第29話 沙月とのコミュニケーション
「真央姉さん、おっはよー!」
「ああ、おはよう」
真央は学校に着くと彩音から挨拶されたので挨拶を返す。
「・・・なあ彩音、何だその真央姉さんって?」
「え? 真央姉さんは真央姉さんだよ?」
「いや、お前昨日まで呼び方違ってただろ? 昨日何があった?」
沙月は彩音が真央に対する呼び方が変わった事が気になっている。
「ああ、それについて実はな」
真央は昨日あった事を話す。
当然彩音と話した内容はそのまま話すわけにはいかないと思った真央は適当な内容でごまかす。
「おい、野良犬が入ってきたのかよ」
「大丈夫だった、彩音ちゃん、真央ちゃんどこもケガしてない?」
真理亜は心配そうな顔をして彩音と真央の手を取って聞いてくる。
「ま、真理亜ちゃん!? だ、大丈夫だよ!! どこもケガしてないよ!!」
「僕も大丈夫だ」
彩音は手を握られてか顔を赤くして興奮しながら真央はいつも通りに答える。
「そう、良かった」
真理亜はホッと安心する。
「でも、野良犬が出たのにケガがなかったのは奇跡ですね、先生方が来てくれたのですか?」
「違うよ唯ちゃん、真央姉さんがやったんだよ」
そう言って彩音はその時の事を話す。
「まあ、ひとにらみでおとなしくさせるなんて」
「信じられないが彩音が嘘をつくとは思えないしそれに、なあ」
「うん、朝登校したら校門にいる警備員さん以外に犬が三匹いたから、もしかして」
「ああ、その犬達だよ、僕が言った野良犬、警備犬として学園で飼う事になったらしい」
さて、ここであの後どうなったかの説明をしよう。
彩音が帰った後真央は理事長に野良犬をどうすればいいかを聞く。
理事長は保健所に連絡するべきだと考えるが、真央に懐いているところを見て真央に飼う気はないかと問うが、真央はマンションで犬は飼う事ができないため無理だと答える。
しかし、このまま保健所に連れていかれると処分されるのはわかっているが自分に懐いている犬達を見るとどうにかできないかと思ってしまう。
そこで理事長はある提案を思いつく。
それはこの野良犬達を学園の警備犬として育て学園で飼うと言う事であった。
このまま処分されるよりは良いかと考えた真央はそれに賛成する。
さっそく理事長は警備員のいる場所に向かう。
清涼女子学園は女性職員しかいないが警備員だけは男性職員である。
大柄なおじさんで初見だと怖がられそうだがとても優しいおじさんである。
理事長は警備員に犬を警備犬として育てられないかと問う。
警備員は元自衛官であり警備犬を育てた経験もありちょうど人手を増やしてほしいと思っていたため喜んで了承する。
それを聞いて真央は野良犬達に警備員の言う事をちゃんと聞くようにと言う。
「もし、言うことを聞かなかったら・・・・・・わかってるな?」
さらに念を押すように言う。
当然野良犬達は。
「「「ワン!!!」」」
と力強く答える。
「野良犬をこんなにおとなしくさせるとは、お嬢ちゃん凄いねえ」
警備員は驚いていた。
「ところで理事長、飼うのは良いですが名前はどうしましょう?」
「そうですね、あ、そうだ真央さん名前を付けてもらって良いですか? 真央さんに懐いてる事ですし」
「僕がですか?」
「「「ワンワン!!」」」
「こいつらもこう言ってるし、お願いできないかなお嬢ちゃん?」
「わかりました」
そう言って真央は考える。
「じゃあ、僕から見て左からアルファ、ベータ、ガンマ」
「「「ワン!!」」」
「おお、これは喜んでる時の鳴き声だ、気に入ったみたいだな」
「では、アルファ、ベータ、ガンマと言う事で決まりですね」
こうして野良犬達改め、アルファ、ベータ、ガンマは学園の警備犬として働くのであった。
ちなみに金網の穴は理事長が業者に頼んで直してもらう事になった。
「私が帰ってからそんな事があったんだ」
「アルファちゃん、ベータちゃん、ガンマちゃんですか、カッコいい名前ですね」
「そうか? 何となく思いついたのを言ったんだが」
「それでも、好きな人から名づけられたからきっと喜んでるよ」
「確かに懐いていた相手から名づけられるのは嬉しいかもな」
「なるほど」
こうして今日も真央は友達と楽しく会話をしていたのだった。
授業を終え給食の時間が終わり掃除の時間になる。
「真央、チリ取り良いか?」
「わかった」
真央は沙月と一緒に掃除をしていた。
ゴミを集め終え真央はチリ取りを置き沙月がほうきを掃いて取っていく。
「よし、集め終えたな」
「じゃあ、そろそろ行くか」
ゴミを片付け帰ろうとする真央。
「ああ、真央ちょっといいか?」
そこで沙月が呼び止める。
「どうした?」
「いや、アンタと二人っきりで話したい事があったからさ、ちょうどいいと思ったんだけどいいか?」
「別にいいけど」
「そうか、じゃあ言うけどアンタ彩音の事どう思ってる?」
「・・・・・・え?」
沙月の言葉に真央はただ疑問に思ったのであった。
読んでいただきありがとうございます。