第345話 探し物
「こん中から探せというのか」
沙月はその場を見て唖然として言うのだった。
頭の可視化の数字が何なのかわからなかった真央達は梓美の作った発明品を知れば何かわかるかと思ったのだが当の梓美本人が何の発明品なのかわからないと言うので放課後に梓美が入っている発明クラブの教室に行きそこで何の発明品か調べる事にしたのだった。
「よくこれだけの発明品を作ったものだな」
「ああ、色々と思いついたから作って見たんだ」
「そうなのか、ところで何でこんなにたくさん来てるんだ?」
沙月が後ろを見るとこの場にいるのは真央達だけでなく、亜子達情報クラブの子達と茜達とミーシャ達がいた。
「いやぁ、情報クラブの今日の活動はあずみんが作った発明品を知る活動にしたからねぇ」
「わたくしは何となく面白そうだからついて来ただけですわ」
「私、も、その、えっと」
「まあ、人数が多いに越した事はないから別に良いけど」
「では皆さん、この中からこの頭の数字に関係した物を探しますわよ、おーほっほっほ!!」
早速皆で探すのだった。
「しかし、色々な物があるな」
「あら、この目覚まし時計は何ですの?」
茜が目覚まし時計の形をした物を手に取り言う。
「ああ、それは物理目覚まし君と言ってセットした時間になったら物理で頭を叩いて起こしてくれるんだ、だが起きてボタンを押さないとずっと叩き続けるけどな」
「叩き続けるって、痛いじゃねえかよ」
「まあ、痛いだろうな、どれくらいの痛みかは例えるなら机の下の落とし物を探してる時に急に後ろから声を掛けられて驚いて頭を上げたらガンッと机に頭をぶつけた時の痛みだな」
「何で滅多にない事で例えるんだよ」
「まあ、痛いと言えば痛いですわね」
「まあ、あまりにも痛かったから今は電池を抜いているけどな」
「だろうな」
「ねえ、これは何?」
今度は実里が何かの発明品を手に持って梓美に問う。
「ライフル銃みたいな形をしているね」
花音が実里の持っている発明品を見て言う。
「ああ、それは遠く狙撃して確実に仕留めるライフル型、水鉄砲だ」
「水鉄砲かよ」
「随分本物と同じ見た目をしていますわね」
「プールで水鉄砲で遊ぶ姿を見てライフル型の水鉄砲作れないかなって思って作ったんだ、できたのは良いが使い道がわからないからそのままにしたんだ」
「だろうな」
「そうですわね」
「梓美、これ、は、何?」
今度はミーシャが何かの丸い形の発明品を手に持ち梓美に問う。
「それは、声を録音して設定すると他人の声で録音した声を出す事ができる物だ」
「他人の声にする」
「ああ、試しにミーシャ君何か言ってみてくれ、ボタンを押している間に録音して離すと終わる」
「わか、った」
梓美に言われてミーシャはボタンを押す。
「え、っと、私、田村ミーシャ、よろ、しく」
言い終わった後でミーシャは押しているボタンを離し録音を終える。
「ん、それでもう一度今度は普通に押すと」
『え、っと、私、田村ミーシャ、よろ、しく』
「おお、あずみんの声に変わった」
「すご、い」
「まあ、私の声だけしか登録してないから私の声だけしか変えられないけどな」
「いや、これ普通に凄くないか?」
「そうですわね、この発明品は使い所がたくさんあると思いますわ」
「へえ、これ凄いねぇ」
その後も皆でたくさんの発明品を探すのであった。
「あら、このプレゼントボックスは何ですの?」
「あ、待て!!」
梓美が止める前にプレゼントボックスを開けると中からグーの形をした手が茜の顔に直撃するのだった。
「ぶっ!!」
「「「茜様ー!!」」」
倒れた茜を八重達が駆け寄るのだった。
「それは不審者撃退用に作った悪人撃退パンチングプレゼントボックス五十一号だ」
「五十一号って五十号まで作ったのかよ」
「試行錯誤して考えた結果これが一番相手を油断させられるかなと思ったんだ」
「おおう」
茜が気を失っている事で八重達三人も茜の看病に入り探す人数は減るのだった。
「花音、面白いの見つけた」
そう言って実里が手に持ってるのは筒状の形をした物だった。
「うわー、何だろう?」
「あ、ボタンみたいなものがある」
実里がボタンを押すと筒状から光の棒が出てくるのだった。
「うわ!! びっくりした!!」
「それはビームサーベルのような形のライトだ、その形にするのに色々考えたものだ」
「何に使うんだよ?」
「不審者に襲われそうになった時にピンポイントで光を当てて怯ませられるかなと思っておまけにこんな形だから相手もびっくりすると思って」
「私にはわからないな」
「本当に色々な物があるわね」
「晴香、なに、か、あった?」
「そうね、ん? 何これ?」
晴香が見つけたのはワニの姿をしたロボットだった。
「それは、カラスとか野良犬とかそう言ったのが来た時に追い出すために色々な音を出すロボットだな」
「何でワニの姿なの? 普通犬とかじゃないの?」
「定番から外れて見たかったのさ」
「あ、晴香ちゃん、こっちに犬型もあったよ」
「こっちには猫型もあったぞ」
英美里と聖奈も晴香が見つけたのと同じタイプの発明品を見つける。
「南条さん、押しても良い?」
「ああ、確かランダムに色々な音が出たはずだから」
梓美の許可を貰った晴香は試しにワニ型ロボのボタンを押す。
チュドーン!!!
ミサイルが激突したような音が出るのだった。
「確かにこれは凄いね」
「こっちは機関銃の音が出たよ」
「こっちは花火の音だ」
その後も晴香達は面白かったのか何回かボタンを押していき色々な音が出るのだった。
「へえ、面白いね、これで全部かな?」
『あなた達を絶対に許さない!! 覚悟しなさい!!』
「え?」
突然のセリフに晴香は一瞬驚く。
『この世界はお前達の好きにはさせない!! うおー!!』
「え?」
『人々を守る光よ!! はあー!!』
「え?」
英美里と聖奈も同じようにセリフが出て来て一瞬驚くのだった。
「あ、それ一定の確率で出るレア音声だな」
「レア音声って、このワニ女性だったの」
「犬は男だったね」
「猫は女だったな」
「何か、すご、い」
「本当は家の防犯用にできないかなと思ってたんだが、近所迷惑になりそうな気がして完成したけど使い所が今だわかっていない状態なんだ」
「凄いと言えば凄いがな」
「でも、かわいいですわね、エリーちゃんを思い出しますわ」
ここで気絶していた茜が復活するのだった。
「エリーちゃんって何だ?」
「我が家で飼っているワニですわ、とてもかわいらしいのですわよ」
「アンタ、ワニ飼ってるの!?」
「ご安心くださいな、我が家の完璧な設備によって管理して飼われてますわ」
「知りたくない情報を知った気分だよ」
茜の思いがけない情報に頭を抱える沙月であった。
その後も探し続けるが何の発明品なのかはわからずじまいであったが。
「何だこれは?」
真央が何かを見つけるのであった。
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