第366話 またやって来た、ゴールデンウィーク 9 決戦の時
「いよいよだな」
「はい、あっと言う間でしたね」
「それじゃ、行ってくる」
「武運を祈ります」
レイアは部屋を出て行くのだった。
地図を手に持ちレイアはその場所を目指して行く。
「ここだな」
地図の場所についたレイアはそのまま扉を開けて中に入る。
「来たね、真央」
そこには郁恵が待ち構えていた。
「約束の時間はまだだけど」
「この日のために待ちきれなかったと言ったところですよ」
「そうかい、実はあたしもだよ」
真央と郁恵はお互いに睨み合う。
店には二人以外にも人がいた。
真央が大食いをしているといつもいた宵町、高遠、平岡の三人はもちろん今まで真央に大食い勝負を挑み敗北した店主達がいた。
「今日の勝負のためにわざわざ店を休んで来たみたいだよ、全く今頃街の飲食店が一斉に休んで驚いてるだろうね」
「それだけ、僕達の戦いを見届けたいって事ですよ」
「かもしれないね、真央」
「ん?」
「ラーメン屋で初めて会った時から思ってたよ、アンタとはいつか戦うってね」
「そうですか」
「今日はあたしの全てをアンタにぶつけてやるよ、だからアンタも全力で来な」
「元からそのつもり」
「言ってくれるじゃない、でもアンタみたいなの嫌いじゃないわ」
そう言って郁恵は背を向ける。
「来な、決戦の場に行くよ」
郁恵に言われて真央はついて行く。
「ここだよ」
郁恵について行き辿り着いたのは、大きな鉄板が置かれていた。
「あたしの店はお好み焼き屋でね、この大きな鉄板で焼いて客に出しているんだよ、若い時からずっとそうして来た」
「なるほど」
「ちょいと待ってな」
郁恵は材料を鉄板の上で焼いていき具材を乗せ一枚のお好み焼きを作り皿に乗せて真央の前に出す。
「あたしは他の店主達と違って特大のお好み焼きなんて作った事ないし作るのはいつもこの普通サイズのお好み焼きさ、今からあたしはこの普通サイズのお好み焼きを作り続けてアンタの前に出す、そしてアンタはそれを食べ続けるのさ」
「・・・・・・つまり、僕が先に食べるのに限界に来るか、あなたが作るのに限界が来るか、どちらかが倒れるまで戦うと言う事か?」
「その通りだよ」
真央の問いに郁恵は頷く。
「あたしももう年だからね、この店を娘夫婦に任せる事が決まってる、ただその前にアンタと決着をつけたいのさ」
「あなたの全てをぶつける最後の相手が僕で良いのですか?」
「野暮な事聞くんじゃないよ」
「そうでしたね、これ以上の言葉はもう不要ですね」
真央は割り箸を割り手に持つ。
「僕があなたの全てを喰らい尽くそう」
「上等じゃないか、ここからは、思う存分ぶつかり合おうか」
真央が喰らい尽くすか、郁恵が作りきるか。
お互いの全てをぶつける戦いが今始まるのだった。
とまあ大げさに言ってるが、これただの大食い勝負だからな。
読んでいただきありがとうございます。
はい、というわけで大食い勝負始まりました。
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