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第348話 曰くつき

 曰くつきの人形。

 それはいつ生まれたのかもどこで作られたのかも何もかもが謎に包まれていた。

 その人形は普通に小さい女の子が遊ぶようなおもちゃの人形だった。

 だがその人形には噂があった。

 それは、その人形が生きていると言う噂。


 ある人はその人形が突然移動していたと言う。

 ある人はその人形に見られていると言う。 

 ある人はその人形を不気味に思いゴミ捨て場に捨てたのに家に帰るといつの間にかその人形が戻っていたと言う。

 

 以上のようにその人形は意思があり生きていると言われているが実際にその人形が存在するのかどうかもわからない。

 ただ単にネットに書かれているだけの作り話なのか、それとも本当に存在する実話なのか、その答えは誰にもわからないのだった。


「て言う、曰くつきの呪いの人形が存在するって最近のネットでの噂になっているんだよぉ」


 水曜日の放課後情報クラブの活動をしている亜子は今流行っている事を唯達に話す。


「そのお人形さんが今ネットのホラーで流行ってるんだ」


「で、でも所詮は噂でしょ、そんなの別に怖くも何ともないわ!!」


 実里は強がって言うが身体は震えている。


「それがそうでもないんだよねぇ」


「まあ、それはどういう事ですか?」


「実はこれを調べた時にもっと詳しい子に聞いてみたんだよぉ」


「それって誰?」


「よくぞ聞いてくれました、実は呼んでいます、湯上さんお願いします」


 亜子に呼ばれていかにもホラーが好きそうな感じの子が出てくる。


「ふふふ、亜子ちゃんから紹介された、湯上(ゆがみ)めぐるです、よろしくね」


「湯上さんはオカルトクラブに所属していて、ホラー系が大好きな子なんだよぉ」


「ああ、同じクラスのめぐるさんじゃないですか」


「確かに、同じクラスだよね?」


「うん、同じクラスだよ、と言っても端っこの席にいるからあまり目立ってないけどね」


「湯上さん、私がさっき言った話をもっと詳しく話してくれない?」


「ふふ、良いよ」


 めぐるはさらに詳しく話し出す。


「さっき亜子ちゃんの言っていた人形だけど、最初は私もネットの中だけの面白い創作だと思っていたんだけど、調べて行くと奇妙なブログとかがあったんだよね」


「奇妙なブログですか?」


「うん、そのブログを書いている人は最初は普通に毎日のように書いていたのにある日そのブログの更新が止まってしまったんだよね、でその人の過去のブログを遡って見ると更新が止まる一ヶ月位前に人形をブログに載せていたんだよね」


「え、人形?」


 めぐるの説明に実里はどこか震えている。


「うん、その人形を見るとね、さっき亜子ちゃんが言っていた噂になっている曰くつきの人形と特徴が一致していたんだよね、でもこれだけだとまだ特徴が似ているだけの別物だと思うよね?」


「違うって言うの?」


 花音の問いにめぐるは頷き続きを話す。


「うん、その続きを見るとね、だんだんとおかしな事が書いてあるんだよね、誰かに見られているとか、誰かが近くにいるとかそんな事が書かれていたんだよ、でもその人は一人暮らしだから誰かと一緒に住んでいるわけじゃないしその時に友達が来ていたわけでもないらしい、でもそのブログを書いている時に貼ってある写真を見るとどの写真にもその人形が移った写真があるんだよね」


 めぐるの話しに亜子達は生唾を飲み込む。


「で、不思議なのはここからでそのブログに貼った写真を見ていた人達の多くがその人形に見られているって思う人も多くいたそうだよ、それからある日を境にその人のブログの更新が止まったそうだよ、何でも噂だとあの人形の呪いだとか言われているけどね、今はそのブログは封鎖されていて見れないけど今でもその人形はどこかを彷徨っていて誰か別の人の家を新たなターゲットにしようとしているって噂になっているよ」


「ふえー、怖いねぇ」


「い、今もどこかにその人形がいるって事、ねえ、そうなの!?」


「落ち着いて実里ちゃん、ネットだから本当だったとしてもどこにいるかわからないし」


「確かに、この周辺にいるとは限りませんね」


「ふふふ、確かにこんな近くにいたら怖いけど、問題ないよきっとあくまでネットでの噂なんだから勝手に独り歩きしてるだけだと思うし」


「でも、中々面白かったよぉ、ありがとう湯上さん、おっと気づいたらもうこんな時間だね、それじゃ今日のクラブ活動はこれでおしまいだよぉ」


 気づくともう時間になっていたので今日のクラブ活動を終わりにして亜子達は帰宅するのだった。






~side レイアのマンション~


「ただいま戻りましたレイア様」


「ああ、お帰り、リズそれは何だ?」


「これですか? 帰る途中のゴミ置き場に落ちていたので拾って来たのです」


「そうか」


 レイアはリズの抱えている物を見る。

 それは、小さい女の子が遊ぶおもちゃの人形だった。

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。

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