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第321話 魔王様一向、観光 リーザロッテ

「・・・・・・」


「・・・・・・」


 場所は、シエラが暮らしているマンションで現在シエラの前にはレイアと別れて行動していた魔王リーザロッテが座っていた。

 その空間にいたセレナは紅茶を出してただこの気まずい空気をその身に感じていた。 


(何でこんな事になったのでしょうか)


 何故こうなったのかそれは、今から数分前に遡る。


~数分前~


 いつものようにシエラとセレナは部屋の中でくつろいでるとインターホンが鳴る。


「誰でしょうか? 今日は樹里さんとも奈津美さんとも遊ぶ約束はしていませんが」


「私が出ましょう」


 セレナが立ちドアを開ける。


「え?」


「ここにシエラがいるはずじゃが、そなた知らぬか?」


「ええっと」


「セレナちゃん、誰でしたか? え?」


 シエラはその姿を見て驚く。


「おお、そなたがレイアの右腕と言われている五大幹部のシエラじゃな?」


「あなた様は、もしかして第七魔王のリーザロッテ様ですか?」


「え!?」


 魔王と聞いたセレナはリーザロッテを見て固まる。


「ふむ、早速だが上がって良いか?」


「・・・・・・靴を脱いでくださいね」


(上がらせるのですか)


 心の中でそう思いながらセレナはリーザロッテを上がらせるのだった。


~そして現在~


「なるほど、シャロ様によって他の魔王様と一緒にこの人間界に来たと言う事ですか」


「その通りじゃ」


 紅茶を優雅に飲みながらリーザロッテは答える。


「それで、どうして私の所に来たのですか? 私達ってお互いに会うのは今日が初めてですよね?」


「そなたの事は噂だけは聞いていたからな、レイアの右腕と言われているヴァンパイア族とウィッチ族のハーフであるそなたのな、前々から興味があったのじゃどのような相手なのかをなそれで人間界に来ていると聞いたから会って見たくなったのじゃ」


「そうですか、こっちもリーザロッテ様の事は噂くらいしか聞いてませんね、純粋なヴァンパイア族でありながら人間の血を吸わなくても普通に食事をすれば生きていける事を見つけたお方だと、そのおかげでヴァンパイア族は人間に頼らなくても生きていける事実に気付いたと」


「ああ、あれかただ少し考えれば誰でも思いつく事だから大した事をしたとは思っていないのじゃ」


 リーザロッテはそう言いながら紅茶を飲む。


「ふむ、それにしてもこの紅茶中々美味なのじゃ、人間界で作られたものらしいが妾は気に入ったのじゃ」


「ああ、それ一般の人が買える値段なのでそんなに高級な物じゃないですよ」


「何じゃと、これが一般の紅茶じゃと? 妾達の世界の高価な紅茶でもこれほどの物は中々ないぞ」


「確かにそうですよね、ちなみにこのクッキーも一般の人達が買っている物ですよ」


「このお茶菓子か」


 リーザロッテはクッキーを一つ手に取り口の中に入れる。


「ほう、外は少し固いが中はサクサクしていて味もしっかりついていて風味も良いのじゃ」


「バタークッキーですね、ちなみにこちらの黒いのはチョコクッキーだそうですよ」


「ふむ」


 リーザロッテはチョコクッキーを手に取り口の中に入れる。


「こっちは白い方と違って味は少し抑えられているがこっちも悪くないのじゃ」


 クッキーを食べ終えたリーザロッテは紅茶を飲む。


「紅茶とも合って見事じゃな、それにしてもシエラよ、本当にこれほど美味なのに高くないのか?」


「はい、大体これくらいのお菓子なら銀貨一枚くらいで高くても銀貨数枚で買える値段ですね」


「妾が言うのも何じゃが、この世界の人間達はちゃんと食べているのか?」


「問題ないですよ、だって子供だって毎日お腹いっぱい食べてますからね」


「子供が満足するなら問題ないのじゃ」


「それより、リーザロッテ様、私に会って見たくなったと言いますが、本当にそれだけですか?」


「どう言う意味じゃ?」


 紅茶を飲みながらリーザロッテはシエラを見る。


「リーザロッテ様はレイアお姉ちゃんの事が好きですよね? ならレイアお姉ちゃんと一緒に行動する、それなのにわざわざ私の所に来た理由が会って見たくなっただけで終わるとは思えないんですよ」


「ほう」


 リーザロッテはティーカップを置く。


「そうじゃな、妾がここに来た理由じゃが、それは」


「それは」


 二人の緊迫した空間にセレナは生唾を飲み込む。


「いや、本当に特に理由はないのじゃ、マイスイートと一緒に行きたかったがこの世界の子供達と一緒に遊ぶから大人の妾が行ってもイチャイチャできないと思っただけじゃ、そして最初の理由の通りそなたに会って見たくなっただけじゃ」


 ガクッ!!

 

 リーザロッテの言葉にセレナはコケた演技をする。


「む? そなた大丈夫か?」


「は、はい、大丈夫です」


「そうか、それよりそなた純粋なヴァンパイア族じゃないな、元は人間か?」


「あ、はい」


「そうか、眷属化かそれを使うヴァンパイア族がいたとはのう、今では人間を眷属にする考えを持つ者はいないのじゃ」


「セレナちゃんを筆頭にレイアお姉ちゃんの専属部隊レイアシスターズですからね」


「レイアシスターズ、噂には聞いていたが本当じゃったとは」


「今は真理亜様の護衛で数は増えてませんが元の世界で絶望する人間など履いて捨てるほどいるのでどんどん増えていきますけどね」


「なるほど、辛い境遇を生きた人間達を有効利用していると言う事か考えたのう」


「それで、この後どうするのですか? 私に会いに来たと言うのはもう果たされましたけど」


「そうじゃな、特に何も考えてなかったのじゃ」


「でしたら、セレナちゃんに人間界の楽しい場所に連れて行ってもらいましょう」


「え?」


 シエラの言葉にセレナは驚く。


「私はこれから樹里さん、奈津美さんと遊ぶ約束があるのでリーザロッテ様の相手をお願いしたいのです」


「私がですか?」


 セレナは困惑したように問う。


「そうか、頼むぞ」


(わたしに拒否権はなさそうですね)


「わかりました、私で良ければ案内させていただきます」


 潔く諦めたセレナはリーザロッテの相手をする事になった。

 

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。

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