第284話 猫相撲大会
「はいよ、亜子ちゃん」
「ありがとう」
新年を迎えた商店街で亜子は、買い物をしていた。
「そうだ、亜子ちゃんもこの大会に出てみない?」
「んー?」
亜子は、渡されたチラシを見る。
「お正月猫相撲大会? ああ、毎年河川敷でやってるアレか」
「そ、亜子ちゃんも最近猫ちゃん飼ったって言ってたでしょ、だからどうかなって」
「ありがとう、考えて見るよ」
家に帰り亜子は、買い物袋を母親に渡し自分の部屋に入る。
「にゃあ」
部屋に入るとぽん丸が亜子に近づく。
「ただいま、ぽん丸、そうだぽん丸これに出てみる?」
「にゃ?」
亜子がぽん丸に大会のチラシを見せる。
「明日猫相撲大会をやるんだって、優勝した猫には、高級キャットフード一年分だって、ぽん丸も出てみる?」
「にゃあ」
ぽん丸は、手を上げて答える。
「よし、じゃあ参加しようか、でも私一人だと寂しいからな、誰か誘うか、よし誘う相手決めた」
亜子は、明日のお正月猫相撲大会に参加する事にしたのだった。
次の日、河川敷に行くとたくさんの人でにぎわっていた。
「おー、たくさんいるねぇ」
「何がたくさんいるねぇだ、朝いきなり来てこんな所に連れて来て私は、状況を理解するのに苦労したぞ」
亜子の横で梓美が文句を言う。
「でも、あずみん何だかんだ付き合ってくれるから嬉しいよぉ、さすが私の嫁」
「誰が嫁だ、それは、良いとして」
梓美が隣を見るとそこには、真央がいる。
「何故真央君までいるんだ?」
「いやぁ、なんか宇界さんがいると安心感が強くてぽん丸のセコンドが私とあずみんだとなんか物足りないような」
「何を言っているんだ、お前は? それよりも真央君もよく付き合ってくれたな?」
「ああ、亜子から電話が来てな、珍しい事もあるんだなって思ってな真理亜達は、親せきとか祖父母とかが来ていて特にやる事がなく暇だったからな、だから亜子の申し出に来たのさ」
「そうか、亜子に付き合ってくれてありがとう、それで亜子猫相撲は、どこでやるんだ?」
「ああ、それならこっちだよぉ」
亜子は、ぽん丸を抱え受付に行く。
真央と梓美も亜子について行き受付に到着する。
「猫相撲大会の参加お願いします」
「はい、こちらに書いてください」
受付のお姉さんに言われ亜子は、記入する。
「これで受け付けは、終わりです、あちらに行って始まるまで待っていてください」
受付のお姉さんに言われ亜子達は、その場所に行く。
「ここが猫相撲をする場所みたいだねぇ」
「思ったよりたくさんの出場猫がいるな」
「ぽん丸も頑張ろうねぇ」
「にゃー」
「何だ今年も大した奴は、いないみたいだな」
どこかで声を上げる子供が来る。
「こりゃ今年も俺のライゾウが優勝だな」
そう言うのは、なんかどこかで見たようなガキ大将みたいな子供だった。
「ホントっすね、今年も親分の優勝で決まりですよ」
「大した猫もいませんしね」
そのガキ大将みたいな子供の取り巻きみたいな子供が二人。
この二人も猫を連れている。
「あ、親分見てくださいよ、あそこにまんまると太った猫がいますよ」
「ん?」
その子達は、亜子のぽん丸を見つける。
するとそのガキ大将達は、亜子達に近づく。
「おい、お前そんな太った猫で出るのか?」
「ん? 誰このいかにもお前の物は、俺の物、俺の物も俺の物みたいなガキ大将は?」
「何ぃ!? 誰がガキ大将だ!!」
「いや、なんかその話し方や見た目がねぇ」
「確かに、その後ろの取り巻きA、Bもいると余計にガキ大将と言う言葉が似合いそうだな」
亜子に続いて梓美も同じ事を言う。
「な、お前等親分になんてこと言うんすか!?」
「失礼過ぎねえか!?」
「いや、そう言われてもねぇ」
「どう見てもガキ大将と言う言葉が似合いそうなんだが」
「まあ、お前等そう慌てるな、相手は、女なんだから優しくすべきだぜ」
ガキ大将が取り巻き達を宥める。
「いや、最初に話し掛けて来たのは、君のような気がするが」
「うっ!!」
ガキ大将が何かに打たれたように膝を着く。
「お前達なんてこと言うんすか、親分は、こう見えて打たれ弱いんすよ!!」
「ガラスのハートの持ち主なんだぞ!!」
「見掛け倒しかよ!!」
取り巻き達の言葉に梓美がツッコむ。
「くっ、まあいいさそんなデブ猫なんかどうせ一回戦で負けるんだ、俺のライゾウの優勝は、変わらねえ、今の内にリタイアしておいた方が良いんじゃねえか」
「そうっすね、親分が出なくても俺の猫がやってくれるっす」
「いや、俺の猫がやるね」
「むう、なんかよくわからないけど、ぽん丸の悪口は、許さないよ」
「ふん、せいぜい瞬殺されないように頑張る事だな」
そう言ってガキ大将達は、去って行く。
「・・・・・・あいつら何がしたかったんだ?」
今まで黙っていた真央が去って行くガキ大将達を見ながら言う。
「私にも全くわからん」
「でも、ぽん丸がバカにされたのは、確かだよ、ぽん丸頑張ろうね」
「にゃー!!」
亜子に答えるようにぽん丸は、力強く鳴くのだった。
猫相撲大会まもなく開催。
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同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。