第396話 異変 2
ゴールデンウィークから数日が経ったある日、真央達はいつものように楽しく会話をしているとそれは起こった。
学園中に煙が充満していく。
「うわー!? 火事ー!?」
「落ち着け彩音、気のせいか、私はこの煙に何かデジャヴを感じるんだが」
「そうですね、前にもこんな事があったような」
「煙で何も見えないよ」
「真理亜、僕から離れるな」
真理亜の手を掴む真央だが煙が辺り一面を覆って何も見えなくなる。
やがて時間が経つと煙は晴れていくのだった。
「煙が晴れたな、真理亜大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
「そうか、それは良かっ・・・・・・た?」
煙が晴れていき真理亜の姿が見え始めると何かの違和感を感じた。
「真理亜、ん?」
真理亜だけでなく自分にも何かの違和感を感じた真央は自分の頭の上に手を置くと何かに当たる。
「な、何だ?」
何かと思い真央は持っていたスマホですぐさま自撮りカメラにして自分を映すと一瞬思考が停止したかのように固まる。
「真央、どうした?」
「スマホを持っているなら自撮りカメラにして自分の姿を見た方が早いぞ」
真央に言われた通り全員がスマホで自撮りカメラにして自分の姿を映すと真央の言った事を理解するのだった。
「は?」
スマホで自分の姿を見た沙月は自分の頭の上に目が行く。
ピョコ。
自分の頭の上には動物の耳と思われるものがある、しかしそれだけではなくお尻の辺りにも違和感を感じた沙月はそこを触ってみると。
フリフリ。
尻尾と思われる感触が手に伝わって来る。
「な、何じゃこりゃー!!?」
沙月の叫び声がクラス中に響くのだった。
「それで梓美、どういう事か説明してもらえるか?」
クラスが落ち着いた現在、沙月は目の前で正座している梓美に問う。
前にも同じような事があったため、クラス全員が満場一致で梓美の発明品によるものだと判断したのだった。
そして今回も反省中と書かれた札を首から下げているのだった。
「すまない、また私の発明品がなんやかんや変な反応を起こしてこのような事態になりました」
「一体何の発明品を作ったんだ?」
「動物の言葉を翻訳する機械があっただろ? アレを改良して首に着けるだけで翻訳ではなく直接人間の言葉を話せるようにできたらなと思ったんだ」
「まあ、ロマンチックですね」
「それで変な反応が起きて私達が獣人みたいな姿になってしまったって事か?」
「その通りだ、最終的には今の我々のように一時的に動物を獣人の姿にする発明ができたらなと思っている」
「そうなったら人の姿になった動物達が自分達が優れた存在と言って人類が家畜にされて支配される何て事もあるのですかね?」
「そんな事になったら全人類は梓美を恨むぞ」
梓美の言葉に唯が少しワクワクしているが沙月はため息混じりに言う。
「皆、あずみんを責めないであげてよ、あずみんだって悪気があったわけじゃないんだから」
梓美の隣で同じく正座している亜子が言う。
ちなみに彼女も前回同様連帯責任と書かれた札を首から下げているのだった。
「亜子、一応聞くが何でアンタも隣で正座してるんだ?」
「嫁のあずみんの責任は私の責任でもあるから連帯責任だよぉ」
「誰が嫁だ!!」
「それで梓美この獣人化はどうすれば元に戻るんだ?」
「多分時間が経てば自然と元に戻ると思う」
「じゃあ、今日一日この獣人の姿で生活するのか」
「良いじゃん、さっちゃん、獣人になっても特に身体に違和感ないし」
「お前なあ」
のんきに言う彩音に沙月はまたため息を吐く。
「良いじゃないですか、獣人の姿を経験するなんてこの先一生ないと思いますよ」
「唯、アンタまで、まあ時間が経てば戻るのなら問題ないか」
こうして今日は学園中が獣人の姿で過ごす事になるのだった。
「真央ちゃん、難しい顔してどうしたの?」
「いや、何でもないさ」
真理亜の問いにそう返して何でもない顔をする真央だが。
(偶然とは言え人間を獣人にさせる発明品を作るとは、凄い子だな)
内心では梓美を称賛するのだった。
読んでいただきありがとうございます。
梓美の発明品による異変がまた起きました。
面白ければブクマと評価をよろしくお願いします。