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第267話 最期の言葉

前書き番外編 「リズの研修 第3話」

研修二日目。

リズはまず高本教頭と一緒に朝食を食べていた。

高本教頭からは昨日のリズに対する評価を大変褒めていた。

有名な学園である清涼女子学園の教頭として鼻が高いと言うのもあるのだろう。

他の新人教師達は昨日の疲れや評価もあるのか暗い顔をしている者も多くいる。

朝食を食べ終えたリズはすぐに次の研修場所へと向かう。

二日目はただ教科書に書かれている内容をただ声に出して読んでいる。

それぞれの担当教科に分かれているため英語担当のリズは英語の教科書を口に出して読んでいる。

教師たるもの生徒に聞こえるよう、そして噛まずにすらすらと言えるようにしなければならない。

今日の研修担当の人はそう言う考えを持っているのである。

しかも皆に見られながら恥ずかしげもなく言えなくてはならない。

リズも同じ様にしているが英語の研修担当の人は本場の人であり、ちゃんと英語の発音ができているかどうかも厳しく見るため、新人教師達はそのプレッシャーに押しつぶされそうである。

リズの番になりリズも教科書を読み始める。

教科書を読み終えたリズは教科書を閉じる。

すると研修担当の人は拍手をする。

どうやらリズの読み方は完璧で発音もしっかりできていたそうだ。

二日目の研修リズの評価はSランクだった。

それを見て高本教頭はまた満足気に頷くのだった。

続く。

「ネミア!!」


 魔力の光線に撃ち抜かれて倒れたネミアにレイアは駆け寄る。


「ネミア、しっかりしろ!!」


 レイアはネミアを抱き起こし声を掛ける。


「くっ」


 レイアはネミアを見る。

 完全に急所を撃ち抜かれたためネミアはもう助からないとわかってしまった。


(どこから打って来たんだ?)


 レイアは魔力を感じようとするがどこにも魔力は感じなかった。

 つまり相当遠距離から撃ち抜いたと言えるだろう。


(最初の一発から時間が経ったが二発目以降が来ない所を見ると、相当遠距離から打ったんだな、だとしたら魔力がかなり消費したはず、深追いはせずに逃げたと言う事か? いや、僕と一緒に役に立たなくなったネミアを始末する気だったのか)


 レイアは思考するがすぐに考えるのは後にしネミアを見る。


「レイ、ア、様」


「ネミア!!」


「わた、しは、死ぬの、ですね」


「・・・・・・ああ」


 苦い顔をしながらレイアは答える。


「私は、おそ、らく、レイア様の事を、知って、いるから、始末された、の、でしょう」


「僕を知っているから?」


「はい、私に、依頼した、者は、レイラ様の事も、知っていたから、その、関係者だから、私は、始末、され、たの、でしょう」


「姉貴や僕の知り合いだから、だから今まで真理亜の命を狙って来た奴は始末しなかったのか、だとしたら誰なんだ? 真理亜の命を狙う奴は」


「それ、は、わかり、ません、ですが、おそらく、レイラ、様を、殺したのは、そいつだと、思います」


「そいつは誰なんだ? 何かわからないのか?」


「誰かは、わか、りません、ですが、あれは、()()()()()()()()、ありません、でした」


「何!?」


「魔力が、どちらのものでも、なかった、です」


「魔族でも人間でもない」


 ネミアの言葉にレイアは驚く。

 今まで魔族が姉のレイラを殺したのだと思っていたが、まさか魔族でも人間でもない別の存在がレイラを殺したと言う、死にゆく者の言葉だからこそ、レイアはそれが嘘だとは思えなかった。


「そうか、ネミアよく言ってくれた、お前のおかげで今までわからなかった敵の正体がわかりそうかもしれない」


 レイアはネミアに感謝する。


「お役に、立てて、よか、った、です、 はあ、はあ」


 ネミアは上を見る、その目はもう光がなく死にゆく者の目だった。


「はあ、はあ」


 ネミアは手を伸ばす。

 その手が一体何に伸ばそうとしているのかはわからない。


「ネミア」


「私は、あなたが、大好き、でした、それ、なのに、私は、私は」


 ネミアの目からは涙が零れ落ちていく。


「申し訳ありません、アリア様」


 アリア、それはレイラとレイアの母の名であった。

 彼女は謝罪の言葉を口にしそして彼女の伸ばした手はそのまま地面へと落ちていった。

 それがネミアの最期の言葉だった。

 

「ネミア」


 レイアは開いたネミアの瞳孔を自分の手で閉じさせる。

 ネミアの命は終わりを迎えたのだった。


「レイア様」


 リズが転移の魔法でレイアの前に現れる。


「家に帰られていなかったので探しました、どうしてこのような場所に?」


「リズ」


「それにその姿は、え?」


 リズはレイアに抱きかかえられているネミアを見る。


「彼女は、まさかネミアですか?」


「ああ、だがもう死んでいる」


「レイア様が」


「いや、別の奴に始末された、真理亜の命を狙う者達だ、ネミアは依頼され僕が相手をした」


「そうでしたか、行方がわかりませんでしたが、まさか依頼されていたとは」


「リズ、今すぐ城に転移してくれ」


「レイア様?」


「ネミアを埋葬したい」


「よろしいのですか?」


「ああ」


「わかりました」


 リズはそれ以上何も言わず転移の魔法でレイアの城へと行くのだった。



読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。

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