第288話 お正月を楽しもう
「お正月には、お正月にやる遊びがあるらしい」
「そう言えば街を歩くと普段とは、違う遊びをしている子供達がいますね」
「僕達もその遊びをしてみようと思うんだが」
「良いですね、ぜひやりましょう」
レイアとリズは、正月の遊びをするのであった。
「じゃあ、行くぞ」
「はい、どうぞ」
レイアは、板で羽を打つ。
手始めに羽根突きから始めるのだった。
「この羽を地面に落としたら負けなんだろ」
「はい、落とさないようにこの板で相手に打ち返すそうです」
二人は、羽根突きのルールを確認しながら羽を打ち合う。
「あ、申し訳ありません」
「大丈夫だ」
リズが明後日の方向に羽を飛ばしてしまうがレイアは、普通に間に合い打ち返す。
「あ、すまん」
「いえ、大丈夫です」
今後は、レイアが明後日の方向に羽を飛ばしてしまうがリズは、問題なく打ち返す。
「これ、何か思ったより楽しいな」
「そうですね、ただ落とさずに羽を打ち返す事の何が楽しいのかいまいちわかりませんでしたが、やって見て初めて楽しさがわかりますね」
「ところで負けた方は、顔に墨を塗るみたいだな」
「ええ、顔に丸とかバツとか色々書いたりするみたいですよ」
「リズは、受けたいか?」
「申し訳ありませんがレイア様が相手でもそれは、あまり受けたくありませんね」
「そうか、じゃあどうする?」
「そうですね、後五十回くらいで終わりにしません?」
「わかった」
その後もレイアとリズは、羽を打ち返すラリーを続けている。
「後何回だ?」
「私とレイア様が往復して一回ですか? それとも私とレイア様が打ち返す度に一回ですか?」
「リズは、どっちで数えてた?」
「往復で一回ですね」
「じゃあ、それでいくとしてどれくらいだ?」
「後二十回ですね」
「よし、頑張るぞ」
それから残り二十回を目指して頑張る。
途中変な方向に行ったりもしたがそれでも何とか打ち返していく。
そしてそんな光景を見続けている人達がいた。
「ママー、あのお姉ちゃん達凄いね」
「そうね、あんなに続くなんて凄いね」
「なあ、羽根突きってあんなに長く続くか?」
「いやいや、俺やった事あるけど、結構難しいぞ」
「何者なのあの二人」
公園で羽根突きをしていたからか近くで遊んでいたりベンチで座っていた人達の目に留まりレイアとリズの羽根突きのラリーを見ている。
「次で最後です」
「わかった、ほら」
「はい」
リズが返した羽をレイアが手でキャッチする。
「中々面白かったな」
「そうですね、あら?」
リズが何かに気づきレイアも周囲を見るといつの間にかたくさんの見物人がいて拍手を送っていた。
「私達の羽根突きをいつの間にかこんなにたくさんの人に見られてたみたいですね」
「そうだな」
レイアとリズは、見物人に答えるように手を振り公園を後にするのだった。
「犬も歩けば棒に当たる」
「はい」
マンションに帰ったレイアとリズは、続いてかるたで遊んでいた。
リズが読み手をしていてレイアが札を取る方である。
「馬の耳に念仏」
「はい」
「猿も木から落ちる」
「はい」
「猫に小判」
「はい」
リズの読んだ札をレイアが探して取る。
「・・・・・・なあ、リズ」
「はい」
「なんかこれ、虚しいな」
「そうですね、正直二人だとつまらないですね」
リズが読みレイアが取る実質一人でかるたをしているようなものである。
「やっぱ、かるたって大勢でやった方が楽しいよな」
「そうですね」
「・・・・・・ドラギオス達呼ぶか?」
「それだと皆レイア様に遠慮して取らなくなってしまう気が」
「そうか、じゃあ、別の遊びする?」
「そうですね」
レイア達は、再び外に出るのだった。
「リズ、準備は、良いか?」
「いつでもどうぞ」
「じゃあ行くぞ」
レイアは、手に何かを持ちもう片方には、糸を持っていてそのまま走り出す。
対してリズは、手に何かを持ちレイアが走り出してしばらくしてから手に持っていた物を放す。
すると手に持っていた物は、空に向かって上がって行く。
「リズ、どうだ?」
「はい、ちゃんと上がってます」
レイアは、糸を引き上手く空中に安定させる、浮かせていたのは、凧である。
レイアは、凧揚げをしていたのだ。
当然凧には、絵や文字が書いてあったりするがレイアの上げた凧には、魔王と言う文字が大きく書かれていた。
「おお、魔王と書かれた凧は、空高く上がってるな」
「書かれた魔王と言う字も見事に天下を取っている感じがしますね」
「これが凧揚げか、これは、面白いな」
レイア達は、凧揚げをしていると周りの子供達が見ていた。
「うわ、スゲー魔王って書いてある」
「あのお姉ちゃんの凧かな? 凄いな魔王だなんて」
「女の子とは、思えない独特なセンスを感じるね」
「でも何でだろう? 全然違和感を感じないのは?」
そんな子供達の会話が聞こえたレイアとリズは、困ってしまう。
「なあリズ、子供達が凄い見てるんだけど」
「そうですね、魔王にしたのは、失敗だったでしょうか」
「そもそも、何故魔王にしたんだ?」
「人間界でもレイア様の凄さをせめて凧ででも見せようかと、後何となくレイア様をイメージして作ったらこうなりました」
「そうか、子供達たくさん来たから凧揚げをやめにしようか」
「わかりました」
レイアとリズは、凧を回収しその場から離れるのだった。
「次は、コレだ」
レイアとリズは、紐を巻いて同時に前に出しす。
すると巻いていた物が回転して回り出す。
「これがコマ回しか」
「こんなに回転するんですね」
「こうやってコマ同士をぶつけて相手のコマを倒すらしいな」
「紐で叩いて回転の速度を上げる方法もあるそうですよ」
「僕達は、そんな事できないからこのままにしよう」
レイアとリズは、自分のコマを見る。
やがてコマ同士がぶつかり合う。
「おお、これがコマ同士の戦いか」
「思わず頑張れと熱くなってしまいますね」
「お正月の遊びどれも面白いな」
「そうですね、かるたは、さすがに何人かでやらないと楽しくないですけど」
「無限に娯楽があるのは、良い事だ、そろそろ帰るか」
「そうですね」
レイアとリズは、家に帰るのだった。
そして。
「なあ、リズ」
「はい」
「福笑いって一人でやると妙に寂しく感じるのは、何故だろうな、なんて言うかこう友達がいなくて一人寂しくやるみたいな」
「レイア様、それは、多分違うと思います、おそらくかるたと同じかと思います」
「そうだよな、そうであってほしいよな」
家で福笑いをしながらそんな事を思うレイアであった。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。




