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第381話 またやって来た、ゴールデンウィーク 24 トレード

 お昼の時間になった事でシエラ達は近くにあった飲食店で買いベンチに座って食べていた。


「そう言えば奈津美さん買ったパックで良いのは出そうですか?」


「あ、そうだった」


 シエラに言われて気づいた奈津美は先程買った魔法少女カードのパックを開けて見る。


「一パック五枚入りですか」


「うん、運が良ければ凄いレアカードも当たるからね、売ったら一枚何十万とするカードもあるよ」


「え!? ただのカード一枚でそんなにするのですか!?」


 奈津美の言葉にシエラは驚く。

 まさかそんなにするとは思ってもいなかったからだ。


「レア度の高いのもそうだけど、人気のカードだったりとかだと一万以上するのもあるよ」


「後は大会とかで出るカードとかですね」


「大会?」


「魔法少女カードゲームの大会ですね、その時の参加賞とか優勝賞品とかで貰える限定カードとかもあって手に入れられなかったコレクター達からしたら高値を払ってでも手に入れたいくらいなんですよ、普通では手に入らない限定カードだからそれなりの値段もしますし」


「なるほど、遊びのカードでも特定の人にとってはいくら掛かってでも手に入れたいわけですね」


 聞いてシエラは納得する。


「それで奈津美さん、欲しいカードは出ましたか?」


「今開封するね」


 そして奈津美はパックを開封するのだった。


「・・・・・・」


 しかし、奈津美からはどよーんとしたオーラが放たれていた。


「奈津美さん、出なかったんですね」


 シエラの言葉に奈津美は黙って頷く。


「まあ、欲しい物なんて簡単に出るものじゃありませんからね、私も自分の買ったパックを開封して見ますか」


 シエラは自分の買ったパックを開封する。


「うーん、キラキラのカードはありませんでしたね」


 レアカードが出なかった事にシエラは残念そうにしているが。


「あ、ああー!!」


 突然奈津美が声を上げる。


「奈津美さん? どうしました?」


「それ!! シエラちゃんの持ってるそのカード!! 私が欲しかった最後の一枚!!」


「え? このカードですか?」


 シエラが奈津美の指差したカードを見せると奈津美は興奮して首を激しく縦に振って何度も頷く。

 シエラが手に持っているのは光ってもいない普通のカードだった。


「でも、これキラキラしてませんよ?」


「レアカードは全部集めたの、持ってないのはノーマルカードだったの」


「お姉様、レアカードは枚数が少ないから数買えばいつかは全部揃いますけど、コンプリートするには意外とノーマルカードが出ない事が多いんですよ、入ってるカードが一番多いので」


「なるほど」


 樹里の説明でシエラは何となくだが理解はするのだった。


「シエラちゃん、そのカード一枚とトレードして」


「トレード?」


「カードを交換する事ですよ、同等のカード同士をお互い納得して交換するんですよ」


「なるほど、でも別にトレードじゃなくても欲しければあげますよ」


「いや、それはダメだよ、自分の力で出したわけじゃないから、こういう時はちゃんとトレードで手に入れたいから、タダでは受け取れないよ」


「こだわりがあるんですね」


「じゃあ、この中から選んで」


 奈津美はそう言って手提げの中からカードの束を取り出してシエラに見せる。


「もしかしていつも持っているのですか?」


「うん、カードショップに行けば他の人とバトルしたりトレードしたりできるから持ち歩いてるの、はい、この中から選んで良いよ」


「・・・・・・あの、奈津美さん、少しよろしいですか?」


「何?」


「この中から選べとおっしゃるのですか?」


 シエラは奈津美から渡されたカードを見て問う。


「お姉様、どうしました?」


 シエラの反応が気になった樹里はシエラが見ているカードを見るとシエラと同じ困惑した顔をする。


「これ、全部レアカードですね」


「やっぱりそうですか、キラキラしたカードばかりでしたから」


「大丈夫だよ、それ全部ダブったレアカードだから」


「いや、そういう問題じゃないですよ、トレードするのってこのノーマルカードですよね?」


「うん」


「奈津美さんの渡したこのカードはレアカードですよね?」


「うん」


「どう考えてもおかしいですよね!?」


 シエラはそう奈津美に言うのだった。

 奈津美はシエラの持っているノーマルカードとレアカードを交換すると言う普通に考えて有り得ない事である。


「普通ノーマルカードなら同じノーマルカードですよね?」


「今の私にはそのカードがレアカード以上に見えるのよ、シエラちゃんのそのノーマルカード一枚とそのレアカード全部とトレードでも良いよ」

 

「価値観がおかしくなってますよ!?」


「しかもこれただのレアカードだけじゃなくてSSRのレアカードも何枚かありますよ」


「SSRってかなり高いランクのレアカードじゃないですか」


 パックに書かれているレアのランク一覧を見てシエラは奈津美が今冷静さを失っていると確信する。


「奈津美さん、こんなノーマル一枚にこんなレアカードをトレードなんて絶対おかしいですよ」


「シエラちゃんがおかしいと思っても私は至って冷静だから大丈夫だよ、コンプリートできるならレアカードでのトレードだってするよ」


「お姉様、これ絶対トレードするまで終わりませんよ」


「・・・・・・わかりました、レアカードとこのノーマルカードをトレードしましょう」


 樹里にそう言われてシエラは諦めてレアカードと自分のノーマルカードをトレードするのだった。


読んでいただきありがとうございます。


奈津美はカードコレクターという設定が追加されました。

人気だから魔法少女はカードゲーム化されてます。


面白ければブクマと評価をよろしくお願いします。

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