第347話 林間学校準備
四月も中盤に入り小学五年生になると当然やる行事も増えていく。
その一つが林間学校である。
清涼女子学園でも当然その林間学校があり、時期的には六月の予定であるがそのための準備もあるためこの頃から準備を始めるのであった。
大体四人で一組の班に分かれるため真央達も当然班分けがされるのであった。
「真央、よろ、しく、ね」
「ああ、こちらこそだ」
真央がの班は、真理亜、ミーシャ、そしてミーシャの友人の晴香の四人で一組だった。
「うう、真理亜ちゃんと一緒の班じゃないよ~」
「お前はこっちだろ、ほら行くぞ」
彩音が涙を流しながら嘆くが沙月が有無も言わさずに連れて行く。
どうやら二人は同じ班のようで唯はまた別の班になっていた。
「それでは、班も決まりましたのでそれぞれの班で班長を決めてください」
一条先生がそう言うとそれぞれで集まり班長を決める話し合いをするのだった。
「さてと、誰がこの班の班長をする?」
「私は真央ちゃんが良いと思うんだけど」
「うん、私も宇界さんが良いと思う」
「私、も」
真理亜が言うと晴香とミーシャも真央が良いと言う。
「僕か、別に構わないが」
「じゃあ、宇界さんに決定ね」
話はスムーズに進み真央が班長に決定したのだった。
「林間学校は今までした事ない事をするんだな」
「うん、二泊三日の自然体験をするんだって」
「山登りに実際のキャンプ、キャンプファイヤーに肝試しもあるのか」
「やる事、たく、さん」
「どれも普段経験できない事だから不満もあるけど楽しみでもあるよね」
班長も決まった事でその日の林間学校の準備は終わるのだった。
「沙月も班長になったんだな」
「ああ、委員長もやってるからな、自然と班長にもなってしまったよ」
去年も委員長をしていた沙月は五年生になってまた委員長をしているのだった。
「私茜さんと同じ班になりました、中々面白い林間学校になりそうですね」
「私とさっちゃんは伊吹ちゃん、梨絵ちゃんと一緒だよ、今まで話した事ないからこれを機に仲良くできると良いね」
「でもキャンプ体験なんて初めてだからうまくできるか不安だよ」
「御心配いりませんわ、高梨さん」
「え?」
振り向くとそこには茜が自信満々な表情で立っていた。
「学園の企画ですので何も問題ないと思いますが、もしも不安があるのならその手の専門もいますので大丈夫ですわ、八重、凛、雅美!!」
「「「は!!」」」
「この三人はサバイバル訓練も受けておりますの、子供だけのキャンプならもしもの時に問題なくサポートできますわ」
「茜ちゃんと一緒にいるあの三人、そんな凄い特技があったんだね」
「人は見かけによらないとは正にこの事だな」
「ええ、わたくしの自慢の三人ですわ、雨風をしのぐ住処の作り方や自然に生えている食べる事ができる植物の見分け方、野生動物を捕まえる罠の作り方や捕まえた動物をここからはお察しくださいませ、とにかく子供だけで遭難しても生き残れる知識を身に着けておりますので、この三人がいれば学生のしかも教師達大人もついているキャンプ体験などヌルゲーのようなものですわー!! おーほっほっほ!!」
「しかし茜様、私達誰も茜様と同じ班ではないのですが」
八重の言葉で高笑いしていた茜の笑い声も途絶えた。
「茜様、私達がいなくても大丈夫ですか?」
「もしもの時は自分の班と茜様の班を行き来してサポートします」
「必要ありませんわ」
凛と雅美も茜を心配するように言うが茜はそれを手で制す。
「あなた達に頼ってばかりではいけませんわ、これを機にわたくしも成長するのみ、なのであなた達はあなた達の班の仲間を支えなさい、大丈夫、これでわたくしはさらに人間として一歩成長して見せますわ」
「「「茜様」」」
茜の言葉に感動した八重達は目に涙を浮かべる。
「と言うわけですので、安心してキャンプ体験すればよろしいですわ、それではごめんあそばせ、おーほっほっほ!!」
そう言って茜達は去って行くのだった。
「相変わらず嵐のように来て嵐のように去って行くな」
「でも、茜ちゃんって何か凄いよね、何かついて行けば安心だって思えるような」
「ああ言う人が将来上に立って国を引っ張って行きそうですね」
「うん、キャンプの不安も茜ちゃんの言う通り大丈夫って思えてきたよ」
「カリスマ性があると言うのもあながち間違いじゃないかもな」
真央の言葉に全員が頷く。
林間学校に向けての準備は始まったばかりだった。
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