第346話 数字の正体
「何だこれは?」
発明品を探している途中で真央は何かを見つける。
「真央ちゃん、それ何?」
「発明品ではないな」
真央が持っているのは何冊もあるノートであり中を見ると発明品の写真とその説明が書かれていた。
「おお、それは私が作った発明品を写真に撮ってノートに貼りどんな機能があるのかを記録したノートだな」
「という事は」
「これを見ればどの発明品かわかるのではないですか?」
唯の言葉で全員がノートを見ながら探し始めるのだった。
「それにしても梓美ちゃん凄いね、こんなにたくさんの物を作っちゃうなんて」
「このノート他にもありますね」
「うわー凄い、ノート三冊くらいあるよ」
それから皆で探し続けてそろそろクラブ活動が終わる時間が近づいた時にその発明品を見つけるのだった。
「この発明品はありましたか?」
「いや、どこにもないぞ」
「こちらにもありませんわ」
「こっち、も、ない」
「という事は、これじゃないですか?」
ついに頭の数字が何なのかがわかる時が来たかもしれないのだった。
「発明品の名前は、異世界魔力測定器?」
真央がその発明品の名前を読むと全員が首を傾げた。
「ああ、思い出した、それだ」
「何だよ、異世界魔力測定器って?」
「もしも、皆が異世界に行った時に得られる魔力量を予測して測定する機械なんだ」
「じゃあ、この頭の数字って」
「おそらく、皆が異世界に行った時に得られる魔力量だと思われる」
「じゃあ、真央の数値は何なんだ?」
沙月が真央の数値を見ると真央の数値は途中で?マークがついている。
「それはおそらく真央君の数値が表現できる限界を超えているからだと思う、よくあるだろ、異世界に転移や転生した主人公が魔力測定器で測りきれなくて壊れてしまうあれみたいな」
「つまり真央さんのは測定不能なくらいの魔力量が得られるって事ですか」
「そういう事だ」
「真央ちゃん凄い」
「さっすが真央姉さん、異世界に行っても大丈夫だね」
「ああ、そうだな」
真理亜達は真央を凄いと言うが当の真央本人はこの測定器の正確性に驚いていた。
(驚いたな、確かに僕の魔力量は測定不能と言えば測定不能と思えるくらいの魔力量だと思うがそれを数値化するとは、ただの偶然とは言えこの発明品で皆の頭の上に浮かんだ数値は本当に異世界に行った時の数値だと思える、小さい内からこれほどの物を作れるとはやはり天才発明家は伊達じゃないか)
そんな事を思い内心で梓美の才能を評価するのだった。
「まあ、取りあえずこの数字が何なのかわかったし、この数字は消えるんだよな?」
「ああ、偶然の産物みたいなものだから明日になれば消えてると思う」
「じゃあ、問題ないかそろそろ下校時刻になるし」
沙月の言う通りそろそろクラブ活動も終わりの時間に迫っていたので真央達は発明品を片付けて家に帰るのだった。
そしてこの後浮かび上がったのは数字だけではなかった。
~side 梓美~
「ただいまー」
梓美は自分の家に帰宅する。
「お帰りー」
帰宅して梓美はふとポケットの辺りに手を当てる。
『私は亜子が大好きぃー、結婚したいー』
「・・・・・・は?」
突然梓美の声でそんなセリフが聞こえて来た。
「おい、まさか」
梓美は制服のポケットに手を入れるとそこには学園でミーシャが使ってた他人の声を好きな人の声に変える発明品が入っていた。
「あら、梓美ったら」
梓美の母が微笑ましい笑顔を梓美に向ける。
「いや、ママ、違うから!!」
「ふふ、そんなに照れなくて良いのよ、本当に亜子ちゃんと仲が良いわね」
「違うからー!!」
梓美が必死に否定するが梓美の母は笑顔を向けるだけだった。
『へえ、これ凄いねぇ』
この時に亜子は手に持っていた発明品にこっそり声を入れていてこっそりポケットに仕込んでいたのだった。
(そういえば、あの時から一言も喋らないと思ったら)
次の日、頭に浮かんだ数字もちゃんと消えていていつも通りの日常に戻っていた。
クラスの皆が楽しそうに喋っていると教室のドアが開き全員が目を見開いた。
「亜子のバカはどこだー!! 出て来ーい!!」
そこには梓美が怒りの形相で両手には刀が握られていた。
「なあ、梓美、その手に持ってるのは」
「これか!! 刀の形をした懐中電灯!! それより亜子のバカは!!」
沙月の問いに梓美は怒りのままに答える。
「亜子ちゃんなら今日は休むって言ってたよ」
「風邪ひいたそうだよ」
若干引いている実里と花音の答えに皆がこれでもかと激しく頷く。
「ぐうー、おのれ亜子ー!! 覚えてろー!!」
梓美の怒りの声が教室中に響くのだった。
数字が消えているのにクラスの皆の目には梓美の頭に怒りのオーラの数値が見えていた気がしたのであった。
~side 亜子~
「亜子、おじやできたよ、卵もたくさん入ってるわよ」
「ありがとう、お母さん」
風邪をひいた亜子は母親の作ったおじやを食べる。
(明日あずみんの怒りが治まってなかったら・・・・・・明日考えよう)
余計な事は考えずにただ一日大人しくしている亜子であった。
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