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第322話 魔王様一向、観光 リーザロッテ 2

(どうしてこうなったのでしょう)


 シエラの命でリーザロッテを案内する事になったセレナは、今とんでもないくらいに緊張していた。


(そもそも、元人間だった私が魔王を案内するって誰が想像できたのですか)


 まさかこんな日が来るとは夢にも思っていなかったセレナは不安でいっぱいだった。


(レイアお姉様以外の魔王なんて会った事すらないから、何をどう接すれば良いのか全くわかりません)


「セレナと言ったな?」


「は、はい!?」


 内心で不満を言っていると突然リーザロッテに話し掛けられてセレナは上ずった声で反応する。


「どうかしたのか? そなたさっきからやけに顔色が悪そうじゃが、気分でも悪いのか?」


「い、いえ、そんな事は、大丈夫です」


「ふむ、なら良いのじゃが」


 二人はしばらく歩いて行くが沈黙が続いて行く。


(ど、どうしましょう、会話が思いつきません)


 何か言わないといけない感じているが会話内容が何も思いつかないセレナ。


(何か話さなきゃいけないのかもしれませんが、相手は魔王、何を話せば良いのか)


「セレナ」


「は、はい!!」


「そなた、妾が怖いのではないのか?」


「え!?」


 突然のリーザロッテの言葉にセレナの顔は蒼褪めていく感覚になっていく。


「考えて見ればそなたは、今はシエラの眷属となってヴァンパイアになっても元は人間、対して妾は魔王の一人じゃ、そんな妾と一緒にいて恐怖を感じない方がおかしな話じゃ、正直に申すのじゃ、それで妾がそなたを同行する気はないのじゃ」


「ええと、では言わせていただきます」


 セレナは大きく深呼吸をして自分を落ち着かせる。


「正直に言いますと、怖いと言う感情より緊張と言う感情の方が強いですね、何を話せば良いのかわかりませんし、何が好きで何が趣味なのか知りませんからだから何からどう話せば良いのかわからなくて、何か話そうとしても魔王を相手にしていると思ったら緊張してしかもこの黙った空間がさらに緊張感を上げてしまって、怖いと言うより緊張してます」


「何じゃ、緊張しておったのか、妾はてっきり怖くて何も話せないのかと思っておったのじゃ」


「そんな事はないです、そもそも怖かったらシエラお姉様に言われた時にやんわりと断りますし、こうやって隣に歩いてはいませんよ」


「そうか、なら良いのじゃ」


「それにリーザロッテ様こそ私が隣に歩いてよろしいのですか?」


「む? どう言う意味じゃ?」


 セレナの言葉にリーザロッテは首を傾げる。


「今はヴァンパイア族となり眷属ではありますが、それでも元人間です、魔族からは下等生物と言われた人間です、そんな人間が隣にいて良いのでしょうか」


「なんじゃ、そんな事気にしておったのか、どうでも良い事じゃ」


「え?」


「確かに妾は人間を下等生物だと思っている、それは今も変わらないのじゃ、だがそれで元人間だから隣に立つのが気に入らないと思うほど妾は器が小さくないぞ」


 リーザロッテは堂々とした態度で言い切る。


「そなたも元人間で今はヴァンパイア族じゃ、同じヴァンパイアなら一緒に歩いて何かおかしいか?」


「いえ、何もおかしくありません」


「なら、そなたも堂々と妾の隣を歩くのじゃ」


「はい」


 リーザロッテに言われて何かが吹っ切れたのかセレナの緊張はなくなっていた。


「では、リーザロッテ様どこか行きたい所はありますか?」


 セレナはリーザロッテに聞く。


「そうじゃな、一日中いても楽しめる場所があれば良いのじゃが」


「じゃあ、行きますか? 楽しい場所」


「そんな所があるのか?」


「ええ、私について来てください」


 セレナに言われリーザロッテはついて行く。


「ここです」


「ここは?」


「遊園地と言われている大きな遊び場です」


 辿り着いたのは遊園地だった。


「人間がたくさんおるのじゃ」


「たくさんの人間が楽しめる場所ですからね」


「随分と賑やかじゃが、妾はちょっとやそっとの事では楽しまんぞ」


「大丈夫ですよ、きっと楽しめると思います」


「そこまで言うなら良いじゃろう、人間界の遊び場がどれほどのものか妾自ら見てやるのじゃ」


 そう言ってリーザロッテはセレナと共に遊園地に入るのだった。

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。

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