第404話 獣人生活 8 獣人スポーツ 3
次の試合が終わり再びコートを移動して次のチームとの試合が始まるのだった。
「次も何か一癖ありそうだな」
次のチームを見て沙月が言う。
相手チームには城ケ崎茜の側近、赤崎八重、青山凛、黄瀬雅美の三人、通称三羽烏と呼ばれている。
でも彼女達は三羽烏だけどハイエナの獣人である。
試合が始まり真央がサーブを打つとそれは一瞬の事だった。
「マジか」
「すご、い」
沙月とミーシャがそう口にする。
真央がサーブを打った瞬間、雅美がレシーブを凛がトスをして八重がスパイクを打ち点を入れる。
それを全く無駄のない早い動きで行ったのだった。
「超速攻だな」
「ああ、見事な連携だ」
「我等は茜様を支えるために選ばれた者達だ」
「これくらいの事ができなくて茜様の側近など務まるわけがない」
「茜様のただのお飾りだと思わないでいただこうか」
その後も八重達の猛攻は続く。
「ふっ!!」
真央がスパイクを打つと今度は八重がボールを拾い雅美がトスをして凛がスパイクを打って点を入れる。
「スパイクを打つのが私だけだと思った?」
「だとしたら考えが甘すぎるわ」
「私達三羽烏は例え誰かが倒れたとしても他がその役目を補えるように一通りの事はできる」
「これが城ケ崎三羽烏の実力だよぉ、今まで特に目立たなかったけどここに来てようやく日の目を見る時が来たんだねぇ」
真央達の試合を隣のコートで見ていた亜子がうんうんと頷く。
「何でお前が得意げに言ってんだよ、別のチームだろ」
その隣では梓美が呆れた感じに言う。
ちなみに亜子は猫の獣人、梓美はウサギの獣人である。
「んー? だって私特に出番もないし」
「だからって余所見していいわけないだろ」
「じゃあ、あずみんとイチャイチャしようよぉ」
言って亜子は梓美に抱き着く。
「ええい、離れろ!! お前何なんだ今日は、やたら過剰に接して来てるぞ?」
「えー、だって、ウサギは寂しいと死んじゃうんだよ?」
亜子は真顔になってウサギの獣人になった梓美にそう言うのだった。
「いや、私ウサギの獣人だけど本物のウサギじゃないし、ていうかウサギは寂しくても死なないって前に私に教えただろ?」
「そうでした、てへ」
「何か腹立つな」
「二人共、目の前の試合に集中して」
「あ、すみません」
「申し訳ない」
注意された亜子と梓美はその人物に謝罪する。
二人を注意したのは野球クラブのエースピッチャーをしている藤林梨絵であった。
「さあ皆、この試合勝つよ」
梨絵の言葉に全員が試合に集中する。
「さすがだね、こっちも負けずに行くよ」
「おおー」
「頑張るよー」
「やってやるわ」
少女の言葉に晴香、英美里、聖奈が返事をする。
声を掛けたのはサッカークラブのエースストライカーをしている桑原楓であった。
梨絵達の相手をしているのは楓達でありお互いに一歩も引かない試合をしていた。
「マズいな、あの三人息がぴったりで隙がないぞ」
一方場面は戻ってこちらでは真央達が三羽烏のチームプレーに苦戦をしていたのだった。
「仕方ない、こうなったら相手が予測できない事をするしかない、頼むぞ」
それから試合が続き三羽烏の一人雅美がスパイクを打とうとする。
「よし、行け」
真央の指示で雅美が打ったスパイクが拾われる。
「え!?」
スパイクを打った雅美は驚く。
しかしそれは自分のスパイクが受け止められた事ではなくそれをとめた人物に驚いたのだ。
それは八重と凛も同じだった、何故なら。
「えい」
それを止めた人物は真理亜だった。
読んでいただきありがとうございます。
次回、真理亜が大活躍するかもしれません。
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