第276話 雪合戦バトルロイヤル 後編
「何だアレは?」
唯と梓美が驚く。
煙が晴れ彼女達の前に現れたのは、頑丈にできた雪の壁だった。
「アレは、かまくらですか」
「おお、あずみんのアイスマシンガンをまともにくらったのに突如チーム真央の前に現れたかまくらが雪の壁になって防いだよぉ」
「しかもただのかまくらみたいに雪を固めたのじゃなくてレンガみたいに積み上げて作った頑丈そうな壁だね」
奈木の言う通りただのかまくらの形では、なく一つ一つレンガのような均等な形で一つ一つしっかりと積み上げて作り上げた壁である。
しかも所々に穴が開いていてそこから外の様子を見る事もできる仕組みである。
正に城壁と言えるものだった。
「真央、あのマシンガン、真理亜の、作った、壁で、防げ、てるよ」
「ああ、よくやった真理亜」
「うん、でもこれで大丈夫かな? もっとなんか必要な気がするんだけど」
「いやいや、これだけ作れれば十分だよ」
真理亜は、納得していないが晴香が十分だと伝える。
さて何故こうなったのか、少し時間を遡りチーム真央の視点で見てみよう。
~side チーム真央~
「チーム茜が全滅したか」
「梨絵ちゃんのコントロール凄いよね」
「ああ、さすが野球クラブのエースだな」
「真央、どうす、るの?」
「とりあえず、様子を見よう」
真央の言う通りに真理亜達は、他のチームの動きを見る。
「あれ、なんかチーム実里がおかしな動きをしてるよ」
晴香がチーム実里の動きを見て言う。
「実里と花音が他のチームの様子を見て、梓美と唯が何かの準備をしているみたいだな」
「何を用意してるのかな?」
「わからない、だが何か嫌な予感がするな」
「じゃあ、何か壁みたいなの作って守りを強化する?」
「それは、賛成だな」
晴香の意見に真央も賛成し真理亜とミーシャを呼ぶ。
「と言うわけで守りを強化するために壁を作ろうと思う」
「わか、った、でも、どんな、の、つく、るの?」
「できればどこからの攻撃を防いで、隙間から外の様子を除けるのが良いな」
「じゃあ、かまくらみたいな感じの壁を作れば良いの?」
「かまくらがどんなのかは、わからないが真理亜作れるのか?」
「うん、頑張って作るよ、私運動あまり得意じゃないからせめてこれでチームの役に立つよ」
「そうか、なら真理亜は、壁を作ってミーシャは、真理亜の手伝いともしもの時に真理亜を守ってくれ」
「わか、った」
「お願いね、ミーシャちゃん」
「うん、まか、せて」
「晴香は、僕と他のチームの動きを見るぞ」
「わかったわ」
真央の作戦で二組に分かれて行動する。
チーム沙月がチーム彩音に攻撃を仕掛ける時。
「あ、藤林さんの投げる球を明石さんが拳で落としてるよ」
「見事な動きだな、子供の内からあれだけの動きができるなら教える相手に恵まれれば相当な実力者になるな」
「何だろう、宇界さんが言うと納得の説得力を感じるのは」
「ん? 彩音も投げて攪乱させる気か良い作戦だな」
「でも、それも明石さんが自分に当たる雪玉だけ落としてるね、もはや空手の域を超えている気がするけど」
「伊吹が雪玉を落としている間に沙月達が近づいて来たな」
「でも、藤林さんが指示を出して皆下がったよ」
「どうやらアレが原因だな」
「え?」
「上を見ろ」
真央に言われ晴香は、上を見る。
すると雪玉が上からいくつも落ちて来てチーム彩音とチーム沙月の面々を襲う。
「あ、方丈さんが雪玉を上に投げて落下を利用して当てに来てる」
「そうだ、二人のチームが潰し合っている間に隙を見て攻撃する、戦略としては、見事だ」
「方丈さんの攻撃で三チームとも警戒して様子見してるね」
「隙を見せた時点で終わりだからな」
