第312話 とんでもない事態は再び起きる
ある日の休日レイアはまたしても異変に気づく。
「なあリズ、僕はこの異変を前にも感じた事があるんだが」
「そうですね、私も感じた事があります」
「シャロの魔力を感じるんだが」
「そうですね、確かに感じますね」
「だよな? やっぱりシャロの魔力だよな?」
「そうですね、シャロ様また来たんですかね? この人間界に」
「そうだよな、あいつ何の予告もなく来る事があるからな」
「そうですね」
レイアとリズがお互いに渇いた笑い声を上げる。
「じゃあ、何で他の魔王達の魔力も感じるんだ?」
すぐにレイアは疑問を口にする。
「これは、行ってみないとわかりませんね」
「やっぱそうだよな、僕が一人で行ってくる」
「わかりました」
レイアはすぐに魔力を感じた方へと向かった。
「お、レイアなのだ、おーい!!」
レイアの姿を見つけたシャロが手を振っている。
「シャロ、聞きたい事があるんだが」
「何なのだ?」
「何で他の魔王達もいるんだ?」
「ああ、それは我がだな」
シャロはその時の事を語るのだった。
~シャロ 回想~
「あ~、暇なのだ~」
城で一人椅子に座りながらシャロは暇そうにしている。
「シャロ様、魔王がそんな態度でどうするのですか?」
シャロの側近であるガリウスが注意する。
「しかし、こうも何も起きてないと暇なのだ・・・・・・」
しばらく沈黙した後シャロは何か思い出したかのように立ち上がる。
「そうだ、また人間界に行ってみるのだ!!」
「はい?」
「少しの間だったけど、この間の人間界楽しかったのだ、暇だから行くのだ」
「人間界に行くってシャロ様何を言ってるのですか? そもそもどうやって行くのですか?」
「どうやってってこうやるのだ」
シャロは何もない所に手をかざし魔力を放出すると魔力の空間が現れる。
「ほら、人間界への空間ができたのだ」
「シャロ様、私は長年あなた様の側近として仕えていますが今だにあなた様の事が理解できませんね」
「そんな褒められると照れるのだ~」
「いえ、褒めているわけでは」
「さあ、ガリウス行くのだ」
「シャロ様、またいなくなったらこの城はどうするのですか、この前も少しいなくなっただけで帰ったら皆物凄く混乱してましたよ?」
「むう~・・・・・・」
ここでまたシャロがまた何かを思いついたかのように手を叩く。
「そうなのだ、だったら他の魔王達も連れて行けば良いのだ」
「何を言ってるのですか、シャロ様」
「そうと決まれば早速他の魔王の所に行ってくるのだ、ガリウスここを任せたのだ」
「あ、ちょっ」
ガリウスの制止も聞かずにシャロはそのまま城を飛び出すのだった。
~シャロ 回想 終~
「と言うわけでそれから他の魔王の所に行ったら皆来てくれたのだ、だから皆でそなたに会いに来たのだ」
ドヤ顔しながら言うシャロに対してレイアは何も言わずシャロの頭を叩く。
「痛いのだ、何をするのだ!?」
「何が何をするのだだ、お前一人来た時でも大変だったのに他の八人の魔王達も連れて来るって何考えてるんだ、お前この世界を侵略する気か?」
「そんなつもりないのだ、現に他の者達にもここに来る前に魔力を抑えるように言ってあるのだ、現に我が来た時と違って人間達は誰も倒れてないのだ」
シャロの言う通り魔王達が全員いるのに近くの人間達は何事もなく歩いている。
「とにかくここにいたんじゃ迷惑になるしな、とにかく近くに公園があるから全員僕について来い」
レイアに言われシャロ達魔王は近くの公園に行くのだった。
「それでお前達なんで来たんだ?」
公園のベンチに一人座りながらレイアは他の魔王達に問う。
「あー、それなんだがなレイア、その何て言うか」
ライオルが返答に困るように言う。
「何だ?」
「お前の人間界がどんな所か気になってさ、それでシャロが人間界に行くって言うからさ」
「うん、それで?」
「面白いから来たってわけだ」
「・・・・・・」
「いや、黙るなよ」
「面白いから来たってもしかしてお前達もか?」
他の魔王達は明後日の方向に顔を向けるがやがて全員が頷いた。
「お前達が人間界に来たのはわかったがまさかルーグとドラグとミューラまでシャロの提案に乗るとは思わなかったぞ、この中でお前達二人は冷静に考えるタイプだったからな」
「うむ、まあレイア殿の言いたい事もわかるが」
「私も人間界に純粋に興味があったんだ、どうにか行く機会はないかと思っていてなそこでシャロ殿が来たから、滅多にないチャンスだと思って来たのさ」
「私も同じ」
「そうか、ちなみに他の奴等の意見も聞きたいんだが」
「俺は単純に面白そうだと思ったからだ」
「ワシもじゃな、強いて言うなら人間界の酒が旨いと聞いたからな」
「僕も何となく興味があったから来たって感じだ」
ライオル、ロウキ、ゼルアがそう答える。
「私はどうしてもこの世界に用事があって来たのよ、人間界でしかできない事だから」
「エリス、もしかしてお前」
「ええ、そう言う事よ」
「そうか」
エリスがどうして人間界に来たのかその理由をレイアは理解し最後にリーザロッテを見る。
「一応聞くがお前は?」
「無論マイスイートよ、そなたに会いに来たのじゃ!!」
レイアの問いにリーザロッテは胸を張って答える。
「お前達が来た理由はわかったがお前達城の方はどうなってるんだ? 魔王が一気に全員いなくなって大丈夫なのか?」
「心配ない妻のエミリアに任せてある、お土産もちゃんと買いに行かなければならないが」
「他の奴等も側近に任せたって所か」
「あれ、真央ちゃん?」
名前を呼ばれたレイアはすぐさま顔を向けるとそこには真理亜達がいた。
「真央姉さん、やっほー」
「ん? なんか他にも人がいるぞ」
「あれよく見たら一人はシャロ様ですよ」
「おお、お前達久しぶりなのだ」
真理亜達を見てシャロは手を振るがレイアはシャロが来た時と同じような状況になった事で混乱する。
(何だこのデジャヴは、シャロの時は一人だから良かったがこいつらの事どう説明すれば)
レイアは頭の中で考える。
どう説明すればおかしくないかを物凄い速さで頭の中をフル回転させ考える。
「真央ちゃん、その人達は?」
(やはり来たか、考えたがもうこれしか思いつかない)
レイアは意を決したように真理亜達に顔を向ける。
「ああ、この人達は・・・・・・僕の親戚達だ」
それがレイアが真理亜達に考えた言い訳だった。
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同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。




