表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
275/459

第268話 せめてもの慈悲

前書き番外編 「リズの研修 第4話」

研修三日目。

超地獄級の研修も後半に入る。

既に前半だけでもげっそりしている新人教師達は食欲も出ない者も多くいた。

そんな中リズは普通に食事をしている。

研修もあと二日。

今日も新人教師達にはきついと思われる研修が始まるのだった。

三日目は実際に授業をすると言う研修だ。

前の二日と違ってまともなものだと安心する者が多くいるがそんなに甘いものではなかった。

一人ずつ教室に入り教師として授業を行うがどう言うわけか一人一人時間が違っていたのだ。

ある者は入って十分くらいで終わり、またある者は五分も掛からずに終わってしまう。

出て来た新人教師達は全員精神的に参ってしまったような顔をしていた。

リズの番になり教室に入る。

教室に入ると生徒役の人達がたくさんいた。

リズは普通に授業を始めていく。

いつも学園で教えているように授業を進めるがリズが黒板に向いて背を向けているとこっそりばれないようにゲームやスマホをしている生徒達がいる。

これはただの授業ではなくこう言う事をしている生徒を相手にどうするかと言う研修だった。

早く終わった者達はどうやらそれに気づく事すらできなかったから早く終わったようである。

リズも何も気づいていないように見えるが黒板に問題を書き終えそれを指名しようとした瞬間リズはゲームとスマホをしている生徒の元に向かいそれを取り上げる。

どうやらリズはそれをしている事に気づいていたのである。

その後も似たような事が授業中に起こるがリズはそれをことごとく解決し最後まで授業を終えるのだった。

研修三日目リズの評価はSランクだった。

高本教頭も満足し称賛の言葉を送るのだった。

続く。


 元の世界に戻りレイアとリズは城に戻る。

 突然戻って来た事に配下達は驚く。


「レイア様、いかがなさいましたか?」


 突然帰って来たレイアにドラギオスが駆け付ける。

 

「ああ、ちょっとな」


 ドラギオスはレイアが元の姿に戻っている事にも驚いているがそれ以上に驚いたのはレイアが抱えているネミアの遺体を見たからだ。


「彼女は、まさかネミア?」


「ああ、そうだ」


「わかりました、すぐに他の者達も呼びましょう」


 ドラギオスはすぐさま行動に移しレイア達は城の中に入って行くのだった。

 そして現在レイアはネミアを棺の中に置かせていて他の幹部達も集まっていた。


「まさか、裏切者の一人ネミアが人間界にいたとは」


「こいつもマリア様の命を狙っていたとはな」


「ああ、そして母を殺した相手だ」


『!?』


 レイアの言葉にリズ達は驚く。


「まさか、ネミアさんが王妃様を」


 ネミアと同じ主の専属として仕えていたリゼは信じられないと言う顔をしていた。


「ああ、ネミアは恨みや憎しみを抱いていたからな」


「それは、どんな」


「ネミアは母の父つまり僕の祖父に領地拡大のために滅ぼされたどこかの村の生き残りだったんだ」


 ドラギオスの問いにレイアは答える。


「何と、では我々は王妃様を恨んでいる者をずっと専属として傍に置いていたのですか?」


「マジかよ、全然恨みとか憎しみとか感じなかったぞ」


「ネミアは暗殺の才能がありました、感情を相手に悟らせないくらいわけなかったのでしょうな、私ですら気づきませんでしたから、相手に悟らせない事に関してはおそらく配下一でしょう」


「ライムの言う通り、あいつは暗殺に向いているくらい気配を消したり悟らせない才能があった、それにお前達が気に病む必要はない、何故なら母はネミアが自分を恨んでいる事に気づいて自分の傍に置いたんだからな」


『!?』


 レイアの言葉にリズ達はまた驚く。


「王妃様は、気づいておられていたのですか?」


「ああ、知っていたんだ、ネミアが自分を恨んでいる事にな」


「レイア様は、どうしてその事を知っているのですか?」


「幼い頃はよく周りの者達の顔色を見ていたものだ、だからそいつがどう思っているのか何となくわかったんだ、それでネミアを見たら何か思い詰めているような迷いがあるようなそんな感じがしたんだ、それで気になって母に聞いたらその時に話してくれたのさ」


 リズの問いにレイアは答える。


「母は、ネミアの闇を知っていた、だからネミアがもしその気になったら潔くその闇を受け入れる覚悟があったそうだ、尤も最悪な形になってしまったがな」


「我々も反省すべきですな、全く気付いてあげられませんでしたから」


 ライムの言葉に他の者達も同じ思いだった。

 つくづくあの時の自分達は無能な配下だったと痛感させられる。


「それでレイア様、ネミアをどうするつもりですか?」


「ああ、それについてだが埋葬してやってくれ、母が眠る墓の近くに」


「本当に良いんですか? ネミアは裏切者ですよ?」


 ドラギオスの問いに答えたレイアにゼナが言う。


「例えネミアに同情できる理由があったとしても、裏切者で王妃様を殺した事実は変わらない、それでもレイア様はネミアを王妃様の近くに埋葬させるのですか?」


「ああそうだ、お前達が納得いかない理由もわからなくはないがそれでもネミアを母の近くに墓を建てて埋葬してあげたいんだ、ネミアは最期の言葉が母への謝罪だった、母への忠誠心は嘘じゃなく本物だった、だからせめてもの慈悲なんだこれは」


「レイア様がそう言うなら私達はレイア様に従うだけです、配下に丁重に埋葬させます」


「すまないな、ゼナ」


「気にしないでください」


 ゼナに呼ばれた配下達がネミアの遺体が入った棺桶を運び、レイアの父と母が眠る墓の近くに埋葬される事になった。


「さてと、僕が戻って来たのはネミアを埋葬させたいだけじゃない」


「とおっしゃいますと?」


「ようやく掴めたかもしれない」


「掴めた? 何をですか?」


 ドラギオスはレイアに問う。


「真理亜の命を狙う者の()()だ」

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