第350話 逆はこんな感じだった
呪いの人形。
それが私の存在意義とも言えるものだった。
私は生まれてから今までたくさんの家を周る事になった。
私には意識があった。
普通の人形と違って意識があった。
いつから芽生えたのかはわからない。
それでも私には意識があった。
何故かわからないが私は人間を呪う存在だと理解していた。
だから私は人間達を呪うと言う自分の役目を果たしに動いていた。
やり方は簡単だった。
ただ人形のふりをしてゴミ置き場にでも座って置けば勝手に拾っていってくれるのだ。
何故なら私自身は新品のように綺麗な人形にしか見えないからだ。
拾われてからは簡単だった。
ただ人間を見ていれば自然と人間は私に見られていると思い恐怖し、動いて見せれば恐怖し、何もしなくても勝手に思い込んで恐怖し勝手におかしくなっていった。
やがて私は捨てられるがまた同じように人間に拾われて同じように人間達を怖がらせるのだった。
今回は大人の女性と子供の女の子の家だった。
まあいつものようにすれば良いと思っていた。
「しかし、ゴミ置き場にあったにしては随分綺麗だな」
「そうですね、私も気になっていましたが置いておくわけにもいかなかったので誰かに拾われる前に持って来たのですが」
「そうだな、拾って良かったかもな、他の誰かに拾われる前に」
「では、すぐに食事の用意をしますね」
「ああ、その人形は僕が持っておこう」
女の子は私を手に持っている。
今回はこの子か。
「本当に綺麗な人形だな、取りあえずよろしく頼む」
ええよろしくね、これからあなたを怖がらせるんだから。
「しかし、こんな綺麗な人形をゴミ置き場に捨てるとは、余程お前が気に入らなかったようだな」
そうね、私が怖がらせたら皆私を捨てたわね。
「もしくは、お前がそうさせたのかもな」
え。
よく見るとその女の子は物凄い顔で私を見ていた。
いや普通に子供のする顔じゃないでしょ。
何か怖いわよ。
「レイア様、食事ができました」
「ああ、わかった」
そう言ってその子は私を隣に置いた。
置く時も私の事をじっと見てて何か怖かった。
「今日も旨そうだな、いただきます」
女の子がご飯を食べているそれを私はただじっと見つめていると女の子がこっちを見た。
「食べ終えるまで、待ってな」
いや、だからなに。
何なのこの子、マジで怖いんだけど。
そう思っていると食事を終えた女の子はテレビを見てそしてお風呂に入ろうとして私を見た。
「・・・・・・」
だから何なのよ。
アンタ何なのよ。
めちゃくちゃ怖いんだけど。
普通の女の子じゃないの。
怖い怖い。
そうして女の子はお風呂に入り上がって来た。
「そろそろ、寝ましょうか」
「ああ、そうだな、おやすみ」
「おやすみなさい」
二人が寝たのを確認した私はこの家から出ようと動く。
だってあの子が怖いんだもん。
普通の女の子に見えないんだもん。
そう言って私が立ち上がった瞬間電気がついた。
「やはり、動いたか」
そこには二人が起きていた。
と言うより今動いたって言わなかった。
「お前が動くのは最初からわかっていた、だから僕はお前に話し掛けていたんだ、僕の考えが正しければお前喋る事ができるだろ? 正体を見せたらどうだ?」
『やっぱり気づいてたよー!! めっちゃ怖かったしー!!』
薄々気づいてたけどやっぱり気づいてたよー。
もう怖いよー。
めっちゃ怖いよー。
これから私どうなっちゃうのよー。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。