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第317話 魔王様一向、観光 エリス 3

 気に入った服をいくつか買ったエリス達は、その後も色々な場所に行き、気づけば夕方になっていた。


「もう、夕方になりましたね」


「もう、そんな時間なの? 楽しいと時間の流れが速いのね」


「ところでエリス様、この後どうするのですか? 元の世界に帰るのですか?」


「うーん、どうしようかしら、特に決めてないんだけど」


「それでしたら私の家に泊まりますか?」


「え? 良いの?」


「別に構いませんけど、どうします?」


「泊まる」


 こうしてエリスはフィオナの家に泊まる事になったのだった。


「エリス様、料理ができましたよ」


 フィオナはエリスに手料理を振る舞っていた。


「あら、とても美味しそうね」


「人間界のワインは良いものですよ、飲みましょう」


 フィオナはワインのコルクを開けてグラスに注ぐ。


「じゃあ、久しぶりの出会いに」


「乾杯」


 二人はグラスを軽く当てて飲む。


「このワイン美味しいわね、元の世界とは比べ物にならないくらいの美味しさね」


「お土産に持って行きますか? 何本か買ってありますので」


「良いの!? 持って行く、持って行く!!」


「エリス様、何だかとても子供のようにはしゃいでますね」


「何よ、私が子供のようにはしゃいじゃいけないの?」


「いえ、ただ今までそんなにくだけた感じのエリス様を見た事がないので」


「あー、そう言えばそうだったわね」


 エリスは一気に残りのグラスのワインを飲み干し次のワインを注ぐ。


「まあ、私だって魔王だなんだって言われても、こうやってお酒だって飲むしはしゃいだりもするわよ、あ、この料理美味しいワインともいけるわね」


 フィオナの料理を絶賛しながらエリスはワインを飲む。

 フィオナもそんなエリスを見て笑ってワインを飲むのだった。


「ぷはー、本当に美味しいわね人間界のお酒」


 もう何本目かもわからないくらいワインを飲んでいるのにエリスは全く酔っていなかった。


「エリス様って酒豪だったんですね」


「ふふ、昔から酒はいくら飲んでも酔わなかったんだよね」


 そう言いながらワインを飲み干すエリス。


「ねえ、フィオナ」


「何ですか?」


「戻って来る気はない?」


「え?」


「私の所に戻って来る気はないと聞いたのよ」


 そうフィオナに問うエリスは真剣だった。


「フィオナ、あなたを殺そうとしたエルフ達は私がしっかりと罰を与えたわ、今のエルフ達は皆ハーフエルフに対してもある程度の理解を得ている、あなたが戻っても前みたいな嫌な思いはしないわ、だから、戻って来る気はない?」


「・・・・・・」


 フィオナはしばらく沈黙してからワインを一気に飲み干しグラスを置いて話し出す。


「私は、もう戻る気はありません、ここで生きて行こうと考えています」


「そう、まあそんな感じはしていたけどね」


「申し訳ありません」


「謝らなくて良いわ、あーあ、有能な配下を手放しちゃったわね、でもあなたが生きていてくれただけでも良しとするか」


「エリス様」


「さて、しみったれた話はこれでおしまい!! 食って飲もう!!」


 それからワインを飲んではフィオナは次々と料理を作りそれを食べていく。


「ほらほら、フィオナ、遠慮しないで飲みなさい」


「エリス様、酔ってませんか?」


「酔って何てないわよ」


「酔ってない人が言いそうなお決まりの言葉ですね」


「何よ、フィオナ私の酒が飲めないって言うの?」


「いや、その酒は元々私が買ったワインなのですが」


「細かい事気にしないの」


「・・・・・・エリス様、相当普段の仕事で無理してたのですね、ここなら配下は誰もいませんから、存分に息抜きしてください」


 普段見た事ないエリスの姿を見たフィオナはエリスを自由にさせる事にし、その日の夜は大いににぎわったのであった。



 



読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。

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