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第293話 ジャイアントピザ

「これが」


『そう、ジャイアントピザよ』


 蓋を開けるとそこには、巨大な物体があった。

 物体と言うのは、それをピザと呼んで良いのかどうかわからないからだ。

 上から見れば確かにピザでは、あるが横から見るとそれは、圧倒的だった。

 まるで何層にも重なったホールケーキのような圧さだったのだ。


「ピザと言うよりケーキだな」


『まあ、単純に何枚ものピザを重ねて作ったものよ、シカゴピザと呼ばれているものを元に作ったわ、一枚一枚にちゃんと具材とチーズを乗せているから味は、一番上の具材だけじゃないから安心しなさい』


「確かに一番上の具材だけだと後は、味のない生地だけだからな」


『今切ってあげるわ』


 店主の指示に従い店員がジャイアントピザを食べやすいようにカットする。


『さあ、食べてちょうだい、アンタに制限時間なんて関係ないわね、それじゃ始めましょうか、アンタのタイミングで初めて良いわよ』


「それじゃ、いただきます」


 レイアは、早速ジャイアントピザを一切れ掴む。

 一切れ掴んだだけでチーズがたくさん伸びてとろけていく。

 レイアは、溢さないように両手で持って一口食べる。

 食べて引っ張るとチーズが伸びていきレイアは、その伸びたチーズを辿って口の中に入れていく。


「ん、旨いな」


 続けてレイアは、二口目を口にする。


「ピザと言うよりデカいケーキを手で食べてる感じだな、だが長く伸びるチーズも見ていて面白いしそれでもって旨いのが良い」


 そう言ってレイアは、あっと言う間にジャイアントピザの一切れを完食する。


「さっきは、ただ旨いから食べてたけど、この何層にもなっているピザ一枚一枚違う具材を使っているな、いくつかの種類のピザを重ねたと言う所だな」


 レイアは、味わいながら二切れ目のピザを食べる。

 途中で飲み物のコーラを飲む。


「おお、ポテチだけでなくピザともこんなに合うとはな、コーラは、無限の可能性を感じるな」


 そしてレイアは、三切れ目を食べ終える。

 六等分に切ったのでこれで半分食べ終えた事になる。


「ちょっとチーズが多く味も濃いのにクセになりそだな、毎日ピザを頼んで食べている人がいるが確かにこの旨さと多くの味があるなら毎日食べたいのも頷けるな」


「そうですね、栄養面を見ればピザだけ食べるのは、身体に毒ですが子の美味しさは、毎日食べたくなる、不思議な料理ですね」


 リズもレイアの言う事に同意して自分の頼んだピザを食べている。

 それから時間が経ちレイアは、ついに最後の一切れを手に持つ。


「こんなにボリュームがあって旨いとはな、満足のいく料理だな」

 

 そう言ってレイアは、最後の一口を食べる。


「ごちそうさま」


 レイアは、ジャイアントピザを食べ切ったのだった。


『おめでとう、弟達の言った通りとんでもない子だね、アンタの胃袋は、どうなってるんだい? まあとにかくだアンタの勝ちだよ』


 店主がそう言うと他のお客さんから拍手が鳴り響く。


『はい、これジャイアントピザを元に作られたクッションだよ、これが勝者への景品だよ』


「おお、凄いデカいな」


『それじゃ、これにてイベントは、終わりだよ、この後も美味しくピザを食べてくれ』


 そう言って店主は、去って行く。


「とても美味しいピザでしたね」

 

 リズも自分のピザを食べ終える。


「それよりリズ、気になる事があるんだが」


「そうですね、私も気になっていたんですが」


 レイアとリズは、ある席を見る。


『ん?』


 そこには、いつもレイアが特大メニューを食べる時に何故かいる女子高生と会社員の男性と中年の男性が一つの席で一緒にピザを食べていた。


「なあ、お前達いつも別々に食べていたのに、今日は、何で一緒なんだ」


「ああ、それについてですが、私達あなたが特大メニューを食べる時いつも見かけましたから」


「何となくこの店に入る時偶然一緒になったからさ、それで君について話をしていたんだ」


「そしたら妙に気が合ってさ、今回は、一緒に食おうかって話になって」


『一緒に食べていると言うわけ』


「ああ、そうだっだのか」


 三人の言葉にレイアは、そう言うしかなかった。






~side レイアのマンション~


「おおー、凄いなこのクッション沈み具合が良すぎてなんかボーっとしたい気分かも」


 ジャイアントピザのクッションに寝ながらレイアは、そんな感想を述べるのだった。




読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。

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