第330話 シャロとミューラからの話
「帝国が妙な動きをしている?」
マンションに帰ったレイアはシャロとミューラから元の世界の情報を聞いていた。
「そうなのだ、他の魔王達も言ってたが帝国がここ最近でどうも妙な動きをしているのだ」
「うん、たくさんの武器を用意したりたくさんの勇者達もいたまるで何か大きな戦争でも起こすかのような動きだった」
「帝国か」
帝国とはレイア達のいた世界の人間の国で一番の武力を誇る国である。
しかし、あまり良い話は聞かない国でもある。
「セレナが言っていたがあまりにも酷い国だと聞いているな」
「実際そうなのだ、しかも王がヤバい奴なのだ」
「自分こそが世界の頂点に立つ存在だとか言っているし、その子供達も自分達が全ての人間を統治する存在だとかイカれてるとしか思えない奴等」
「おまけに平民達は自分達のために命を捧げるべきだとか気に入ったのがいたら好き勝手に奪ったりして上に立つ存在としていてはいけない奴等なのだ」
シャロもミューラも嫌悪感を露わにして言う。
「そう言えばアイシスも言ってたな、忠告も聞かずに勇者召喚をして戦争の兵士にしていると、しかも戦う事に反対している人間には隷属の首輪で隷属させて無理やり戦わせてるとか」
「ますます、いけ好かない奴等なのだ」
「正直どうかと思う」
「それで、その帝国が大量の武器と多くの兵士に勇者か何を考えているのかわからないが、あまり良い予感がしないな、リズ、ドラギオス達から新たな報告は来てるか?」
「いえ、まだです」
「なら気長に待つしかないか」
「まあ、奴等が何を考えていても我の所に来たら容赦なく滅ぼしてやるのだ、ぬ? 何なのだこのカード、数字じゃないのだ」
「ジョーカーのカードを引いたな、それはババでそのカードを最後まで持っていた奴が負けだぞ」
「何だと!? なら早く手離さないとならないのだ」
ババを引いたシャロは自らの手札をシャッフルする。
実は話しながら三人でトランプでババ抜きをしていたのだ。
「ほら、次はミューラなのだ」
「・・・・・・」
ミューラはシャロの手札に手を伸ばし退くカードの手前で止めてシャロの顔を見ると。
「・・・・・・」
凄く焦ったような顔をしているシャロがいた。
(シャロ、わかりやす過ぎ)
ミューラはカードを一枚引いてそのカードを見るとそのカードはババだった。
「!?」
ミューラはすぐにシャロに顔を向けるとそこにはニヤニヤしたシャロがいた。
「どうしたのだミューラ?」
「やってくれる」
「ババでも引いたのか?」
元の世界の人間達が妙な動きをしても魔王である彼女達にとってはトランプで遊びながら話すくらいの危機感だったのだ。
「人間界の料理はどれも旨いのだ」
「うん、どうやって調理したらこうなるのか気になる」
「長い年月を掛けて研鑽していった結果だな」
リズが作った人間界の料理を美味しそうに食べる三人。
もはや帝国の話などすっかりどうでもよくなっていたのだった。
夕飯を食べ終えた三人はテレビゲームをするのだった。
「ぬあー!! 負けたのだー!!」
「勝利、ブイ」
対戦ゲームでシャロが負けて落ち込んでいるのと反対にミューラは手でブイサインをしている。
「そろそろ、他のゲームでもするか?」
「なんかこう我が驚くようなゲームはないのか?」
「驚くゲームか、じゃあこのゲーム何てどうだ?」
「何なのだこれは?」
「ホラーゲームと言ういわゆる怖いゲームらしい、あまりの怖さに大人もビビッてしまうゲームだそうだ」
「怖いって事は幽霊とかそう言うのが出て来るの?」
「幽霊と言うよりどっちかって言うとバケモノの方が近いかな」
「はっはっはぁ、いくら怖いと言っても所詮作り物なのだ」
「じゃあ、やってみるか? 僕も最初は少しビビったけど」
「面白いのだ、早速見てみるのだ」
「わかった・・・・・・後悔するなよ」
そう言ってレイアはホラーゲームをセットして起動させる。
起動すると最初にどこか暗い場所を一人で歩いている映像が出て来る。
