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第318話 魔王様一向、観光 ロウキ、ドラグ

 レイア達と別れたロウキとドラグの古株組は共に行動していた。


「ほう、色んな店があって面白いのう」


「うむ、どこから行けば良いか迷うな」


 二人は商店街にたくさんの店があり元の世界でも外に出る事があまりなかった二人にとってここは興味を持つ場所であった。


「ほう、ドラグよあそこ甘味処のようじゃぞ」


「ふむ、少し小腹が空いたし寄って見ようか」


「決まりじゃな」


 ロウキとドラグは甘味処へと入るのだった。


「ほう、中の雰囲気は悪くないのう」


「うむ、どこか落ち着く感じがして我々にはちょうどいい空間だな」


「いらっしゃいませ、こちらメニューになります」


 席に着くと店員がメニュー表とおしぼりとお冷を差し出す。


「これは何じゃ、随分と濡れておるのう」


「おそらくだが、これは手を拭くための物ではないか?」


「なるほど、それなら濡れているのも納得じゃな、しかしまだ頼んでもいないのに水を出すとは、まあ冷たくて旨いが」


「よく見ると我々の後に来た者達にも同じように出していてその者達も当たり前のように飲んでいるな、もしかしてタダで出しているのではないのか?」


「はあー、こんな冷たくて美味しい水をタダで出すとは気前が良いのう」


 お冷を飲みながらロウキとドラグは配られたメニュー表を見る。


「うーむ、人間界の字だからわからなぬな」


「そう言えばイゴール殿から人間界の文字を我々の世界の文字が書いたメモを貰ったな」


「なら、それを見ようじゃないか」


 ロウキとドラグはイゴールから貰ったメモを見ながらメニュー表を見る。


「これは、ダンゴという甘味だな、柔らかく弾力のある食感らしい」


「この棒に刺さっている丸いのか、メニューの隣に絵が載っているのはありがたいのう」


「ふむ、次にこれだがこれは前にレイア殿が持って来たドラヤキとか言う甘味だな」


「あの時のか、アレは旨かったのう、他にはどんなのがあるんじゃ?」


「うむ、そうだな、む?」


「どうした?」


「人間界にはこんな甘味もあるのだな」


「何じゃ?」


「このウジキントキと言う甘味なのだが氷のお菓子だそうだ」


「氷のお菓子? 氷ってあの冷たくて固い氷か?」


「その氷だ」


「うーむ、絵を見る限りあの固い氷とは思えん見た目をしているが」


「しかし、氷の甘味など聞いた事もないから興味がある」


「じゃあ、これにするか?」


「うむ、我に異論はない」


「そうか、なら頼むとしようか、おーいすまんが良いか?」


 ロウキは店員を呼ぶと宇治金時を二つ注文する。

 しばらくして宇治金時が二つ運ばれて来る。


「お待たせしました、宇治金時になります」


「おお、来た来た」


「うむ」


 ロウキとドラグは宇治金時をじっくりと見る。


「本当に氷の菓子だな」


「冷たいから間違いないがこれは細かく削ったのか?」


「この掛かっている緑色の物は何じゃ?」


「それ以外にあるのは白い玉のような物とこれはドラヤキにあったアンコと言う物ではないか?」


「色とりどりで見た目は悪くないのう」


「ふむ、ではいただくとしようか」


 宇治金時をじっくりと見た二人はスプーンで掬って一口食べる。


「ほおー、冷たいのうまさしく氷じゃな」


「まさかここまで柔らかく削る事ができるとは、一瞬で口の中に溶けていったぞ」


「しかし白い部分だけを食べたが何も味がないのう」


「確かに、ならこの緑の部分を食べてみるか」


 二人は今度は緑の部分の氷を一口食べる。


「むう、やはり味があると思っていたがこれは茶なのか?」


「抹茶と呼ばれるものらしいぞ、少し苦みを感じる」


「ふーむ、ん!?」


「ロウキ殿、どうした?」


「いや、試しにこのアンコと一緒に食べてみたがいけるぞ」


「そうなのか? おお、確かにこのアンコの甘みと茶の苦みが良い感じに混ざって旨いな」


「それにしてもさっきから気になっているこの白い玉は何なんじゃ?」


 ロウキがスプーンで白い玉をつつきながら言う。


「ふむ、何やら弾力があるようだが」


「取りあえず食べ見るか」


 ロウキが白い玉を一つすくい口にする。


「弾力があって噛み応えは良いが、何も味がしないのう」


「確かに氷には抹茶が掛かっていてアンコもついているから良いがそれだとこの白いのは何の意味があるのかわからぬな」


 二人は疑問に思いながら白い玉を見るとロウキが何かに気づく。


「のうドラグよ、これってこの氷と同じでこの茶の氷とアンコを一緒に食えば良いんじゃないのか?」


「なるほど、試して見る価値はあるな」


 そう言い二人は白い玉を抹茶とあんこと一緒にして口に入れる。


「おお、思った通り一緒に食うと旨いぞ」


「この弾力にアンコの甘みと茶の苦みが混ざりさらに氷の冷たさがより旨さを引き立てているな、しかもこれだけ一緒に口にしているのに互いに喧嘩せずに引き立て合っている」


「中々の甘味じゃのう」


 ロウキとドラグはそのまま宇治金時を食べ終える。


「ウジキントキ、中々の甘味であったが」


「うむ、まだ物足りないな」


「・・・・・・おかわりするか?」


「うむ、後他の甘味も食べてみたいな」


「んじゃ頼むか、おーい嬢ちゃん!! すまんが追加を頼む!!」


「はーい!!」


 その後二人は宇治金時と他の甘味を堪能して店を出るのだった。


読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。

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