第360話 またやって来た、ゴールデンウィーク 3 宣戦布告
「宣戦布告?」
郁恵の言葉に真央も目を鋭くするのだった。
「ああ、アンタがこの街の飲食店で特大メニューを食べまくって勝利しているのはもう飲食店の店主達の間では有名になってるんだよ」
「そうなのですか?」
「ホントだよ、お嬢ちゃんの事を知らない飲食店の店主がいたら新しくオープンした新人くらいだろうな」
郁恵の言葉を肯定するように平岡が言う。
「この街には他にも飲食店があるが、アンタに勝負を挑もうと考えている奴はもういないかもしれないね、だからあたしがアンタの相手をしてやるよ」
「いよいよ会長自らが動くのかよ」
郁恵が動く事に平岡は驚いている。
「正直まだ勝負していない店主の中でアンタが勝てる相手なんてもういないと思ってる、だからあたしの店でアンタと勝負よ」
「勝負」
「ああ、あたしの店はここだよ、そうね、勝負の日はゴールデンウィークの最終日の前日でどうだい? その時にあたしも準備しておくからアンタも準備しておきな」
「わかりました」
郁恵の宣戦布告を真央は受ける。
「良いのかい? 言ったあたしが言うのも何だけど、予定とかあるんじゃないのかい?」
「問題ないですよ、このゴールデンウィークは特にどこかに行くわけでもないですし、それに」
「それに?」
「勝負を挑まれたからには、僕は逃げたくないですからね」
真央は真剣な顔で郁恵を見る。
「良い目だね、アンタの目はどんな奴からの勝負も受け入れるって覚悟のある目だよ、だからあたしはアンタの事が気に入ったのかもね」
「そうですか、僕もあなたみたいに正面から堂々と宣戦布告する人は嫌いじゃないですよ」
「生意気な事を言うね、あたしもそういうの嫌いじゃないよ」
お互いにバチバチと火花が散っているような光景が見える。
「ただの休日だと思ったら、こんな場面に出くわすとは、これは大変な事になって来たな」
その場を目撃している平岡は二人の気迫に冷や汗をかく。
・・・・・・何を言っているのだろうか?
「そうだ、あたしの店知らなかったね、ほら」
郁恵は真央に自分の名刺を渡す。
「そこに書いてある店の名前があたしの店だよ」
「これは」
「アンタとの勝負楽しみにしてるよ、じゃあ、また会おう」
そう言って郁恵はその場を後にする。
「いよいよ最後の戦いって事か、面白くなって来たな、二人に言っておくか、じゃあなお嬢ちゃん、ゴールデンウィーク最終日の前日には俺も会長の店に行かせてもらうよ」
平岡も公園を後にし、その場には真央だけが残った。
「勝負をする事になったが、あの人の気迫は半端なものじゃなかった、僕もそれなりに準備をしておく必要があるな」
真央は公園からマンションに戻り、ゴールデンウィーク最終日前日の勝負に備えるのだった。
・・・・・・本当に何を言っているのだろうか。
読んでいただきありがとうございます。
所々でやってきた大食い勝負もいよいよ最後の勝負が近づいて参りました。
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