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第320話 魔王様一向、観光 ロウキとドラグ 3

「準備ができたぞ」


「おお、いよいよか」


 店主に呼ばれロウキとドラグは奥の部屋へと入って行く。


「アンタ等、これをつけてくれ」


 そう言い店主は軍手とヘルメットとフェイスガードを渡す。


「何じゃこれは?」


「ふむ、おそらく我々の身を守るための物だろう」


「その通りだ」


 ドラグの言葉に店主は肯定する。


「刀を打つと火花が飛び散る、万が一当たってやけどでもしたら大変だからな、うちでは見学者にはしっかりとガードをしてもらってから見てもらうんだ」


「なるほど、ワシ等への配慮か」


「うむ、その配慮に感謝を」


 ロウキとドラグは渡された物を身につけて部屋に入る。


「おお、ガルザの部屋と同じような作りだな、だがこっちの方がいくらか綺麗に整備されとるのう」


「うむ、年季の良さが伝わるな」


「それじゃ、見ていてくれ」


 そうして店主は刀を打つ作業をロウキとドラグに見せ、ロウキとドラグはその姿に見入っていた。


「おお、的確に作っているな」


「うむ、一切の無駄もなくに作っている、これならあの刀の出来も納得だな」


 店主は鉄を熱しては神経を集中するように見て取り出しては打ち付けて刀の形にしていく。


「見事な集中力じゃ、火に入れている間もただ待つだけでなく最高のタイミングで取り出すために見ているんじゃろう」


「正に職人、あの者には今我々の声すら聞こえておらず刀しか見えていないのかもしれん」


 それから二人は店主の職人としての動きを見て何も言わずに見続けていた。


「とまあ、このように時間を掛けていって刀は完成していくのさ」


 刀の作りを見せてもらい二人は店主と共に部屋から出る。


「一朝一夕ではできない、時間を掛けるからこそあの素晴らしい出来になるのか」


「職人としての一つの物を作る事に対する思い、その一片でも見れたのは良い勉強になった」


「こっちも久しぶりにアンタ等みたいなのが見学に来てくれて嬉しかったよ」


「店主よ、実は頼みがあるのじゃ」


「何だ?」


「ワシの知り合いにアンタと同じ鍛冶師をしてるのがいてのう、この国の刀を見て自分もこんな刀を作りたいと思っているんじゃがあれこれ考えているんじゃがどうもうまくいかないと言って思い悩んでいる状態なんじゃ」


「スランプって奴だな、ワシも経験がある」


「そこでじゃ、アンタの刀の作り方ってのを説明してもらいたい、ワシがメモをしてそいつに見せたいのじゃ」


「ワシの作り方をか?」


「無茶な事は重々承知しているし、作り方をおいそれと他人に教えられないかもしれないがあいつが悩んでいて何もしてやれないのは歯がゆい、どうか頼む」


 ロウキは店主に頭を下げてお願いする。


「別に頭を下げなくても教えてもらいたいなら一から作り方教えてやるぞ」


「良いのか!?」


「刀の作り方なんて本でもあるしネットで調べればある程度作り方が出たりしているしテレビでも紹介されてるしな、別に教えても問題ないぞ」


「そ、そうなのか、ならぜひ教えてくれ、メモを取るから事細かに詳しく」


「ああ、良いぞ」


 それから店主から刀の基本的な作り方をロウキは事細かく一言一句逃さずにメモに記し教えてもらったお礼にロウキはその店で一番高い刀を買って店を出るのだった。 

 その後も二人は色々な店を周り充実した時間を過ごしたのだった。





読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。

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