第335話 会いに行った
これは真理亜達と別れたレイア達がマンションに行こうとしていた時の話である。
「レイア」
「どうしたシャロ?」
「そなたが人間界に行った時に来た我に言った事を覚えているか?」
「どんな事だ?」
「我の配下がこの人間界に来ていると言う話なのだ」
「ああ、グムバの事か」
「そう、グムバなのだ」
グムバとは人間界に来てそのまま人間界に住み着いた元シャロの配下の魔族である。
「そのグムバがどうかしたのか?」
「前に来た時はすっかり忘れていたがどうせ来たのだから会いに行きたいと思ったのだ」
「会ってどうするんだ?」
「特に理由などないのだ、ただ会いに行きたいと思ったのだ、それらしい理由があるとするならかつての配下にちゃんと会って話をしてけじめをつけたいと言う理由なのだ」
「けじめ?」
「知らなかったとは言え、我の配下だった者がレイアの大切なマリアの命を狙ったのだ、そこはちゃんと魔王としてけじめをつけるのだ」
「そう言う事か」
「会いに行くのは良いけど、そのグムバって魔族がどこにいるかわかるの?」
「あ」
ミューラの言葉でシャロはその場で固まるのだった。
「た、確かに、我はグムバの居場所を知らないのだ」
「それなら僕に任せろ、グムバの魔力なら覚えているから探せるぞ」
「おお、さすがなのだレイア!!」
「じゃあ、早速探してみるか」
レイアは目を閉じ周りの感じ取る。
「見つけたぞ、そんなに遠くないな」
「おお!!」
「じゃあ、行くぞ」
レイアの道案内でシャロとミューラはレイアについて行き、時間にして十五分くらいでレイアの足は止まる。
「ここだ」
レイアが指差すとそこには一軒のマンションが建っていた。
「この中にいるの?」
「ああ、そうだ」
「よし早速行くのだ!!」
そこからさらにレイアが歩いて行き部屋の前で止まる。
「この部屋だ」
「そうか、おいグムバ!! いるのはわかってるのだ!! 早く出て来るのだ!!」
シャロが部屋のドアを手でガンガンと叩く。
「やめろシャロ、普通にインターホンを押せば良いだろ」
ドアを叩くシャロを止めレイアはインターホンを押すとドアの向こうから足跡が聞こえて来る。
「はい、どちら様ですか?」
「やっと出て来たのだ」
「え?」
グムバはシャロの姿を見ると数秒の間沈黙が起きやがてシャロの事を認識する。
「あ、えっと」
グムバはそのままドアを閉めようとするがシャロが強引に手で止めてドアを開く。
「おい、何で閉めるのだ!!」
「そりゃ、お前がいきなり目の前に現れたからだろ」
「うん、人間界にいたのにいきなりかつて仕えた魔王が目の前に現れたら、こんな反応にもなる」
「我が悪いのか!?」
レイアとミューラの言葉にどうも納得がいかないシャロだった。
魔王シャロは、かつて配下だった魔族と出会ったのだった。
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