第327話 魔王様一向、観光 シャロとミューラとゼルア
「さあ、行くのだ!!」
シャロがそう叫びながら前を歩く。
「おい、シャロ他の子もいるんだから勝手に行くな」
ゼルアがシャロを呼び止める。
こちらではシャロ、ミューラ、ゼルアの三人がレイアと共に真理亜達と行動をしていた。
「何を言ってるのだゼルア、久しぶりの人間界なのだ、たくさん遊ぶのだ」
「おい、人間界って君は何を言ってるんだ」
人間界と言う言葉が出て来た事によりゼルアは自分達が真理亜達に不審に思われるのではないかと思い焦る。
「ゼルア、大丈夫だ」
「何が大丈夫なんだ?」
「真理亜達にはシャロがそう言う設定でいるんだと思っているそうだ、どうやら人間界にそう言った自分で考えた人物を作ってその人物になりきると言う考えを持った者達も多くいるそうだ」
「そんな想像力豊かな人間達もいるのか、人間界の人間は色々なのがいるんだな、と言う事は」
「ああ、シャロがそう言う人物になりきっていると思っていて実際に魔王だとは思っていない、だからシャロはあのままで大丈夫だ、その証拠に見てみろ」
「シャロ様、何をして遊ぶんですか?」
「わからないのだ、人間は何をして遊んでいるのだ?」
「そうですね、色々ありますけど、シャロ様が喜ぶかどうか」
「構わないのだ、それを言うのだ」
「ほらな、こんな感じで皆シャロに話を合わせてくれるんだ、良い奴等だろ?」
「人間の子供達に気を遣われるなんて」
ゼルアは額に手を当てて複雑な気持ちになる。
話をしていると皆で公園で遊ぶ事になるのだった。
「いーち、にーい、さーん」
彩音が顔を手で覆って数を数えて他は隠れる場所を探している。
どうやらかくれんぼをしているようだ。
「人間界の人間は面白い遊びを考えるんだな」
「うん、私達の世界じゃ、お茶をしたり本を読んだりとか後は魔法や剣を練習したりとかそんな感じの事ばかりだった」
「おお、中々楽しそうなのだ」
ゼルア達は隠れ場所を探しながら人間の遊びに興味を持っていた。
「あ、シャロ様見っけ」
「ぬお!? 見つかったのだ!!」
「次はシャロ様が鬼だよ」
「ぬう、我が鬼になったからには絶対皆見つけてやるのだ」
シャロが鬼となりかくれんぼを続けるのだった。
「だーるーまーさーんーがーこーろーんーだ!!」
そう言って真理亜が振り向くと全員が動きを止める。
「ぬう、移動しているのに急に止まらないといけないとは何と言う遊びなのだ」
「集中力、いる」
「だが、言うのがあんなに遅いなら問題ない」
「それはどうかな」
「だーるーまーさーんーがー」
真理亜が再び言い始めるとゼルアとシャロが早歩きをする。
「ころんだ!!」
「な!? 早いのだ!?」
「まさか、言う早さは自由なのか」
ゼルアは、どうにか止まるがシャロは勢い余ってそのまま倒れてしまう。
「シャロ様、動いた」
「ぬーうーくーやーしーいーのーだー」
「話し方が移ってるぞ」
シャロが鬼となりだるまさんがころんだが続くのだった。
「えい」
「ぬあー!! やられたのだー!!」
唯に缶を蹴られシャロは再び鬼になる。
「シャロ、君さっきから鬼になってばかりだな」
「くう~、まさかこの我が人間相手に後れを取るとは」
拳を強く握りシャロは悔しさを露わにする。
「シャロ、弱い」
「ぐう~」
「シャロ、少し休憩するか?」
「するのだ」
たくさん遊んだため皆で休む事になった。
「はあ、なんか疲れた」
レイア達が一緒にいるのをゼルアは一人ベンチに座りながら見守っている。
「あの、大丈夫ですか?」
「ん?」
隣を見ると沙月がゼルアに話し掛けていた。
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