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第308話 温泉旅行 前編

 商店街の福引で一泊二日の温泉旅行を当てたレイアは、シエラと一緒に旅行する事になる。

 しかもただの旅行ではなくレイアもシエラも元の姿である大人の姿で旅行をするのであった。


「あ、着きましたよ、ここですね」


 温泉旅行で当てた旅館に辿り着いたレイアとシエラは受付をする。

 旅館の人に部屋に案内されレイアとシエラは荷物を置き一息つく。


「いやー、良いですねこの部屋落ち着く空間と言うかなんと言うか」


「ああ、悪くない」


「温泉に入る前にここら辺を周りませんか? 色々なお店も出てましたし」


「そうだな、じゃあ行くか」


 レイアとシエラは、旅館を出て外に散歩がてら色々な店に寄るのだった。


「何だか周りの人達が僕達を見てるな」


「それはそうですよ、だってレイアお姉ちゃん今大人の姿なのですから、この国の人達からしたら綺麗な外国人が歩いているだけで目を惹かれますよ、現に受付の人もレイアお姉ちゃんの綺麗さに見惚れてましたし」


「そうなのか? 僕からすればシエラも綺麗な大人に入ると思うが」


「じゃあ、私達綺麗な外国人が二人ならんで歩いているから余計に目が行くのでしょうね」


「そう言うものか」


「あ、レイアお姉ちゃん美味しそうなのがありますよ、食べましょう」


 シエラは、周りの目などお構いなしにレイアの手を引っ張って行くのだった。


「レイアお姉ちゃん、木刀ですよ、木刀」


「買って行くつもりか?」


「いえ、ただ目についただけですよ、木刀なんて持ってても仕方ないですよ」


「確かに木刀なんて使わないしな」


「じゃあ、あそこにあるソフトクリーム食べましょう、この街限定の味があるそうですよ」


「わかったよ」


 レイアとシエラは、限定のソフトクリームを買い近くに座り食べるのだった。


「限定ソフト美味しいですね」


「そうだな」


「それにしても、私達見られてますけど、ナンパの一つもありませんね、レイアお姉ちゃんこんなにナイスバディなのに」


「別にそれならそれで良いだろ、寄って来られても困るし」


「そうですね、まあ私達に話し掛けられる勇気があればの話ですけど」


 言いながらシエラは、意味深な顔をしてソフトクリームを舐める。

 その後も何事もなく時間を潰したレイアとシエラは旅館に戻るのだった。


「レイアお姉ちゃん、お風呂に入りましょう」


「ああ」

 

 レイアとシエラは、お風呂へと向かう。


「おおー、中々の広さですね」


「窓ガラス越しに景色も見えるのか」


「レイアお姉ちゃん、早速背中の洗いっこしましょう」


「わかったから、引っ張るな」


 レイアとシエラは、互いに背中を洗いっこする。


「レイアお姉ちゃん、大きくなってませんか?」


「どこを見て言ってるんだ?」


「いやこれ絶対大きくなってますよ、私が言うんですからまちがいありませよ」


「そんな簡単に大きくなるものじゃないだろ」


「もしかして、子供の姿になっているのが長いせいで元の姿になった時に急激に成長したのでは」


「そんなバカみたいな話があるか」


「いや、間違いなく大きいですよ、触れば間違いなくわかりますよ」


「おい、何だその手の動きは?」


「大丈夫です、ほんの少し先っちょだけですから」

 

「いい加減にしろ」


「あいた」


 レイアは、シエラの頭を軽く叩く。


「ほら、入るぞ」


「はい」


 レイアとシエラは、温泉に入りリラックスする。


「ふう」


「良い湯ですね~」


「そうだな」


「何より窓ガラス越しに見える景色が良いですね、この景色を楽しみながら身体の疲れを癒す、最高ですね」


「ちょっとした贅沢って奴だな」


「あ、レイアお姉ちゃんここサウナもありますよ、入りましょう」


「ああ、あの熱い部屋の事か」


「子供の姿では滅多にできない経験です、さあ行きましょう」


 シエラは、レイアの腕を引っ張りサウナ室に入るのだった。


「これは、中々の熱さですね」


「ああ」


 サウナ室に入ったレイアとシエラは座ってサウナの熱を受けている。

 ムワッとした熱風が辺りに漂っている空間で二人は汗を流していた。


「これは、火竜の火山でボルケーノドラゴンと修行した時の事を思い出しますね」


「お前そんな所に行ってたのか」


「はい、レイアお姉ちゃんの配下になる子達を探している途中で立ち寄りましたね、火山が噴火する中でボルケーノドラゴンとの死闘を繰り広げ紙一重で勝利を掴んだあの日は、忘れられませんね」


「そう言えば、いつの日だったかお前なんか焦げた姿で帰っていたような気が、あれボルケーノドラゴンとの戦いだったのか、無茶をしたものだな、まだ今の強さを持っていなかったんだから、下手したら死んでたぞ」


「私もあの時は五回ほど、あ、これ死んだなって思った事がありましたね、今思えばよく生きて帰って来れましたねって思いますよ」


「全くだ」


「まあ、火山の熱さに比べたらここはまだかわいいものですね」


「確かに汗をかくにはちょうど良いかもな」


「さて、そろそろ出て水風呂に入りましょう」


「そう言えばサウナの後は水風呂に入るってテレビでやってたな」


 レイアとシエラは、サウナから出てそのまま水風呂に入る。


「おお~、一気に冷たさが全身に来ますね」


「熱くなった身体が急激に冷えていくな」


「でもこの感覚が何だかとっても良いです~」


「確かに何かの開放感を感じるな」


「じゃあ、最後にもう一回温泉に浸かりましょう」


「そうだな」


 最後に温泉に入りレイアとシエラは出るのだった。


「んっ、んっ、ぷはぁ!! 風呂上がりの牛乳最高ですね!!」


 一気に牛乳を飲んだシエラは、爽快感に浸っている。


「確かに旨いな」


「さて浴衣に着替えて行きますか」


 浴衣に着替え終えた二人は部屋に戻ろうとするがシエラが足を止める。


「どうした?」


「レイアお姉ちゃん、あれやりませんか?」


 シエラが指を差したのは卓球台だった。

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「スキルホルダーの少女達」もよろしくお願いします。

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