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第296話 真理亜の凄い才能 2

「あれ? 皆どうしたの私の事見て」


 真理亜は、真央達が自分を見ている事に気づく。


「真理亜、それ何を折ってるんだ?」


「え? 鶴だよ」


 沙月の問いに真理亜は、答えるがその鶴は、どう見てもリアルな鶴であった。


「いや、なんて言うか私の知ってる鶴と違うような気が」


「そうかな? でも鶴ってこんな感じじゃなかったっけ?」


「確かにどっからどう見ても鶴だな、だが折り紙で鶴って言ったら普通こっちじゃないのか?」


 沙月は、折り紙に写っている鶴を指差す。


「あ、本当だ、じゃあ、これダメだね」


「いやいや、真理亜それは、それで良いぞ、むしろそっちの方が凄いから」


「そうかな? 普通だと思うんだけど」


「普通ですかこれが」


 唯は、そう言い真理亜の折った折り紙を見るとそこには、今折っていたリアル鶴以外にもリアル犬にリアル猫、他にもリアルカメレオンやリアルウサギなどがあった。


「真理亜ちゃん、凄いね、折り紙が得意だなんて知らなかったよ」


「そんなに大した事じゃないよ」


 そう言って真理亜は、新しい折り紙を取り折り始める。


「私が今の家に行く前に施設で育っていた話をしたよね?」


「ああ、その話なら聞いたな」


「私その時、今よりも暗くて友達もいなかったからずっと一人で過ごしてたんだ、それで一人でいると偶然折り紙を見つけて、一人ずっとそれをしてたらいつの間にかこんな感じになったんだ」


 折り紙を折りながら話をし、話し終えると真理亜は、できた折り紙を見せる。

 その手の上には、リアルに折られたカメがあった。


「さりげなく、暗い過去を話している間にリアルカメができたぞ」


「夏休みの海での砂のアートもそうでしたけど、真理亜さんって芸術の才能が明らかに尋常じゃないですよね」


「うわー、真理亜ちゃんすごーい」


「えへへ」


「なあ、真理亜他にも作れるのか?」


「え? ちょっと待ってね」


 真理亜は、リアルカメを置いて新しい折り紙を折り始める。

 そしてものの数分で出来上がる。


「はい、お猿さん」


「うわー凄い!! どっからどう見てもお猿さんだ!!」


「いや、何で普通にリアルなお猿さんが折れるんだよ!! 見ていたのに何でそうなるのかわからないよ!!」


「真理亜さん、今度は、一から説明してもらって良いですか?」


「え? 良いよ」


 真理亜は、リアルなお猿さんを置いて新しい折り紙を折る。


「えっとまずここを三角に折って」


「うん」


「で、また半分三角に折る」


「うんうん」


「でここを四角にしてここを少し曲げて折って、ここをこうすれば、ほらクマさんの頭ができたよ」


 まだ折っている途中だがそこには、確かにリアルクマの頭の部分ができていた。


「ちょっと待て、ホントに何でそうなるんだ!? 折り方を見たけど何でそうなるのかわからないんだけど!?」


「確かに私も見てましたけど、どうしてその折り方でそうなるのかわからないんですけど」


 沙月と唯が真理亜の折り紙について話し合っていると真理亜は、あっと言う間にリアルクマを完成させる。


「ねえ、真理亜ちゃん、今まで折り紙で難しかったのってある?」


 彩音が真理亜に問う。


「難しかったもの? えっとちょっと待ってて」


 そう言って真理亜は、何かを折り始める。

 それを見て沙月と唯は、再び真理亜の折り方を見る。

 今までと違って少し時間は、掛かったが真理亜は、できたものを見せる。


「えっと、ドラゴンを作ったんだけどどうかな?」


「どうかなって」


「完璧にどこからどう見てもドラゴンですね、しかも髭までできていてどんな折り方したらこうなるんですか」


 真理亜が作ったリアルドラゴンを見て沙月と唯は、どうしてこうなるのか疑問で仕方なかった。


「真理亜ちゃん、すごーい!!」


 彩音だけは、何も気にせずに真理亜の作品を褒める。


「真理亜、ドラゴン以外にも何か折れるのか?」


 ここでずっと見ていた真央が真理亜に問う。


「えっとね、少し時間かかるけど待ってて」


 真理亜は、折り紙を折り始め、十分ぐらいして完成する。


「はい、ヤマタノオロチ」


 そこには、首が八つある大蛇リアルヤマタノオロチができていた。


「「・・・・・・」」


 沙月と唯は、黙ってリアルヤマタノオロチを見ている。


「えっと他にもこんなのも折ったね」


 そう言うと真理亜は、さらに折り紙を折り始める。


「はい、ケルベロス」


 出来上がったのは、地獄の番犬と言われている犬の首が三つあるリアルケルベロスだった。


「他には、こんなのも折ったよ」


 そして真理亜は、さらに次々と折っていく。

 リアルペガサスにリアルグリフォン、もはや空想上の生物まで出来上がってしまった。


「すごーい、真理亜ちゃん」


「何て言うか、もう真理亜のこう言うセンスは、もはや常人には、理解できない才能だな」


「そうですね、もはや才能と言う言葉では、説明できない異常な何かを感じますね」


「凄いな真理亜、砂の城を作った時もそうだが真理亜は、こう言う芸術の才能が飛び抜けて高いのかもしれないな」


「そうかな、えへへ」


 真央に褒められて真理亜は、照れる。


(リズが言ってたしな姉貴の芸術センスが凄かったって、娘の真理亜も凄まじい芸術センスを持っているんだな)


 その後も卒業式への準備を進めて行き、卒業式当日に卒業生の各教室に飾られていた真理亜の折り紙で折ったリアル生物達を見て卒業生達が驚くのだが、それは、もう少し先の話し。


 真理亜の才能恐るべし。

読んでいただきありがとうございます。

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