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第395話 またやって来た、ゴールデンウィーク 38 終わりを迎える

 レイア達に真理亜の命を狙う者の正体を喋った事でヴァレンティアは命を落とした。

 イゴールは椅子に拘束していたヴァレンティアを解放して地面に横にさせる。


「レイア様、彼女はどうしますか?」


 イゴールはレイアに問う。


「こいつは、きっと手厚く葬られるのを望んでいないと思う、戦いの中で死んでそのまま朽ち果てるのがこいつの理想なのかもしれない、墓など必要ないとか言いそうだな」


「わかりました、なら彼女の遺体の後始末は私がしておきましょう、こう言った事もたくさんしてきましたからね」


「ああ、頼む」


「レイア様」


 リズがレイアに話し掛ける。


「どうした?」


「ヴァレンティアの言った事ですが」


「ヴァレンティアの言った事? ああ、僕がいた事で不安に思っていた者が多くいた事についてか?」


「はい」


 レイアに言いたい事を当てられたリズは俯く。


「何を気にする? 不安に思っていた者が多くいた事くらい気づいてたさ、皆陰で言ってたさ、聞かれてないと思っていたようだが」


「やはり、気づいておられたのですね」


「お前だって口には出さなかったが顔や態度に出てたぞ、当時子供だった僕でもわかるくらい、皆姉貴を優先していたしな」


「そうでしたか」


 レイアに言われてリズはさらに気まずい顔をする。


「だから気にするなと言っているだろ、どうするのが最善なのかわかりきっていた事だろ?」


「ですが」


「たらればの話だ、今更考えてももう過ぎてしまった事だ、父も母も姉貴ももう戻って来ない、ならこれからそうならないようにするだけだ、それしか僕達にできる事はないんだ」


「そう、ですね」


「ヴァレンティアの話で分かった事がある、裏切者達は全員祖父の配下達だった者だ、だからヴァレンティアのように戦う事でしか、自分達の存在価値がわからなかった、おまけに父は祖父を討ち取った後他の魔王達と戦わずに話し合うと言う平和的な考えを持っていたから戦う事しか知らない自分達が父の役に立てるのか、そんなんで本当に大丈夫なのかと思っていたんだろ、おまけに僕と言う娘がいた、あいつらはますます不満に思っていたんだろうな、力こそ正義だと言う考えが強かったあいつらにとっては、だからこそだ」


「全ては何もわかっていなかった私達配下の失態です」


「そうかもな、だからこそ前に進むべきだ、さっきも言ったが失ったものはもう戻らない、残ったものを、これから手に入る新しいものを守るんだ、もう二度と失わないように」


「はい」


「レイアお姉ちゃんなら大丈夫です、何故ならレイアお姉ちゃんのお父様にはなかったものがレイアお姉ちゃんにはありますから」


 シエラが自信満々に言う。


「父になくて僕にあるもの? それは何だ?」


「それは、私ですよ」


「お前が?」


「はい、レイアお姉ちゃんのお父様には私のような主のためだけに動ける存在、どんな事があったとしても主を裏切らない忠誠心、つまり右腕がいなかったからです、ですがレイアお姉ちゃんにはそれがいます、そう、私です!!」


 シエラが胸を張って自信満々に言う。


「レイアお姉ちゃんのお父様は争いを好まず、むやみに命を奪おうともしなかった、それは素晴らしい事だと思います、ですがそれを良く思わない人達だっています、だからこそ必要だったんです、どんな事があっても主を最優先させる配下が、そう、私です、私ならレイアお姉ちゃんが例え世界全てを敵に回してもついて行きますよ」


「世界全てって、そうなるとお前の家族も敵になるんだぞ?」


「そうなったら仕方ありません、悲しいですけど私は家族よりレイアお姉ちゃんとの忠義に生きます」


「ふっ、はは」


 シエラの言葉を聞いてレイアは笑う。


「お前は凄い奴だな、確かに父にはシエラみたいなのはいなかったな、だとしたら僕は恵まれてるな、そうだろリズ?」


「はい、その通りですね」


「進むしかないんだ、二人共、僕について来てくれるか?」


「もちろんです」


「レイアお姉ちゃんの行く場所が私の行く場所です」


「ああ、ありがとう」


 レイアは二人に感謝の言葉を言うのだった。






「・・・ちゃん、真央ちゃん」


「ん?」


 気づくと真理亜が真央に話しかけていた。


「ボーっとしてどうしたの?」


「ああ、すまない、ちょっと考え事してただけだ、大丈夫だ」


「なら、良いんだけど」


「はあ、ゴールデンウィークも今日で終わりか~」


「そしたら林間学校へ向けての本格的な準備が始まるな」


「こういう時は大人の人達がやってくれますが、今回は私達子供達だけで行う、今から楽しみですね」


 彩音達は林間学校に向けての話をしている。


「林間学校、不安だけど楽しみでもあるね」


「ああ、そうだな」


 真理亜に笑みを向けて真央も会話に加わる。


(ヴァレンティアの言ってた事も色々気になるが、今は皆との思い出も大事だな)


 かつての配下を失ったが思わぬ情報を手に入れる事ができた。

 まだまだ謎はあるが一歩前進した。

 

 レイアの二度目のゴールデンウィークはこうして終わりを迎えるのであった。






 

読んでいただきありがとうございます。


これにて二度目のゴールデンウィークは終わりです。


面白ければブクマと評価をよろしくお願いします。

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