番外編 四月一日
番外編を投稿してみました。
これは、マンションに住み始めまだ清涼女子学園に行く前の話である。
「レイア様、今日は何の日か知っていますか?」
リズの問いにレイアは答える。
「今日は四月一日だよな? それがどうした?」
「その様子だと今日が何の日かご存じないようですね」
「だから、今日何かあるのか?」
「レイア様、今日はエイプリルフールと呼ばれる日なんですよ」
「エイプリルフール? 何だそれは?」
「簡単に言いますとこの日だけは嘘をついても良い日らしいのです」
「そんな日があるのか、人間界の人間は色々な事を考えるな」
「そうですね、ところでレイア様、よろしいですか?」
「ん? 何だ?」
リズは真剣な顔になり。
「私、疲れたので元の世界に戻らせてもらって良いですか?」
そんな事を言うのであった。
~side清涼女子学園~
「今日ってそういやエイプリルフールだな」
「今日は嘘をついても良い日でしたよね」
教室の中で真理亜達はエイプリルフールについて会話をしていた。
「でも、嘘をついて良い日でも嘘をつくのって悪い気がするね」
「まあ、確かに真理亜の言う通りエイプリルフールでも嘘をつく人ってあまり見ないな」
「そうですね、やはり嘘をついてもろくな事にはならないと思いますね今朝お父様がお母様に冗談で嘘をついたらお母様に刃物で刺されていましたので嘘はあまりつかないほうが良いですね」
「おいちょっと待て、唯今さらっととんでもない事言わなかったか!?」
先ほどの唯の発言に真理亜と沙月は驚いた顔をする。
「え? 何か言いましたか?」
「いや言っただろ、お父さんがお母さんに刺されたって」
「あー、言いましたね」
「唯ちゃん、お父さんは大丈夫なの!?」
「大丈夫ですよ真理亜さん、ごめんなさい半分は嘘ですから」
真理亜と沙月は心配そうに唯を見るが唯はそれが嘘だと言う。
そうこれは唯がエイプリルフールでついた嘘である。
「何だ嘘か、びっくりさせるなよ」
「でも、良かった」
「ごめんなさい、何となくやってみたかったので、半分ほど嘘をつきました」
そう言って唯は手を合わせて二人に謝罪をする。
「ん? 半分って事は」
「はい、お父様がお母様に嘘をついたのは本当ですけど刃物で刺されたのではなく頬を手ではたかれたと言う事です」
「どんな嘘ついたんだ?」
「今朝の朝食が不味いと言ったんです」
「あー」
「それもそれで大変だね」
「皆、おっはよー」
三人が会話をしていると彩音が教室に入ってきて挨拶をする。
「あ、彩音ちゃん、おはよう」
「おう、おはよう」
「おはようございます」
「何話してたの?」
「今日がエイプリルフールだって話さ、お前こそ今日はギリギリだったな」
「うん、行く途中に猫が木に登っていて降りられなくなっていたから助けていたんだ」
彩音は遅れた理由を話す。
「そっか、大変だったな」
「大丈夫だった?」
「猫さんはご無事ですか?」
「・・・いや、ごめん本当はただ寝坊しただけで嘘だから」
皆が信じたのですぐに彩音は嘘だと言い謝罪する。
「何だ嘘か」
「エイプリルフールの話をしてたって言うから、でも何で皆信じたの?」
「いや、お前ならやってもおかしくないし」
「うん、彩音ちゃんならやりそうだよね」
「確かにやりそうですね」
「皆の中で私ってどんなイメージなの?」
こうして時間が経ち授業が始まるのだった。
授業が終わり休み時間になる。
(せっかくだから私も何か嘘をついてみようかな)
真理亜はそんな事を思っていた。
「ねえ、彩音ちゃん」
「なあに? 真理亜ちゃん?」
彩音はニコニコしながら聞く。
「私、彩音ちゃんの事好きじゃないよ」
なんてね、と言いながら真理亜はそんな事を言う。
明らかにわかりやすい嘘である。
ところが。
「・・・・・・」
「え?」
