第274話 雪合戦バトルロイヤル 前編
亜子の合図で雪合戦バトルロイヤルが始まった。
各チームそれぞれ配置に着く。
チーム真央
「さて、どうするかだな、勝負なら勝ちに行きたいが僕達のチームには、司令塔がいないから作戦を立てるのが難しいな」
「うん、取りあえず、壁に隠れて他のチームの様子を見よう」
「そうだな」
真央と真理亜は、作戦を考える。
「ミーシャ今がチャンスよ、宇界さんに近づきなよ」
「え、でも」
晴香は、ミーシャの背中を押し真央に近づかせている。
チーム茜
「あなた達、やるからには、勝ちますわよ」
「「「は!!」」」
チーム実里
「よーし全部勝つよー!!」
「うん、私も頑張るね実里ちゃん」
「ですがこの中では、運動神経が良いのは、実里さんだけですね」
「問題ないさ、私の秘密兵器があるからな」
チーム彩音
「とりあえず私と桑原さんで雪玉を作るから加藤さんと藤林さんは、投げる事に集中してもらって良い?」
「うん、良いよ」
「私に任せて」
「それが最善だね」
チーム沙月
「とりあえず冷静に全体を見て状況判断ができる智代を中心にしたいと思うんだが」
「わかった、任せて」
「私に異論は、ありません」
「私も良いよ」
チーム理子
「さてどうする?」
「どこも強敵ばかりですね」
「この中だと丸い物を扱う砲丸投げの方丈さんを中心にした方が良いかもね」
「私もそれが良いと思う」
「さあ、それぞれのチームが作戦会議を始めているぞ」
「あ、動き出したよ」
亜子達が解説をしている間に早速全チームが動き出す。
「おりゃおりゃおりゃー!!」
彩音が雪玉を投げる。
「おお、加藤さんが雪玉を早速全チームに向けて投げだしたよぉ」
「でも、なんかでたらめに投げてる感じがするね、全然当たってないし」
奈木の言う通り彩音の投げる雪玉は、滅茶苦茶な方向にいって相手に当たる場所に投げるが全く明後日の方向に投げるのもある。
「良いよ加藤さんそのまま投げ続けて」
「雪玉作りは、私達に任せて」
京と楓は、雪玉作りに専念している。
「全く一体どこに投げておりますの」
彩音の投げる雪玉を見て茜は、ため息交じりに言う。
「確かにそうですね」
「適当に投げれば当たるとでも思っているのでしょうか」
「でも、当たらなければ意味ありませんね」
「その通りですわ、取るに足りませんわ、さあわたくし達も雪玉を作って一気に行きますわよ」
「「「は!!」」」
「さあ、覚悟なさい全員蹴散らして差し上げますわ!! おーほっほっブウ!?」
笑い声を上げようとした茜の顔に雪玉が当たりそのまま茜は、倒れてしまう。
「「「あ、茜様ー!!」」」
八重達が茜に近寄る。
「ゆ、油断しましたわ」
「茜様、しっかりしてください!!」
「あなた達だけでも、生き延びなさい・・・・・・ガクッ」
「「「茜様ー!!」」」
倒れた主を見て八重達は、涙を流す。
と言っても雪玉に当たって気絶しただけだが。
すると雪玉が三つ飛んで来て。
「ウグッ!!」
「ハグッ!!」
「ヘブッ!!」
八重達三羽烏に直撃して倒れる。
チーム茜全滅リタイア。
「何が起きたの?」
「ああそれは、アレだよぉ」
奈木が疑問に思っていると亜子が説明をする。
「さっき、加藤さんが滅茶苦茶に投げてたみたいだけど加藤さんは、おとりで本当の狙いは、彼女だよ」
亜子の言う通り彩音が投げている隣で雪玉を持ったもう一人野球クラブのエース藤林梨絵がいた。
彩音に気を取られている隙に梨絵がチーム茜全員を仕留めたのだ。
「あー、梨絵ちゃんコントロールが良いから相手に当てるなんてわけないよね」
梨絵を見て奈木が納得したように頷く。
「さてそれでは、チーム茜の皆さんは、早急にリタイアなので私達と一緒に見ましょう」
「くっ、まさかこのわたくし達が最初に脱落するとは」
「「「申し訳ありません、茜様」」」
「あなた達のせいでは、ありませんわ、この敗北を糧に前に向かって歩くまでですわ、あなた達もついて来なさい」
「茜様~」
「私達一生」
「あなたについて行きます」
「全くしょうがないですわね」
茜の寛大さに涙を流す三人を茜は、優しく抱きしめる。
「いやー、素晴らしき主従関係だねぇ、さてこちらは、素晴らしい物を見ましたが戦場は、どうなっているでしょうか」
「亜子ちゃん、なんか実里ちゃんの所、梓美ちゃんが何か妙な動きをしてるよ」
「んん?」
奈木に言われ亜子は、チーム実里達を見る。
実里と花音が見張りのような事をしていてその後ろで梓美が何かを用意していて唯が手伝っていると言う状況である。
何をしているかは、まだわからない。
「チーム実里、何か準備をしているが何をしているか全然わからないねぇ、私の嫁のあずみんが何をしているか五十嵐さんと一緒であずみん浮気は、ダメだよぉ」
「誰が浮気だ、そして誰が嫁だ」
何かの準備をしながらも亜子の発言に梓美は、ツッコむ事を忘れない。
「どこも動き出してるな、私達は、どうする?」
状況を見ながら沙月は、チームメンバーに問う。
