第401話 獣人生活 5 うずく子達
最初は不安もあったが違和感がなかったおかげか今では全員がいつも通りに過ごしていて現在給食の時間でお昼を食べているのだった。
「いやー、一時はどうなるかと思ったが、意外とどうにかなるもんだな」
「私も今じゃドラミングする事に慣れたよ」
それぞれが獣人の身体に慣れてきたので残すところは体育の授業だけである。
今日は体育の授業が二時間連続であるので最後に運動してから今日の授業は終わりを迎えるのだった。
「ウホー!! 何だかよくわからないけど、早く動きたくてうずうずしているウホ!!」
彩音がいつも以上にドラミングをして言う。
「落ち着けよ、語尾もウホになってるし」
興奮している彩音を沙月が落ち着かせようとするが何やらいつも以上に様子がおかしい感じがするのだった。
「真理亜、どうしたんだ?」
「うん、何でかわからないけど、今すぐ動きたくて仕方ないって感じるの」
そう言うと真理亜のタヌキの尻尾が激しく動いている。
「私も真理亜さんと同じですね、見てください、尻尾がこんなに興奮して動いています」
見ると唯のキツネの尻尾も激しく動いている。
「そう言えば私もさっきからこのヒツジのツノが凄くうずいている気がするな」
彩音達だけでなく他の子達も耳や尻尾が激しく動いたりツノがうずいたりと興奮しているのであった。
「皆さーん、授業を始めますよー」
体育担当の山岡先生が入って来る。
しかしどこか元気がなさそうな感じがした。
「山岡先生何だか元気がなさそうですわね、いかがなさいましたか?」
茜が山岡先生に問うと山岡先生は話し出すのだった。
「えーっとですね、実は皆さんが獣人になった事によって当然身体能力も高くなったと思うんですよ、そしたら体育の授業が一番その高くなった身体能力を発揮できるようになって生徒達が思った以上に動けるようになったので体育の先生達が物凄い疲れた感じになってしまったんですよ、あまりに動きまくるので」
『あー』
山岡先生の説明を聞いて生徒達は自分達の身体がうずいたり興奮しているのは身体を思い切り動かせる事に喜びを感じていたのだと気づくのだった。
「体育の先生達は疲れ切ったような感じでしたね、お昼なんてブラック企業で働いているのかと思うくらい疲弊しきって食事をしてましたね、いつも以上に動き回るからケガをしないかどうかいつも以上に気を張って余計に疲れているんでしょうね、私も疲れているのでしょうか、プテラノドンの羽が元気をなくしています」
『あー』
山岡先生はプテラノドンの獣人であり背中に羽が生えている。
鳥など羽が生えた子達は羽が広がっているが現在山岡先生のプテラノドンの羽は元気がないのかぐったりと倒れているのを見て生徒達は山岡先生が疲れているのだと理解するのだった。
「ですが疲れているのを理由に授業を疎かにする気はありませんし、皆さんも変に気を遣って抑えなくても良いですからね、思い切り動きましょう」
『はーい』
山岡先生はそう言うが生徒達はできる限りケガをせずにかつ思い切り動かすようにするのだった。
獣人になった子達の体育が始まるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
やっぱり獣人が一番力を発揮できるのは体育だと思います。
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