彩音の目からは涙が溢れていた、そしてその目は生気もない絶望に染まったような目だった。
「あ、彩音ちゃん!?」
「おーい、わかりやすい嘘だろ戻ってこーい」
「あらあら」
真理亜は慌て沙月は肩を揺さぶりながら冷静にツッコミ唯は面白そうに見ていた。
「うっ・・・ヒックッ・・・わ、私・・・真理亜ちゃんに何か凄く酷い事したんじゃないのかって・・・グスッ」
戻ってきた彩音はまだ泣いていた。
「ごめんね、彩音ちゃん!! 好きじゃないって嘘だから!! 本当は大好きだからー!!」
そう言って真理亜は彩音に抱きつく。
「ま、真理亜ちゃん!? だ、大丈夫だよ私気にしてないから!! うへへへえ~」
「お前、顔が気持ち悪いぞ」
「あらあら」
彩音は得したような感じに気持ち悪い顔をして沙月は冷静にツッコミ唯は面白そうに見ていた。
「まあ、嘘をついても罪悪感しかないってわけだな、私も嘘をついたけど良いものじゃないな」
沙月がそんな事を言う。
エイプリルフールでも嘘をつくのはあまり良いものではないと言う事である。
「え? さっちゃん嘘ついたの?」
「気になりますね、どんな嘘ですか?」
「いや、今嘘をついたと言うのが嘘なんだが」
沙月のついた嘘それは嘘をついたと言う嘘であった。
「沙月ちゃんそれって」
「さっちゃん、それはいくら何でも」
「そうですね、それは」
「何だよ、わかってるよ自分が一番わかってるよ面白くも何ともないシラケるような嘘を言ったって、だから私をそんな可哀想なものを見るような顔で見るなー!!」
~sideレイア~
「戻りたいのか?」
「はい、正直この世界での生活に疲れて戻りたいと思っているのです」
リズは人間界での生活に疲れたので元の世界に戻りたい事を言う。
まあ、エイプリルフールでリズがレイアについた嘘である。
「そうか、わかったここまでご苦労だったな」
「え?」
「幹部達にも連絡しておくか、そうだなリズの代わりに娘のリゼに来てもらうしかないか」
「いや、ちょっと待ってくださいレイア様!!」
「何だ?」
「嘘ですよ!! エイプリルフールだからちょっと冗談を言ってみただけですよ!!」
リズはレイアに嘘だと言う。
「そうか、嘘だったのか」
「そうですよ」
「だが嘘をつくような奴を僕は信用できない、裏切る可能性があるからな」
「え?」
「悪いがお前には戻ってもらう、代わりの者を用意しないとな」
レイアの顔は本気だった。
その姿を見てリズは。
「申し訳ありません!! 軽率でしたどうかお許しを!! もう一度私にチャンスを!!」
罪悪感を感じたリズはすぐにレイアに謝罪した。
「そうか、まあ嘘だけどな」
「え?」
「嘘をついて良い日だから僕も嘘をついてみただけだ」
「レイア様、もう驚かせないでください」
レイアが嘘だと言いリズは安堵していた。
「嘘をついてみたけど良い気分じゃないな」
「そうですね、私も罪悪感だけが残りました」
「人を楽しませる嘘なら良いかもしれないが、そもそもそんな嘘あるのか?」
「受け取る側の問題だと思いますね、自分が良くても相手にとっては許せない事と言うのもありますから」
「そうだな、それで今までの関係が壊れる何て事もあるしな、結局エイプリルフールでもそうじゃなくても嘘をついたら残るのは罪悪感なのかもしれないな」
「そうですね、よっぽどの事がない限り嘘はあまりつかない方がよろしいですね」
レイア達はあまり嘘はつかないようにしようと決めたのだった。
「ん? 待てよだとしたらこれから僕は真理亜に自分の正体を隠して接すると言う事は嘘をつく事と同じなのか?」
「レイア様、それは深く考えなくてもよろしいかと、めんどくさいだけですから」
要は人それぞれなのかもしれない。
読んでいただきありがとうございます。
エイプリルフールなのでそのネタを投稿してみました。
楽しんでいただければ幸いです。