第1話 魔王vs勇者
本日、二話目の投稿です。
「はああああああああああああ!」
叫び声と共に剣で斬りかかる、男性。
彼は勇者と呼ばれている人間であり、その彼の他にも仲間と思われる男女と共に、目の前にいる魔王と対峙している。
「くらえ!」
剣を持った、戦士の男性と共に魔王に斬りかかるが、魔王は、それを、両腕で受け止め簡単に二人をはじきとばす。
「クソッ!」
「ぐっ!」
「くらいなさい!」
「ハッ!」
続けて魔法使いの女性が魔法を放ち、弓使いの女性が弓を放ち、攻撃をするが。
「そんな!?」
「嘘でしょ!?」
魔王は片方の手で矢をつかみ、もう片方の手で魔法を受け止めそれを握りつぶして簡単に対処してしまう。
「もらった」
魔王が正面の敵を相手にしている、その一瞬の隙をついて背後から魔王の首に斬りかかる暗殺者の男性。
「なに!?」
だが、魔王はその攻撃を後ろを向かずに避け、攻撃をはずした暗殺者の男性の腕をつかみ、勇者たちの方へ放り投げる。
「みなさん、大丈夫ですか!?」
治癒士の女性が勇者と戦士を回復させながら、心配そうにしている。
「ありがとう、みんなまだいけるか!」
「ああ! もちろんだ!」
「でも、どうするの?」
「この魔王、バケモノみたいな強さよ」
「あの対応、俺の不意打ちをまるで最初からわかっていたかの様だった」
「このままじゃやられてしまいます」
魔王の圧倒的な力、普通ならその力の前に、誰もが逃げ出したいと思うだろう。
だが、彼らは決して逃げ出したりはしない。
勇者として、人々の希望として、世界を守る為に、相手がどんなに強大な存在でも、最後まで立ち向かう。
それが、勇者だから。
「みんな、アレをやる」
「それしかなさそうだな」
「時間稼ぎと隙を作るのは、任せて」
「よし!頼んだぞ!」
勇者の声と共に、全員が魔王に攻撃を仕掛ける。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
戦士が正面から魔王に斬りかかるが、魔王は剣を片手で受け止めつつもう片方の手で戦士を殴ろうとするが。
「させない!」
弓使いが放った矢がきたため咄嗟にその矢をつかむ。
「こいつをくらいな」
その隙をついて暗殺者が煙玉を投げる。
煙が広がり魔王の視界を見えなくさせるが、彼らにとっては絶好のチャンスであった。
「動きを止めよ!」
魔法使いが拘束系の魔法を唱え、魔王の動きを封じる。
しかし、魔王は力ずくで、その拘束を解こうとする。
「動きを封じる魔法なのに、なんて力、本当にバケモノね、でも少しでも動きを封じる時間があれば十分」
「最大限に強化完了です」
「ありがとうみんな、あとは任せろ!」
勇者の持つ剣が特大の魔力を纏って光の剣となっている。
勇者の最大の技であり、自身の魔力を限界まで剣に込め、さらに治癒士が強化系の魔法で勇者の身体能力を最大まで上げることで、より強力な威力にすることができる。
ただし、これには、ためる時間が必要でその間無防備になってしまう弱点があった。
だから、他の仲間たちが、その時間稼ぎをする必要があった。
互いに信頼でき背中を預けることができる。
まさに彼らは、勇者パーティーとして相応しい者たちだろう。
「これで、終わりだあああああああああああああ!」
「「「「「いけえええええええええええええええええええ!」」」」」
勇者の剣が魔王に迫る。
魔王は、動きを封じられているため対応が間に合わず、もろにくらってしまう。
「ハア・・・ハア・・・ッ」
あたりが煙につつまれて見えないが、やがてはれていき、場の状況が見えてくる。
「!!」
「悪くない、良いチームワークだ、だから試しに受けてみたが、威力が全然足りないな」
髪が短い銀髪の女性、魔王がそう言いながら自身にかけられた拘束を魔力を込めた、力技だけで解いていく。
「おいおい」
「嘘」
勇者の最大の攻撃をもろにくらったにもかかわらず魔王は、全くダメージを受けていない。
さらに、魔王は鎧ではなく私服を着ているのにその服自体に焦げ目すらついていない。
「魔力で全身を纏ったけど、もう少し抑えても良かったか」
魔王のその言葉は勇者たちに絶望のようなものを与えた。
つまり、魔王は今まで全く本気を出していなかったのだ。
「で、お前ら見たところ今ので全力を出し切ったと見ていいのか?」
「・・・クッ」
「そうか、出し切ったか」
魔王は勇者たちに歩み寄る。
勇者たちはこの後どうなるかは、想像ができた。
自分たちは魔王に殺されるのだと。
魔王は、勇者たちの前で止まり。
「じゃあ国に戻って魔王は強すぎるからむやみに攻め込まないほうがいいと言っておいてくれないか?」
「「「「「「・・・・・・・・・・・・は?」」」」」」
魔王の言葉に勇者たちは全員素っ頓狂な声を上げていた。
読んでいただきありがとうございます。
更新については、不定期更新になると思いますが、よろしくお願いします。