「今は、様子見動いたら城ケ崎さんのように一気に全滅する、現に宇海さん達も様子見をしているよ」
智代に言われ沙月達は、チーム真央を見る。
チーム真央も雪玉を作りながら様子見をしている。
「何を用意しているのかわからないけど、今チーム実里には、近づかない方が良いと思う」
「確かに妙な行動を止めるために下手に行動して返り討ちに会うよりは、他のチームを倒す方が良いですね」
「となると狙うならチーム真央かチーム彩音かチーム理子だね」
「チーム真央には、反射神経が高い田村さんとその田村さんに勝利した宇界さんがいますね、あの二人がいるだけで一チーム分の戦力だと言っても過言では、ないかとチーム理子には、砲丸投げの方丈さんがいますし、上から雪玉が来たら上にも注意を向けないといけませんね」
「じゃあ、狙うなら」
「チーム彩音だな」
沙月の言葉に全員が頷く。
「よし、作戦は、決まったな智代頼むぞ」
「了解」
チーム沙月は、チーム彩音を打倒するために動き出す。
「皆、どうやら相沢さん達が動き出したよ、こっちに来るみたい」
京がチーム沙月の動きに気づき彩音達に伝える。
「状況を読んだと見て間違いないね」
「どうする? さっちゃん達が私達を倒しに来たのなら迎え撃つよ」
「私も加藤さんに賛成ね」
「雪玉をちょうだい私が仕留める」
「じゃあ、作戦は、そのままにチーム沙月を迎え撃つ」
チーム彩音もチーム沙月を迎え撃つ状態に入る。
「おお、彩音の奴また滅茶苦茶に投げて来たな」
「大丈夫このまま前に進むよ」
智代の指示で沙月達は、前に進む。
「動いていても私は、外さないよ」
梨絵が沙月に狙いを定めて雪玉を投げる。
雪玉は、真っ直ぐ沙月に向かって行く。
「明石さん、お願い」
「承知」
智代の指示で伊吹が沙月の前に出て拳で雪玉を壊す。
「おおっと明石さんが藤林さんの投げた雪玉を拳で壊したよぉ」
「あれ、手に当たってるけどアウトじゃないの?」
「うーん、難しい所だけど大体雪合戦って顔とか背中とかに当たったらアウトなイメージがあるから手で落とすのは、今回は、ありにしたいと思います」
奈木の問いに亜子が答える。
そして今回の雪合戦では、手で雪玉を落とすのは、ありとなった。
「ならこれならどう」
梨絵は、雪玉を投げるさっきと違い変化球を投げる。
しかし伊吹は、その変化球も拳を当てて壊す。
「嘘でしょ」
「無駄ですよ、例え玉の軌道が変化しても最終的に私に当たるとわかっているなら造作もない事です」
「空手ってそう言うものだっけ?」
「梨絵ちゃんだったらこうしよう」
彩音は、伊吹に向かって雪玉を投げ続ける。
伊吹は、自分に当たる雪玉だけを拳で落とす。
「なるほど、そう言う事か」
梨絵は、彩音の雪玉を落とす伊吹を見る。
「今だ」
彩音の雪玉に気を取られている隙をつき梨絵は、伊吹に向かって雪玉を投げる。
「甘いですね」
伊吹は、梨絵の投げた雪玉を落とす。
「嘘、これもダメなの」
「言ったはずです、当たるとわかっているなら造作もないと」
「もう伊吹だけで良いんじゃないのか」
伊吹を見て沙月はそんな事を言う。
「!! 明石さん下がって!!」
智代の指示を聞き伊吹は、その場から下がる。
すると上から雪玉が落ちて来た。
それは、沙月達でも彩音達でもなかった。
「私達を無視するとは、そんな悲しい事しないでほしいな」
雪玉を投げたのは、方丈理子だった。
チーム理子もこの局面に参戦したのだった。
「方丈さん、雪玉は、どんどん作ってますから存分に投げてください」
「ああ、ありがとう、遠慮なく投げさせてもらうよ」
友里子から雪玉を受け取った理子は、雪玉を砲丸投げのように上に向けて投げる。
「おお、方丈さんが雪玉を上に投げて当てに来ているよぉ」
「上なんて普段からあまり見ないから死角だよね」
「さーてチーム彩音対チーム沙月だと思ったらチーム理子が加わり三つ巴の戦いになって来たぞぉ!!」
「くっ、まさかチーム理子が来るとは」
「相沢さん、作戦変更一旦下がるよ、皆も下がって」
智代の指示で沙月達は、一斉に下がる。
「うわー、上からも雪玉が投下して来たー!!」
「加藤さん、私達も下がるよ、皆も下がって」
京の指示で彩音達も一斉に下がる。
「皆、下がったね」
「上にも注意を向けないといけませんからね、警戒心が強くなりましたね」
「でも、これで臨戦態勢になってしまったね」
「今の内に作戦を考えるべきね」
チーム理子が乱入した事でチーム彩音とチーム沙月が下がったためどのチームも動けない状態になってしまった。
このまま何もなくただ時間だけが経過してしまうかと思われたが。
「ふっふっふ、準備ができたぞ、さあ今こそ一斉に殲滅する時だ!!」
梓美の声が響く。
「おや、各チームが臨戦態勢になっていた所でチーム実里が何かを仕掛け・・・・・・ってあずみん、それ何ぃー!!?」
亜子が驚きの声を上げる。
果たして何が起きたのだろうか。
次回に続く。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。




