第379話 またやって来た、ゴールデンウィーク 22 出会う
「こいつは」
レイアは椅子に拘束されている女性を見る。
「リズ、お前もこいつを知ってるだろ?」
「はい、間違いありません、ヴァレンティアです」
「知り合いですか?」
「ああ、父が魔王だった時にいた配下で、裏切り者の一人だ」
「何と」
「こいつはヴァレンティア、純粋なヴァンパイア族の女性だ、父の配下であったがこいつはあまり父への忠誠心を感じなかったな」
「はい、彼女と魔王様は性格や価値観的に合わなかったと思います」
「そうなのですか?」
「ああ、父は自分から戦いや他の領地を侵略して奪うと言う事をあまり好まず、敵が来たら戦うって感じだった、対してヴァレンティアは戦う事が好きで誰かと群れるような感じのタイプじゃなかったな」
「なるほど、根本的に相容れない者同士ですね、それなら何故彼女はあなたの父親の配下になっていたのですか?」
イゴールが当然な疑問を口にする。
「いや、配下って感じじゃなかったな」
「そうなのですか?」
「ああ、そんな感じじゃなかったな、正直こいつの事はよくわからないんだ、あまり城で一緒になった事がないからな」
「そこは私がお答えします」
黙っていたリズが語る。
「ヴァレンティアは、地下牢で幽閉されている事がほとんどでした」
「そうなのか?」
「はい、ヴァレンティアは魔王様の先代、つまりレイア様のお爺様が魔王だった時の配下でした」
「祖父か、母の父親であまりにも横暴過ぎたから父に討たれてそのまま父が魔王になったんだったな」
「はい、彼女はその配下でした、彼女は戦う事でしか己の価値観を見いだせず、敵対している領地の者達を勝手に襲撃してそれで魔王様の怒りを買っていましたが、一向に治さない彼女に魔王様はやむを得ずに彼女を地下に幽閉させる事にしたのです、しかし謀反があったあの日に」
「解放されてその後の消息は不明と?」
レイアの言葉にリズは頷く。
「そうか、シエラ」
「はい」
「何があってヴァレンティアと出会いこのような状況になったんだ?」
「そうですね、彼女と出会ったのは今日でしたね、私は奈津美さんと樹里さんと一緒に遊んでいたのですがどこかから殺気のような気配を感じて私もその気配を探っていたら向こうもこちらに気づいたみたいでして、まあ、その時は気にせずに二人と遊んでいましたね、近づこうとしていたらこちらも殺気を放って足止めさせましたけど」
「殺気を感じたのに無視して友達と遊んでたのか」
「シエラ様、ブレませんね」
「レイア様の右腕と言われてるのは伊達ではないと言う事ですね」
シエラの話にレイアとリズは何とも言えずイゴールは感心している。
「それで、二人と別れた後にずっと殺気を放って近づこうとしていたこれにイラついていたので探索の魔法で殺気を放っていたこれの居場所を見つけて瞬間移動の魔法でこれの背後を取ってさらに瞬間移動でこれごと人がいなくて思い切り暴れても大丈夫な場所に移動しましたね」
気を失っているヴァレンティアを指差しながらシエラは経緯を答える。
「これって、ヴァレンティアの事か?」
「そうですよ、レイアお姉ちゃんのお父様とお母様を裏切った者達なんてこれで十分じゃないですか」
「そうか」
シエラはさも当然と言った感じで言ったのでレイアはそれ以上は何も言わずに黙り、シエラは続きを話すのだった。
読んでいただきありがとうございます。
次回はシエラ側のゴールデンウィークの話になります。
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