「ん? 何なのだこれは?」
「どこかの夜道を歩いている?」
「オープニング映像だな、全部見るか?」
「良いのだ、全部見てやるのだ」
「わかった・・・・・・本当に後悔するなよ」
「何でさっきと同じ事を言ったのだ?」
「良いから続きを見な」
続きの映像を見ると夜道を歩いた先に大きな屋敷が目に入る映像が流れそこからタイトルが表示される。
「この大きな屋敷が舞台なの?」
「ああ、この屋敷の中に入って色々な謎を解いたりバケモノ達と戦ったりするゲームだ」
「ほう、中々の表現だがこんなものじゃ我が怖がる事はないのだ」
「その強気がいつまでも続くと良いな、ほらスタートさせるぞ」
レイアがスタートボタンを押してホラーゲームが始まるのだった。
「ん? 景色しか見えないのだ」
「ああ、これはプレイヤー目線のゲームでな、要するに僕達自身がそこいてその目線で進めて行くってゲームだ」
「私達の目線なんだ、なるほど確かにこんな気味悪い場所で私達の目線で進んだら大人でも怖がる理由がわかるね」
「ふ、ふん、まあ所詮人間が作った物だからな、問題ないのだ」
そう言ってシャロはコントローラーを操作して移動するのだった。
するとイベントシーンが入りバケモノ達との戦闘が始まる。
「おわ、バケモノ共が来たのだ、ってうわ!! いきなり横からも来たのだ!!」
いきなり横からも敵が現れてシャロは驚くのだった。
「な、何なのだこれは、いきなり目の前に現れて横からも来たのだ」
「しかもバケモノ達も本当にいるかもしれないくらい良くできている、しかも人の姿をしていて動きも人と同じだから余計に怖く感じるね」
「二人もそう思うか、本物と違って気配とかわからないからいきなり横や背後から来た時は僕も何度もビビったな」
その後もシャロはプレイヤーを操作して移動する。
「なあレイア、これ絶対取ったら何か来るのだ」
「取ってみないとわからないだろ?」
「絶対来るのだ、だってここまで移動して何も出て来なかったんだから、ここらで絶対来るのだ」
「シャロ、取らないと先に進まないから早く取って」
「ミューラ、そなた見てるだけだからわからないがやってる我は結構精神が参ってるのだ」
「良いから取って」
「そなたは鬼か」
シャロは先に進むための重要アイテムを取るとどこかから音が鳴る。
「ほら、やっぱり何か出たのだ!!」
「取りあえずアイテム手に入れたんだから先に進もう」
「わかったのだ」
シャロは操作して進んで行くと暗くなっている部分がありそこに近づくと目の前にいきなり恐ろしい見た目のバケモノが現れた。
「うわああー!! やっぱり出たのだー!!」
「シャロうるさい」
「だってミューラこれ見てみろ、気持ち悪い見た目のバケモノなのだ!!」
「・・・・・・こんな見た目の魔物っていなかったっけ?」
「いないのだ!! こんな気持ち悪い魔物なんて見た事ないのだ!!」
「まあ確かにここまで気持ち悪い見た目の魔物は見た事ないな」
「シャロ、追って来てるよ、頑張って逃げて」
「簡単に言うな!! めっちゃ気持ち悪くて何か怖いのだ!!」
その後もシャロは不意打ちで出て来るバケモノ達に会う度に驚きの声を上げるのだった。
「か、完全に舐めていたのだ」
息を荒くしながらシャロは疲れ果てたような顔をしていた。
「こ、こんな恐ろしいものがあったとは、恐れ入ったのだ」
「うん、とんでもなく怖かったね」
「そなたは見ていただけなのだ」
「まあ、これはかなり怖いゲームって言われてるからな」
「他のゲームにするのだ、もっと楽しくて面白いのが良いのだ」
「わかった、そうしよう」
その後はホラーゲームではなく楽しいパーティー系のゲームをして楽しんだがその日の夜に。
(何なんだこれは?)
あまりにも怖かったのかシャロとミューラはレイアを真ん中にして両脇からレイアの腕を掴んで寝たのだった。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。




