第295話 卒業式準備
三月に入りいよいよ卒業式が近づいて来る。
真央達は、卒業式の準備を進めていた。
各自色々準備をしていて真央達は、折り紙で飾りを作っていた。
「卒業式、いよいよ私達も五年生になるんだな」
「私達も最高学年の一歩手前になるんだね」
「五年生も皆一緒のクラスになれると良いですね」
「一緒に?」
「あ、真央は、知らないか」
「真央姉さん、五年生になったらクラス替えがあって今のクラスと違うクラスになるんだよ」
「そうか」
真央は、困った事になる。
(参ったな、できれば真理亜と同じクラスになれると良いんだが)
真理亜と守るためには、できるだけ一緒のクラスになりたい真央だがこればかり運だからどうにもできないのである。
「まあ、クラス替えって悲しい結果になる事もあるもんな、自分だけ別のクラスになったりとか」
「うわー、それ一番いやだわー」
「一緒になれるように祈りましょうか」
「まあ、彩音とクラスが違ったらどうにかしてこいつを止められる子を見つけないとな」
「さっちゃん、私を何だと思ってるの?」
「人の姿をした珍獣?」
「酷い!!」
「冗談だ」
「さっちゃんの冗談は、冗談に聞こえない時があるよ」
「まあ、実際違うクラスになったら知り合いがいてほしいよな」
「そうですね、前のクラス一緒だった人がいたら少しは、安心しますね」
「確かに、人と付き合うのが苦手な子にとって、知っている人が一人もいないクラスって苦痛だよね」
「そうですね、話し掛けるのが苦手だからいつも一人で本を読んでいたり」
「給食の時近くの子と机を合わせるけど、皆楽しそうに話しているけど会話に入れなくて一人黙々と給食を食べたり」
「体育の授業の時二人一組になってと言われた時、誰とも組めずに一人でまたは、先生と組んだり」
「帰る時も一人でただ帰ったり」
「二人共ちょっとストップ!! どんどん悲しくなるよ!!」
沙月と唯がダークサイドに落ちたような顔をしながら言い合っていると彩音が連れ戻す。
「おお、悪い悪い、つい調子に乗ってしまった」
「別のクラスになったら新しいお友達ができる楽しみもありますね」
「何でかわらないけど、先にダークサイドな話を聞いちゃったから、ホープサイドな話が全然安心できないよ」
「まあ、こんな話してる場合じゃないし、早く飾りを作ろう」
沙月の言葉で再び折り紙で飾りを作り始める。
「うーん、折り紙って複雑な折り方があるから難しいよ」
「確かに折り方の紙を見ても全然わからないよな」
「何も見ずに鶴が折れたらもう折り紙ができるって思いますよね」
「「確かに」」
唯の言葉に彩音と沙月は、同意する。
(確かに難しいなこの折り紙とか言うのは、こんな色のついた紙で色々なもができるのは、面白いが実際にやるとこうも難しいな)
真央も初めて折り紙をするので思うように上手くできなかった。
(そう言えば、さっきから真理亜は、黙っているが折り紙に集中しているのか?)
会話に入って来ない真理亜が気になり真央は、隣を見ると自分の持っている折り紙の手を止めた。
「なあ、真理亜少し良いか?」
「え? 何?」
「何を折ってるんだ?」
「何って、鶴だけど?」
「あ、鶴なんだ」
「ん? どうした真央?」
「何かありましたか?」
沙月と唯も真央の反応が気になったのか真理亜を見ると二人の手も止まった。
「あれ? どうしたの?」
彩音も真理亜を見る。
すると彩音の手も止まった。
手が止まるのも当然だった。
何故なら真理亜の折った鶴は、普通の千羽鶴とかの鶴ではなく、どっからどう見ても本物の鶴そのものいわゆるリアル鶴だった。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。