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第351話 それの正体

『アンタ何なのよ!! めちゃくちゃ見ていて怖いよ!!』


 顔は変わっていないが人形は悲鳴に近い声で喋る。


「そうだな、簡単に言えば僕は人間じゃない」


『うん、何となくそうなんじゃないのかって思ったよ!! じゃなけりゃこんな怖い目で見て来る人間の子供なんていてほしくないもん!!』


「レイア様、随分と感情の高い人形ですね」


「そうだな」


『ん? そっちの女の人も普通に喋ってるって事は、アンタも普通に人間じゃない?』


「ええ、私も人間ではありませんので、あなたを見た時に他の人間に拾われたら大変だと思ったので連れて帰ったのです」


『そういう事!? 私の事綺麗とかそういうのじゃなくて危険だとわかってて拾ったのね!!』


「ええ、そういう事ですね」


『何て奴等に拾われたのよ』


 人形はガクッと地べたにつくのだった。


「話を続けるが、こいつは意思を持った魔道具だ」


「魔道具ですか、まさか人間界に意思を持った魔道具が存在したとは」


「人間界には長い年月を得た物などには魂が宿る付喪神と言うのが存在すると知ったが中には怨念が込められて作られた物やぞんざいに扱われて怨みを持った物にも魂が宿り呪われた物などがあるとも聞いたがおそらくこの呪われた物や曰くつきとか言われているのは意思を持った魔道具と見て間違いないな」


「なるほど、言われて見れば意思を持った魔道具は強い念が込められてできる物でしたね、そう考えれば人間界にも強い念が込められた物が存在しても不思議ではないですね」


「意思を持った魔道具は作り手や扱われ方によって刻まれた記憶を元にそのように行動すると聞くからな、おそらくお前を作った人間もしくはぞんざいに扱った人間に対しての怨みから今のようになったんだろ」


『アンタの言う通り私のこの見た目が怖いと言われて買われてすぐに捨てられたのよ、その時から私はこうなったのよ』


「さて、こうなってしまうとこれの処分を考えないとなりませんね」


「そうだな、意思を持った魔道具は野放しにすると面倒な事になるからな」


『は? 何アンタ私を壊すつもり!?』


 顔に変化はないが人形は焦った様子である。


『冗談じゃないわ、こうなったらアンタを殺してやるー!! 死ねぇー!!』


 人形はレイアに襲い掛かるがあっと言う間にレイアに頭を鷲掴みにされる。


「え?」


「え?」


『え?』


 全員が同じ言葉を発した。


「お前」


「弱くないですか」


『チックショー!! 離せー!!』


 人形はじたばた暴れるが逃げ出せなかった。


「レイア様、これ魔道具なんですよね?」


「ああ、魔道具なのは確かだが、もしかして人間界で作られた物だから動けるだけで魔道具としての力が目覚めてないのかもしれないな」


「確かに魔力なしの人間が作ったのならそうなってもおかしくはないですね」


『こらー!! いつまでも掴んでんじゃないわよー!! は、な、せー!!』


「ああ、すまない」


 人形の頭を鷲掴みにしているレイアは手を離す。


『て、おいー!! 今度は両手で私を掴んでんじゃないよー!!』


「いや、お前を逃がすわけにはいかないし」


 レイアは両手で人形の胴体部分を掴んでいる。


「どうしますか? 今のところ動く以外に特に何もないようですけど」


「そうだな、取りあえずこいつが何なのか調べないとな」


「それでしたら、今調べます」


 リズはスマホで調べるのだった。


「レイア様、これじゃないですか?」


「ん?」


 レイアはリズのスマホの画面を見る。


「呪いの人形か、おい、これお前か?」


 レイアは掴んでいる人形にスマホを見せる。


『あー、多分私だと思う、いくつか覚えのある家があったから』


「ここに書かれている事がお前にできるのか?」


『いや、動いたり見ていたりはしたけど、体調悪くなったりとか不幸な事があったとかそんなの知らないよ、こいつらが勝手にそんな目にあっただけよ』


「要するにお前が動いたり見たりしたから勝手に呪いの人形だと思い込みそれを強く思った事で不幸も呼び寄せたってところか」


「気の持ちようって言いますからね」


「さてと、こいつの正体もわかったし、こいつの今後を考えないとな」


『わ、私をどうするの!? 言っとくけどどんな事にも私は屈しないわよ!!』


「お前は何を言ってるんだ? 別にお前を処分したりとかそう言うのはしないぞ」


『え? そうなの?』


「僕だってさすがに意思のあるものを消すのはあまりしたくないさ、お前だって生きてるんだから」


『なーんだ、驚かせないでよ』


 顔は変わっていないが物凄く喜んでいる事が伝わって来る。


「お前の事だが、あいつに任せようと思う」


「あいつ?」


『あいつ?』


「ああ、城に戻るぞ、あいつなら今の時間いると思うし」


「では、すぐに戻りますね」


 リズは転移の魔法でゲートを作る。


『えー!! 何よこれー!!?』


 顔は変わっていないが人形は驚いていた。



読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。

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