第289話 餅つき
今日は、唯の家で餅つきをする事になった真央達。
唯の家族達が臼と杵を用意し臼の中に餅が入っていた。
「じゃあ、行くよ、さっちゃん」
「彩音、マジで気をつけろよ、間違えて私の手を打つなよ」
「大丈夫だよ、私を信じなさい」
「何故だろう、全然信じられないのは」
真央達も餅をつく事になり最初は、彩音が杵で餅を打ち沙月が餅を返す役である。
「そーれ!!」
「ほい」
「おりゃー!!」
「ほい」
「うりゃー!!」
「ほい」
「どっせーい!!」
「ほい」
彩音が勢いよくつくのと正反対に沙月は、普通に返していく。
「そいやー!!」
「ほいほい」
「ふー、結構疲れるね」
「私は、大して疲れてないけどな、返してただけだし」
「そろそろ交代しよ」
そう言い今度は、真理亜と唯が餅をつく。
真理亜がついて唯が返す役である。
「唯ちゃん、行くよ」
「いつでもどうぞ」
「うんしょ、えい!!」
「はい」
「うーん、えい!!」
「はい」
真理亜が杵を振り落とし唯がしっかりと返していく。
重たい杵を持っているので真理亜は、一生懸命である。
「やあー!!」
「はいっと」
真理亜と唯も餅つきを終え次は、真央が餅をつく番である。
真央がつく役で返す役は、彩音である。
「そろそろ、できる頃か?」
「うん、私と真央姉さんで完成させよう!!」
「ああ、任せろ」
真央と彩音が餅をつく。
「ふん!!」
「はいさ!!」
「せい!!」
「ほいさ!!」
「うりゃ!!」
「よいさ!!」
真央が力強くついていったのでだんだんと弾力のある餅が出来上がって来た。
「もう、良いんじゃないか?」
「うん、凄い弾力のあるお餅ができたよ」
彩音が餅を軽く叩きながら言う。
「良くできてますね、それでは、適度な大きさに千切って丸めてください」
唯の母に言われ真央達は、それぞれ適度な大きさに千切っていく。
「こちらに色々しましたから皆さん好きな物をつけてくださいね」
そう言い唯の母が用意したのは、醤油、きな粉、あんこに胡麻である。
真央達は、それぞれ好きな物をつけて食べ始める。
「よーし、俺達もやるぞ」
そう気合を入れているのは、唯の父である。
「あの、頭大丈夫なんですか? この前、腰痛めたとか言ってませんでした?」
哲が心配するように言う。
「バカ言うな、腰ぐらい何ともないわ、ほら行くぞ、哲」
「へ、へい」
「おーし、行くぞ、あいさー!!」
唯の父が杵を臼に落とした瞬間。
グキッ!!
「ああああああああああああああーーーーーーーーーーーー!!」
『か、頭ぁー!!』
近所迷惑とも思われるほどの悲鳴を上げ、使用人達が唯の父に寄る。
どうやら今ので完全に腰をやってしまったようだ。
「あらあら、あなたったら子供達の前だからって無理をなさるからですよ」
「うう、痛いよ優愛」
「しばらく横になっていてください、湿布を持って来ますね」
腰を痛めた唯の父は、湿布を張ってもらいそのまま横になる事になった。
「大丈夫なのか?」
「漫画とかでよく見るくらい綺麗に腰をやったって感じだよな」
「大丈夫ですよ、もしもの時は、近所の整骨院のおばあさんがいますので」
真央と沙月に唯は、答える。
どうやらよくある事のようだ。
「あいさー!!」
「ほいさー!!」
「あいさー!!」
「ほいさー!!」
その後は、哲とやすが餅をつく事になり、二人は、息の合ったコンビでできたての餅をたくさん作っていった。
「できたてのお餅凄く伸びるよ」
彩音が餅を一口食べてびょーんと伸ばす。
「喉につっかえるなよ」
「そうですね、それで亡くなったって人が年間必ずいますからね」
「アンタは、怖い事言うなよ」
「あんこのお餅美味しい」
「胡麻のお餅も旨いな」
真理亜は、あんこを真央は、胡麻のお餅を食べる。
「そう言えば、宿題ってどこまで進んだ?」
唐突に沙月が言う。
「私は、ほとんど終わりましたよ」
「私も終わったよ」
「僕も後少しだな」
「そうか、やっぱ皆偉いな、なあ、彩音?」
「・・・・・・」
沙月が意味深な顔で彩音を見る。
彩音は、顔を見たくないのか顔を逸らす。
「沙月さん、もしかして夏休みの時と同じで」
「ああ、新年を迎える前に全部終わらせたさ、ほっといたら最終日になって泣きついて来そうだったからな」
「今年から頑張って自主勉します」
「ああ、そうしてくれ」
「はい、追加のお餅をどうぞ」
「おう、悪いな」
彩音が差し出したお餅を沙月が食べる。
今この時だけ何かしらの上下関係が生まれていた。
そんなこんなで冬休みは、そろそろ終わりを迎え学校生活が始まるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。




