第349話 それについて
「しかし、ゴミ置き場にあったにしては随分綺麗だな」
レイアはリズの抱えている人形を見ながら言う。
リズの抱えている人形はゴミ置き場にあったにしては新品のように綺麗だったのだ。
「そうですね、私も気になっていましたが置いておくわけにもいかなかったので誰かに拾われる前に持って来たのですが」
「そうだな、拾って良かったかもな、他の誰かに拾われる前に」
「では、すぐに食事の用意をしますね」
「ああ、その人形は僕が持っておこう」
レイアはリズから人形を受け取り机の上に置くのだった。
「本当に綺麗な人形だな、取りあえずよろしく頼むよ」
人形の頭を撫でてレイアはそう言うのだった。
「しかし、こんな綺麗な人形をゴミ置き場に捨てるとは、余程お前が気に入らなかったようだな」
レイアは人形に向かって言うが人形は当然の無反応である。
「もしくは、お前がそうさせたのかもな」
レイアは人形に話し掛けるように言うが当然無反応。
「レイア様、食事ができました」
「ああ、わかった」
リズが食事を机に並べるのでレイアは置いていた人形を自分の隣に置くのだった。
「今日も旨そうだな、いただきます」
レイアは食事をするが途中で人形の方に顔を向ける。
「食べ終えるまで、待ってな」
そう一言言ってレイアは食事を続けるのだった。
食事を終えてテレビを見てお風呂に入ろうとするとふと人形の方へと顔を向ける。
「・・・・・・」
数秒人形を見てお風呂へと入るのだった。
「そろそろ、寝ましょうか」
「ああ、そうだな、おやすみ」
「おやすみなさい」
電気を消してレイアは寝るのだった。
「・・・・・・」
電気が消え暗くなった部屋で何かの音がする。
その正体は机に置いてある人形だった。
人形の手が動き顔が動きそして足が動き立ち上がると突然電気がつくのだった。
「やはり、動いたか」
そこに立っていたのはレイアとリズであった。
「お前が動くのは最初からわかっていた、だから僕はお前に話し掛けていたんだ、僕の考えが正しければお前喋る事ができるだろ? 正体を見せたらどうだ?」
レイアの問いに人形の口は開く。
『やっぱ気づいてたよー!! めっちゃ怖かったしー!!』
人形が喋った。
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同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。