「あれ? チーム実里の方何か出したよ」
「ん?」
真央と晴香は、チーム実里を見る。
そして梓美が出したガトリング砲を見る。
「アレは、マズいな」
「え?」
真央の予想通りガトリング砲の威力は、凄まじいものだった。
「す、凄い、アレにやられたらもう終わりだね」
「そうだな、取りあえず真理亜達と作戦を立てる、晴香監視を頼む」
「わかった、動きがあったら呼ぶね」
真央は、晴香に監視を任せ真理亜とミーシャの元に向かう。
「ミーシャちゃん、それを乗せて」
「わか、った、真理亜、こっち、は?」
「うん、これを乗せて」
「真理亜、ミーシャ作戦を立てようと思うのだ・・・が」
真央は、真理亜とミーシャの元に着くが話し掛ける途中で言葉を失う。
「あ、真央ちゃん」
「真央」
「二人共、なんて言うか凄いのを作ったな」
「うん、まだ途中だけどミーシャちゃんが手伝ってくれてそれなりにできたよ」
「真理亜、すご、いよ」
「途中なのか? 十分だと思うんだが」
「そうかな? もっと時間を掛ければより頑丈な壁ができると思うんだけど」
「これで十分だろ」
「皆、大変だよ!! チーム実里が三チーム倒しちゃったよ!! 残ったの私達だけだよ!!」
真央達が話をしている時に晴香が状況を伝えに来る。
「そうか、よし真理亜の作った壁に入るぞ」
「「「おお」」」
こうしてチーム真央の強固な壁が完成したのだった。
そして時は、現在に戻る。
「さすが真央さんですね、この状況を予想して真理亜さんの芸術的才能を生かした壁を作るとは」
「それがどうした、我がガトリング砲に勝てるものなどありは、しない!! くうらえいいいいいいいいいいいいいー!!!」
梓美は、ガトリング砲を連射する。
しかし、真理亜とミーシャの作った雪壁は、そこいらの軟弱なものとは、違いいくら当ててもびくともしなかった。
「バカな、私の、私の発明がこんな自然物で作った壁に負けると言うのか、ゴブッ!!」
「あ、すまない梓美もろに顔に当たってしまった、正面からだとそこしかなかったから」
「くっ、さすがだ真央君、このガトリング砲の唯一の弱点それは、打つ者がその場から動けない事だ、そして唯一さらけ出している頭部に当てるとは、見事だ」
そう言って梓美は、倒れた。
「梓美さん」
チーム実里最後の一人になってしまった唯。
対してチーム真央は、一人もアウトになっていない。
「あずみんが倒された事により、残ったのは、五十嵐さんただ一人だよぉ」
「これは、勝負あったかな」
司会の亜子と奈木もチーム真央の勝利を確信している。
「この状況もう無駄な抵抗をせずに負けを認めた方が良いのでしょうね」
唯自身も自分一人での逆転は、無理だと理解は、している。
「でも、皆さん勝利のために戦ったんです、最後の一人になっても、それなら」
唯は、ガトリング砲に手を添える。
「例え勝てなくても私がここで大人しく降参するなんて選択肢は、ないんですよ!!!」
唯は、ガトリング砲を連射する。
「うおおおおおおおおおお!!」
叫び声を上げながら唯は、ガトリング砲を連射する。
しかし、雪壁は、何ともなくやがて雪がなくなってしまい、連射がストップする。
「ここまでですね」
「最後の一人になっても戦う意思を捨てなかったお前は、立派だったぞ」
真央は、唯を称え雪玉を投げる。
そして雪玉は、唯に当たりアウトになりチーム実里が全員アウトになった。
「ここで試合終了!! 優勝は、チーム真央!!」
亜子の言葉で雪合戦バトルロイヤルに決着がついた。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。




