第403話 獣人生活 7 獣人スポーツ 2
試合が終わったためローテーションで隣のコートに移動して次のチームと相手をする。
「次も中々の強敵だな」
真央の見ている先には次のチームがいてうち二人は運動会の騎馬戦で真央と正面から戦った砲丸投げクラブに所属の方丈理子と空手クラブに所属している明石伊吹であった。
ちなみに理子はトラの獣人で伊吹はネズミの獣人である。
「こうして再びあなたと戦える事に喜びを感じています」
「いつぞやの騎馬戦での借りを返させてもらうよ」
「ああ、受けて立つぞ」
「おー、何か熱血スポーツ漫画とかでよく見るにらみ合って火花が飛び散っているのが見える気がする」
熱血スポーツ漫画みたいな展開になりながらも試合は始まるのだった。
「はっ!!」
理子の激しい音を立てたスパイクが響く。
「ふっ!!」
今度は真央が激しい音を立てたスパイクが響く。
「さすがだね」
「お前もな」
真央と理子はお互いに笑みを浮かべる。
その後も真央と理子のスパイクが決まっていく。
⦅か、カッコいいー⦆
そんな二人のスパイクを見てほかのコートの子達が見とれているが当の本人達は気づかずに攻防を繰り広げてるのだった。
「やっぱり一人じゃ無理があるか、でも」
「私がいますよ」
真央が打った方向にはすでに伊吹がいてボールをレシーブする。
それが再び理子に渡りスパイクを打って点が入り理子達がリードする。
「一対一の戦いに集中しすぎたか」
「どんどんいくよ!!」
伊吹との連携で理子は再びスパイクを完全にがら空きの場所に打ち込む。
「だが、頼れる仲間がいるのはそっちだけじゃないぞ」
そう真央が言うとがら空きの場所にいつの間にか人が現れレシーブする。
「嘘、完全にがら空きだったのに、って」
「なるほど、彼女なら届きますね」
ボールを拾ったのはホワイトタイガーの獣人になっていたミーシャだった。
「真央」
「ああ」
ミーシャのレシーブに気を取られている隙をついて真央がスパイクを叩き込み点を取るのだった。
「真央、ナイ、ス」
「ミーシャもナイスレシーブだ」
そう言って二人はタッチをする。
「なるほど、田村さんがいたか」
「彼女は元々反射神経が異常に高くおまけに獣人になって身体能力はさらに上がっていますからね、反射速度もいつもより上がってますね」
「けど、諦めたわけじゃないでしょ?」
「当然です」
「なら、行こう」
「ええ」
「どうする? あの二人さらにスイッチ入ったみたいだけど」
「面白くなって良いじゃないか」
沙月の問いに真央は笑って答える。
「ミーシャ、力を貸してくれ」
「うん、わか、った」
スイッチが入ったのは理子と伊吹だけではなかった。
その後も両チームの攻防が続くのだった。
「とうとう向こうのマッチポイントか」
「ですが、まだ負けたわけじゃありませんよ」
「そうだね」
「真央」
「どうした?」
「わからない、けど、ここ、で、決め、ないと、この、試合、ずっと、つづ、く、気が、する」
「ああ、僕もそう思う、だからこれで決めるぞ」
「うん」
理子と伊吹の勢いをつけさせないためにも真央はここで勝負を決めるつもりのようだ。
そして真央達にチャンスボールが来る。
「よし真央、これで決めろ!!」
沙月がトスを上げると真央がジャンプしてスパイクを打つ体制になると理子もジャンプして真央の前に壁となる。
(さっきの試合で宇界さんが打つのはスパイクとループ、でもその体制ならスパイクしか打てない)
「なるほど、僕がスパイクしか打てない体制になってからブロックに来たか、だが」
真央がスパイクを打つと理子の手にボールが当たる。
「ぐうっ!!」
しかし真央のスパイクは理子の手を弾いてそのまま地面に落ちるのだった。
「やれやれ、参ったよ、何て威力だ」
「まさか、力で強引に押し切るとは」
「真央、やった、ね」
「ああ」
真央とミーシャはタッチをする。
こうして真央達の勝利でゲームセットとなるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
因縁の対決再び、でした。
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