第309話 温泉旅行 中編
「卓球台か」
「温泉と言ったら卓球は外せませんね、漫画とかにもよくありますし」
「温泉に入ったばかりなのにまた汗をかく事をするのか?」
「どうせご飯を食べた後もう一回温泉に入るつもりですしご飯前の運動と言う事でやりませんか?」
とか言いながらもシエラはすでに卓球台にいてラケットとピンポン玉を持ってスタンバイしている。
「やれやれ」
と言いながらレイアも卓球台に向かうのだった。
「卓球ってどうすれば良いんだ?」
「確か十一点先に取った方が勝ちだった気がしますね、後サーブの時は自分のコートでワンバウンドさせて相手のコートでワンバウンドさせないといけなかったはずです」
「なるほど」
「その他にも細かいルールがありますがこれは遊びですし、気のすむまでやりましょう」
「そうだな、軽くやろうか」
レイアとシエラは卓球を始めるのだった。
「じゃあ、行きますよー、そーれ」
シエラは、サーブを打つと自分のコートでバウンドさせてレイアのコートでもバウンドさせる。
「ほら」
レイアも打ち返してシエラのコートでバウンドさせる。
「ほい」
「ふっ」
「そいや」
「はっ」
「はいや」
しばらくラリーが続くがここでシエラが甘く打ってしまった事によりレイアがスマッシュを決める。
「これで僕の一点だな」
「そうですね」
「じゃあ、僕からのサーブだな」
レイアがサーブを打つとシエラはいきなりスマッシュをかまして点を取り返す。
「ふふふ、これで同点ですね」
「やってくれるな」
ここから二人の戦いがヒートアップした。
「はああああああー!!」
シエラ剛速球のサーブを打ち点が入る。
「さあ、どこからでも来てください」
「後悔するなよ」
レイアがサーブを打つとコースギリギリに行きシエラが打ち返すとレイアはすかさずがら空きの逆サイドに打ち込み点を入れる。
「なら、これならどうですか!!」
シエラがサーブを打つが先程の剛速球に比べて明らかにスピードが落ちている。
「さっきより遅いな」
「ええ、だいぶ遅いですよ、何せ」
球がレイアのコートに落ちると急に回転しだしてそのまま横に飛んで行きコートの外に出る。
「回転の方に力を加えましたからね」
「ほう」
何かに火がついたのかレイアもサーブを打つとシエラのコートに入った瞬間球はシエラの方ではなくネットに向かって跳ねていきそのままバウンドして止まるのだった。
「回転に力を加えるのはお前だけじゃないぞ」
「そうですか」
この時レイアとシエラに完全に闘志がつくのだった。
「おおおおおお!!」
「ぬあああああ!!」
「おらー!!」
激しいラリーの末レイアが点を取る。
「はあはあ」
「はあはあ」
レイアもシエラもお互いに全力で打ち合っているため接戦状態になるが試合はレイアのマッチポイントになる。
「この点を取れば僕の勝ちだ」
「ふっふっふレイアお姉ちゃんここで私が取ればデュースそうなれば二点連続で取るまでゲームは続きますよ」
「そうだな、ならこれで終わりにしてやる」
レイアは渾身の剛速球サーブを打つがシエラは完璧に捉えて打ち返す。
「ハーフと言えどヴァンパイア族の視力なら簡単に捉えられますよ」
「やるな」
レイアとシエラの激しいラリーが続いて行く。
すると他の客達が二人の卓球を見て釘付けになっている。
「ねえ、あの二人凄くない?」
「ああ、凄いラリーだな」
「あの二人プロの卓球選手じゃないのか?」
「いや、全く知らないぞ」
「でも、普通にオリンピックに出ていてもおかしくないよ」
「ママー、あのお姉ちゃん達凄いよ」
「本当ね、あのお姉ちゃん達上手だね」
こんな感じで観客のようになっていたが当の二人は気にせずにラリーを続けている。
「これで終わりだ」
レイアがスマッシュを打ちこれで誰もが決まったと思う。
「決めさせませんよ」
シエラがレイアのスマッシュを打ち返す。
「それは囮だ」
レイアはすかさず逆サイドギリギリにスマッシュを打つ。
「まだ終わってない!!」
シエラが飛びつきバウンドする直前に打ち返すが球はネットに当たりそのままシエラのコートに落ちていく。
「僕の勝ちだな」
「くう、悔しいです!!」
「最後まで諦めなかったのは良かったがな」
レイアとシエラの勝負が終わった瞬間周りから拍手が起きる。
「おや、いつの間にか観客が多くいましたね」
「こんなに見られてたとはな、白熱しすぎたな」
「白熱しずぎて、汗かいてしまいましたね」
「もう一回さっと入って行くか」
「そうですね、汗まみれでご飯食べたくありませんし」
レイアとシエラは、もう一回温泉に入るのだった。
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