第406話 獣人生活 10 獣人スポーツ 5
「おーほっほっほ!! ついにこの時が来ましたわね」
時間的に次が最後の試合になる。
そして真央達の前には高らかに笑う茜の姿があった。
「最後の最後で茜と戦うのか、何故か激戦の予感がするんだよな」
茜の姿を見ながら溜息交じりに言う沙月なのであった。
「とにかく、試合開始だな」
時間的に最後の試合が始まるのだった。
「加藤さん、お願いしますわ」
「私に任せなさい、うおりゃー!!」
彩音が思い切りスパイクを打つがミーシャが反応してレシーブで拾う。
「真央ちゃん」
「ふっ!!」
真理亜がトスを上げて真央がスパイクを決めて先取点を取る。
「さすがですわね、なら次はこちらがいきますわ」
「よし行くぞ」
沙月がサーブを打つ。
「よーし」
沙月の打ったサーブを彩音がレシーブで拾う。
「わたくしのチームのアタッカーは加藤さんだけではありませんわよ、さあ、お任せしますわ」
「はーい」
茜がトスを上げるとその人物がスパイクを打ち点を入れる。
「やりましたわ」
「イエーイ」
茜とハイタッチをするのは学園祭でクラス全員分のメイド服を作った針ヶ谷奈木である。
彼女はクジャクの獣人である。
「今のスパイク、完全に僕達の隙を正確に狙ったな、まるで狙撃手のような正確性だった、獣人による身体能力だけじゃないな」
「さすが宇界さんですわね、針ヶ谷さんのスパイクはあなた方の隙を正確に狙えますわよ、針ヶ谷さん、もう一度見せて差し上げなさい」
「りょうかーい」
再びトスが上がると奈木が飛ぶがそれと同時に沙月とミーシャも飛びブロックに入る。
「ここだね」
奈木がスパイクを打つと沙月とミーシャのブロックを抜きかつ誰もいない場所に打たれて点が入る。
「はっはー、どうよー」
奈木がⅤサインをする。
「おーほっほっほ!! 加藤さんのパワースパイクと針ヶ谷さんの正確なスナイパースパイクのお味はいかがかしら?」
「そんなスパイク聞いた事ないぞ、彩音はゴリラの腕だからパワーがあるのはわかるが、クジャクってスナイパーみたいな要素あったか?」
「沙月さん、お忘れですか?」
「ん?」
唯の言葉に沙月の頭に?マークが浮かぶ。
「奈木さんの趣味は何ですか?」
「何だいきなり、奈木の趣味は色々な衣装を作る事だろ・・・・・・はっ!! ま、まさか」
唯の問いに答えた沙月は何かに気づく。
「そう、奈木さんの趣味は色々な衣装を作る事、それはミシンなどの機械で縫う事もあれば手で縫う事だってあります、その時に必要な要素がありますよね?」
「針の穴に糸を通す」
「その通りです」
沙月の答えに正解と言うように指をつきつける。
「なるほど、そういう事か、小さな針の穴に糸を通すように僕達の小さな穴を正確に打ち抜いてボールを通したのか、なるほどスナイパー要素はクジャクではなく奈木本人が元から持っていた素質か、それが獣人となって上がった身体能力で立派な戦力の一人となったのか」
「小さな針の穴に糸を通すなんて私にとっては朝飯前だよ」
「さあ、あなた達にこのパワーとスナイパーを止められますか?」
「茜の奴、余裕そうな顔してるな」
「確かに彩音のパワーと奈木のスナイパー、色々な攻撃方法を持っている者がチームにいれば戦略の幅も広がる、だが奈木の方は既に攻略法はできている」
「まあ、それしかないか」
再び試合は始まり奈木が再び真央達の小さな穴をつきスパイクを打つ。
「頼む」
「うん」
真央の指示でミーシャが動き奈木のスパイクを拾う。
「あり?」
「小さな穴に正確に通せるなら攻撃範囲は一つに絞られる、ミーシャならそれだけで反応して対応するには十分な時間だ」
「よっしゃ、いくぜ」
沙月がスパイクを決めて点が入る。
「さすがにそう何度も決めさせてはくれませんわね、ですが、わたくし達の攻撃がスパイクだけと思ったら大間違いですわ、さあ、お願いしますわ」
「ええ」
試合は続き次は茜チームのサーブとなるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
獣人になれば運動が苦手な子もできる子に早変わりです。
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