第353話 帝国の動き
「聞こうか、お前の手に入れた帝国の情報を」
呪いの人形を渡したレイアは続いてミーミイから人間側の怪しい動きを聞く。
「帝国が前々から妙な動きをしていたのはレイア様もお聞きになられてますか?」
「ああ、シャロ達から聞いた」
「どのくらいですか?」
「帝国が何か妙な動きをしているってだけだな、具体的な事は何も知らない」
「わかりました、まず帝国には多くの勇者達がいます」
「数は?」
「およそ五十人ほどです」
「五十!?」
勇者の数を聞いたリズは驚く。
「それだけの数の勇者を召喚したのか、だがそいつら全員帝国に従っているのか? 中には反発する者もいると思うが」
「どう言うわけか召喚された勇者は全員帝国の王族貴族のように私利私欲が強く自分の思い通りに行かなければ気がすまない、正に勇者とは思えない者ばかりだそうです、帝国に住む民達はただでさえ王族貴族に苦しめられているのにさらに勇者に苦しめられて嫌な思いをしているそうです、しかも話しによれば召喚された勇者の中には反発した者もいたそうですが、その者達はすぐに殺されたそうです、従ってる者達は好待遇だそうです、ただし歯向かわないように一応隷属の首輪をされてるそうですが基本自由に行動しているそうです」
「それだと奴隷の意味がないんじゃないのか、クズ勇者ばかりなのがせめてもの救いなのか、いや帝国の上の立場の者達はあまり良い噂を聞かないからな」
「さらに帝国の王族貴族達が何やら怪しい者と密会しているそうです」
「密会?」
「はい、ですがその密会の詳しい内容を聞く事はできませんでした、まるで何かの結界でもあるかのように中の様子もわかりませんでした」
「密会かその怪しい者と言うのも気になるな」
「現在ゴウマが使い魔を放ち帝国の情報を得ようとしております、ゴウマが言うにはもう少し時間をいただければとの事です」
「そうか、ゴウマなら確かに安全に偵察と情報収集ができるからな、わかった帝国については引き続き任せた」
「お任せください」
「それとそいつも任せた」
「はい」
『あ、話し終わった感じ?』
「ああ、これからこのミーミイがお前の持ち主だ、仲良くしときな」
『あ、うん、わかった、短い間だったけどアンタにも世話になったわね、礼は言っとくわ』
「ああ」
ミーミイの部屋を後にしたレイアとリズは廊下を歩く。
「五十人の勇者に何者かとの密会、関係がないとは言えませんね」
「ああ、勇者と言えば戦力になるからな、それが五十人、あまり考えたくないが帝国の王族貴族の思想を考えるとどうしても一つの答えに辿り着くな」
「どうしますか? もしその答えの通りになったとしたら」
「そうだな、今までなあなあで済ましてきたが、事と次第によってはこちらもそれ相応の対応をするべきだろうな」
そう言ったレイアの顔は険しいものであり二人はそのまま人間界に戻るのだった。
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とんでもない情報が出ました。
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