第365話 またやって来た、ゴールデンウィーク 8 修行 5
山での修行を行ったレイアだが最終的に全く関係ないと気づき、別の修行を考えるのだった。
「そもそも、大食い勝負の修行なんて何があるんだ?」
「そうですね、ならその手の人の動画でも見たらどうですか?」
「その手の人って?」
「レイア様、この人間界にはフードファイターと言われる者達がいるそうです」
「フードファイター? 何だそいつらは?」
「早食いや大食いで競い合う者達の事です、世界中の大会に出場して賞金を稼いでいる者達だそうです」
「そんな者達がこの人間界にいるのか」
「はい、その者達が大会に向けて身体の調整などをしているそうですよ、当日により多くの量を食えるように、そして」
リズはスマホを出し検索をしてレイアに画面を見せる。
「この方が世界でも上位に入る、この国日本のフードファイターです」
「おお、この国に世界上位がいたのか」
「この方、いくつかのテレビ番組にも出た事があって、そこでフードファイターとして本番前にしている事も紹介されたそうですよ」
「なるほど、それをやれば修行になるな、それで具体的に何をすれば良いんだ?」
「少しお待ちを」
リズはスマホを操作してトレーニング法を見つける。
「人によってトレーニングの方法が違うみたいですね」
「どんなものがあるんだ?」
「そうですね、全員に共通する事は胃を大きくさせるみたいですね」
「胃を大きく?」
「はい、ある者は大量の米を雑炊にして食べて胃の容量を大きくしてたくさん食べられるようにしたり、ある者は数リットルの水を一気飲みして大会前にはさらに多くの水を一気飲みしてギリギリまで胃を大きくして、ある者は水と食事を半々ずつで胃を大きくしようとしていますね」
「本番前から気合を入れているんだな」
「何事も準備は怠ってはならないという事ですね」
「胃を大きくするか、試してみるか」
こうしてレイアの大食いトレーニングが始まった。
「雑炊ができました」
リズが用意したのは大きな鍋一杯に入っている雑炊だった。
「定番の卵を使ったものですね」
「旨そうだな、それでこれをただ食べれば良いのか?」
「うーん、何かあると思うのですが、取りあえず食べてみましょう」
「そうだな」
レイアは大きな鍋一杯分の雑炊をリズは普通に丼一杯分の雑炊を食べるのだった。
「うん、旨いな」
レイアは雑炊を食べる。
食べて、食べて、ひたすら食べ続けた。
「ふう」
大きな鍋一杯にあった雑炊をレイアは食べ終えるのだった。
「どうですか?」
「何て言うか、柔らかくて流れるように身体に入って行くから、なるほど、これで胃袋を大きくしようとする事が何となくわかった気がする、心なしか胃が大きくなった気もする」
「効果がありそうで何よりです、続いてのトレーニング法をしますか?」
「そうだな、そっちもしてみるか」
レイアは次のトレーニングを行うのだった。
「用意しました」
リズは机の上に二リットルの水が入ったペットボトルを何本か置く。
「これを一気に飲むんだったな?」
「はい、一気に飲んで胃を大きくさせるみたいですね」
「早速やってみるか」
レイアは二リットルのペットボトルを一本手に取り飲み始める。
飲み干し空になったペットボトルを置く。
「お腹がタプタプしている気がする」
「こんな水の量を一気に飲みましたからね」
「これで胃が大きくなるのか、言われてみれば何となくそんな気がする」
「ですが、水を短時間にたくさん飲むと身体に悪いそうですよ」
「そうなのか?」
「はい、人間にとって水は必要不可欠ですが、飲み過ぎると身体に悪影響を及ぼすそうです」
「何事もやり過ぎないのが一番って事か」
「そうですね」
「と言っても魔族の僕達には関係ないか」
「確かにそうですね」
「じゃあ、残りを飲んでも大丈夫だな」
そう言ってレイアは残りのペットボトルも一気飲みするトレーニングを続けるのだった。
そして時間が流れて約束の日となった。
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次回は決戦です。
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