唯の言うように足が速いのはありえない。
ただの鳥なら。
「なら、もう一度スパイクを打ってください、今度は花音さんと逆サイドの方に」
「え、ええ、わかりましたわ」
試合は進み真央達の攻撃を奈木がレシーブで拾う。
「加藤さん、五十嵐さんに言われた場所に」
「オッケー!! おりゃー!!」
唯の言うとおりに彩音は花音とは逆サイドのがら空きの場所に思い切りスパイクを打ち込む。
「うおおー!!」
すると逆サイドにいたはずの花音が物凄い速さでボールに追いつきレシーブの体勢に入るのだった。
「沙月ちゃん」
「よし、ミーシャ」
「うん」
沙月のトスをミーシャがスパイクを打ち点が入る。
「嘘、花音ちゃん私のスパイクに追いついたよ」
「やはりそうでしたか、あの羽の形を見てもしやとは思いましたが、花音さんはダチョウの獣人です」
「ダチョウですって?」
「ダチョウって足が速い鳥だっけ?」
彩音の言葉に唯は頷く。
「ええ、飛べない代わりに足が物凄く速い鳥ですよ」
「なるほど、ダチョウなら確かに鳥の獣人であの足の速さも納得ですわね」
「それで、何か対策はあるんですか?」
「問題ありませんわ」
友里子の問いに茜は余裕な態度を示す。
試合は進み真央達にチャンスボールが上がる。
「ふっ!!」
真央がスパイクを打つ。
「良いぞ、上手くがら空きの場所に打ち込んだ」
「あら、相沢さん、喜ぶのはまだ早いのではなくて?」
「何?」
「わたくし達のチームには足の速い者はおりませんわ、しかし」
がら空きの場所にボールが落ちる瞬間何か細いものが当たりボールが上に上がりそのまま茜がスパイクをして決める。
「その代わり、腕が届く者はおりますわ」
「ふふふ」
ボールを拾ったと思われる子は不気味に笑う。
不気味な感じに笑うのはオカルトクラブに所属している湯上めぐるであった。
「何だ、あの腕は?」
真央はめぐるの腕に注目する。
何故なら彼女は普通に立っているのにその腕は地面に着くほど長かったのだ。
読んでいただきありがとうございます。
花音は鳥は鳥でもダチョウでした。
そしてめぐるがなった獣人は次回です。
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