第33話 唯とのコミュニケーション 2 一番警戒しなければいけないのって
「真央さんって本当に私達と同い年ですか?」
唯の言葉に真央に一瞬動揺が走る。
「何故そう思うんだ?」
真央は唯に問う。
「そうですね、何と言いますか真央さんって一緒にいるとまるで大人の人といる感じがするんですよ」
「そ、そんなわけないだろ?」
「それだけじゃありません、皆さんと話している時の真央さんはまるで大人の対応と言いますか、真理亜さんや彩音さんや沙月さんに対しても大人が子供に話すようなそんな感じがするんですよね」
「そう見えるだけだと思うぞ」
一見平常を装っているが。
(な、何だこの子は!?)
と内心動揺しまくっていた。
「それに、野良犬に襲われた時に冷静に動揺せずひとにらみでおとなしくさせたのも不思議だったのですよ」
「そ、そうか?」
「ええ、普通そのような状況になったら小学生位なら彩音さんの様に怖くて動けなくなるのが普通ですしそれを全く怖がりもせず、まあそう言う人もいないとは言いきれませんけど」
「そうだろ? いないとは言いきれないだろ?」
「でも、ひとにらみで犬をおとなしくさせるなんてそんな小学生、マンガ以外でましてや現実では見た事も聞いた事もありませんよ」
「う」
唯のこの発言に真央は返す言葉が見つからない。
「さらにその後の彩音さんへの対応は大人が子供を気遣う行動そのものですよ」
「・・・・・・」
真央はただ聞く事しかできなかった。
「真央さんはまるで見た目は私達と同じ小学生ですけど中身は大人ではないかと」
(マズい非常にマズい!! もうほぼ僕の正体に気づいてるようなものだ)
真央の内心はもう完全にヤバくなっていた。
外面はいつも通りだが内面は完全にヤバい状態になっていた。
(これは、マズい何とかしなければ)
「なんて、そんなわけないですよね」
「え?」
唯の発言に真央はキョトンとする。
「ごめんなさい、私そう言うマンガを読んだりしているのでそう言うのに似ている人を見るともしかしたらって思ってしまうんですよ」
「え?」
「私、実はそう言う不思議な現象や超人みたいな人とか摩訶不思議な事に興味があるんですよ」
「そ、そうなのか?」
「ええ、ですから真央さんの様に小学生にしてはやけに大人のように見えるのでついこう言ってしまったのです、失礼な事を言ってごめんなさい」
唯はそう言って真央に謝罪する。
「いや、大丈夫気にしてないから」
「そうですか、それは良かったです」
実際は内心大丈夫ではなかったが正体がバレタわけではないので真央は特に気にしていない事を唯に伝える。
「あ、真理亜さんが跳び終えたみたいですよ」
「ん、そうか」
「えへへ、何とか五段を跳べたよ」
「それは良かったですね」
「うん、ところで唯ちゃん達は何してたの?」
「真央さんと友情を深めていたのですよ、ね? 真央さん」
「ああ、そうだな」
「いいな、私も真央ちゃんともっと仲良くなりたいよ」
「うふふ、そうですね、真理亜さんも一緒に真央さんと友情を深めましょう」
どうやら唯に正体がバレタわけではないため安心するべきなのかもしれないが。
(もしかして、一番警戒しなければいけないのってこの子なのか?)
そんな事を思っていたが唯の事も友達だと思っている真央は。
(まあ、別に良いか)
そんなに気にする事もなかったのである。
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