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第301話 卒業式

 今日も学園へと通うがその日は、いつもとは、違う雰囲気を感じた。

 出会う教師達は、全員着物姿やスーツ姿できっちりと決まっている。

 そして真央達も教室で待機するようにクラスにいた。


「卒業しきっていつもこう普段と違う独特な雰囲気を感じるよね」


 彩音が言うように今日は、清涼女子学園の卒業式である。

 小学部の六年生が今日卒業するのである。


「卒業と言っても、皆離れ離れじゃなくて中学部に進級するだけだけどな」


「でも、卒業式っていつもと違うと言うのは、わかりますね」


「まあ、いつもと違う緊張感みたいなものを感じるな」


 卒業式それは、いつもと同じように学園に通っているはずなのに普通に授業を受けるわけではなく、卒業生を見送る行事であるため教師達もいつも以上に緊張感を出しているのが伝わるのか、雰囲気がいつもと違うのかもしれない。


「卒業式か、どんな感じなんだろうな」


「真央ちゃんは、卒業式を見るの初めてなの?」


「ああ、まあ、そうかもな」


 真理亜の問いに曖昧に答える真央である。


(まあ、僕自身は、途中で学園をやめたし、卒業式って言ったらシエラの卒業式に言った事は、あるけどあれは、卒業式と言えたかどうか)


 元の世界での事を思い返しながら真央は、人間界の卒業式がどんなものか考えていた。

 

「皆さん、卒業式が始まりますので廊下に並んでください」


 そんな事を考えていると一条先生が来て真央達は、廊下に並び卒業式の会場へと移動するのだった。

 会場は、広く学園の全ての生徒の椅子と卒業生の保護者の椅子が用意されている。

 横には、来賓の方々の椅子が用意されていて、真央達は、自分達のクラスの椅子に座る。

 卒業生達は、まだ来ていないが緊張した空気が流れていた。

 しばらくしてから全部の椅子に人が座り、教頭先生の挨拶が始まる。


『ただいまより卒業式を始めます、卒業生入場』


 教頭先生の言葉と共に音楽が流れ、入口から卒業生達が列を作り会場の真ん中を通って行く。

 真央達在校生は、卒業生を祝福するために拍手を送る。

 

『卒業生、着席』


 教頭先生の言葉の後で卒業生達は、一斉に椅子に座る。


『理事長のお言葉』


 理事長が教団に立ち一礼をする。


『卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます』


 理事長の言葉に卒業生達は、一礼する。

 理事長の話が終わり卒業生の各担任達が理事長の隣に立ち自分のクラスの生徒の名前を一人ずつ呼び、理事長が卒業証書を渡す。

 全員に渡し終え卒業生の代表が前に出て卒業生の挨拶をする。

 挨拶を終えると次は、来賓の代表の挨拶が行なわれ挨拶が終わると次は、在校生の代表が卒業生への挨拶をし在校生から卒業生への歌を送る。

 真央達は、立ち上がり練習した歌を歌い、歌い終わると着席し次は、卒業生達による歌が歌われる。

 歌っている途中で卒業生の中には、涙を流しながら歌う者もいた。

 卒業生の歌が終わりその後は、再び理事長の挨拶が始まる。


『あなた達は、この清涼女子学園の小学部を卒業し中学部へと進学します、大人への新たな一歩を踏んで行きます、今以上に楽しい事や辛い事があると思いますがそれでもあなた達は、未来に向かって進んで行ってください、改めましてご卒業おめでとうございます』


 理事長の挨拶に卒業生も涙を流しながらも理事長の言葉をしっかりと胸に刻む。

 理事長の挨拶が終わり、いよいよ卒業式も終わりを迎える。


『卒業生が退場します、皆様拍手でお見送りください』


 教頭先生の言葉で真央達は、拍手をしながら退場する卒業生達を見送る。

 卒業生を見送った後で真央達在校生達も退場しクラスに戻る。

 クラスに戻ってからは、少し時間があったので真央達は、話をしていた。


「卒業式あっと言う間に終わっちゃったね」


「私達も二年後には、卒業するけどな」


「私達ももうすぐ五年生ですね」

 

(これが、卒業式かノワール学園の卒業式もこんな感じだったのかな、まあ途中でやめた僕には、わからないが)


 卒業式を終えた真央は、元の世界で通っていたノワール学園の卒業式がどのようなものかを考えていたが結局わからないので考えるのをやめたようだ。


「真央ちゃん、どうしたの?」


 真央の様子が変な事に気づいたのか真理亜が問う。


「ん、いや、なんでもないさ、ただ卒業式ってこんな感じなんだなって思っただけさ」


「こんな感じ?」


「ああ、なんて言うか悲しいって気持ちもあるけど楽しみな気持ちも卒業生から感じたんだよな」


「まあ、そうかもな」


「卒業式は、今まで過ごした場所を離れるんですから悲しい気持ちにもなりますけど、新しい場所での学園生活も始まりますから、新しい事への期待もあるんでしょうね」


「中学部に行くとできる事も増えて来るからね」


「新しい友達もできるかもしれないしね」


「そうか、新しい事への期待か、そう考えると悪くないな」


 初めての卒業式を体験した真央は、離れる寂しさと新しい事への期待を抱く事にどこか心躍るのだった。

 卒業式が終わりいよいよ真央達も五年生になる日も近づいて来たのだった。


 




読んでいただきありがとうございます。


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