第257話 真理亜のいない日
前書き番外編 「グムバの人間界生活 第3話」
昼食を終えたグムバは、午後の仕事を進めるのであった。
事務的な仕事は、椅子に座ってずっとパソコンを操作しているのでシャロの配下の時だったグムバは、短期で好戦的だったためこう言う仕事は、あまり向いていないと思っているが今では、すっかり何とも思わずできているので人間界で相当丸くなったと言う事だろう。
仕事をしていると後輩からわからない所を聞かれてもグムバは、嫌な顔をせずに丁寧に教えたりするから意外と後輩から頼りになる先輩と思われている。
今日の仕事を終えたグムバは、帰ろうとしたが上司から飲みに行かないかと誘われる。
グムバが新人の時は、上司の誘いは、できるだけ受けた方が良いと教えられたので特に帰っても用がなかったのでグムバは、上司の誘いに乗り同僚や後輩達と居酒屋に飲みに行くのだった。
続く。
朝、いつものように学園に登校した真央は、クラスに入るのだったがいつもと違う事があった。
「高梨さんは、風邪をひいたと連絡がありましたので今日は、欠席です」
担任の一条先生の話で真理亜は、風邪をひいてしまったようだ。
(真理亜は、風邪をひいたのか、大丈夫だろうか、あまり酷くなければ良いのだが)
真央は、真理亜の心配をする。
魔族である真央は、風邪に掛かる事がないが真理亜は、半分魔族でも真理亜の母レイラと真央が二人で魔族の部分を封印しているため人間と同じである真理亜は、人間と同じように風邪や病気にもなるのである。
朝のホームルームが終わり真央は、彩音達と会話をしているが約一名とんでもない状態になっていた。
「・・・・・・」
彩音が席に座ったまま生気が抜かれたような顔をしている。
「あー、完全に真理亜がいないから彩音が今にも死にそうだな、真理亜が休みだといつもこうなんだよな」
「真理亜さん成分がないですからね、まだ一時間目も始まっていないのに」
「毎回思うけど今からこれで大丈夫なのか?」
真央達の心配をよそに時間は、過ぎていく。
一時間目の終わり。
「・・・・・・」
「おい、彩音大丈夫か?」
「心ここにあらずですね」
二時間目の終わり。
「そう言う事があったんだよ、笑っちゃうよね、真理亜ちゃん」
彩音がニコニコしながら誰もいないのに目の前の何かに話し掛けている。
「おい、あいつヤバいんじゃないのか」
「いるはずのない真理亜さんに話し掛けてるなんて彩音さんには、今何が見えているんでしょうか」
「うぇへへ、うぇへへへへへ」
彩音が正気のない目で笑っている。
三時間目の終わり。
「あ・・・ああ・・・ああ・・・あ・・・あー」
「とうとう薬が切れた禁断症状みたいになってるな、そんな事してないけど」
「真理亜が休みだとこうだと言ってたけど、休みの日とか夏休みとかは、そんなのなかっただろ?」
「あー、私達休みの日とかよく遊んだり、夏休みもちょくちょく会ってるし、学園じゃ毎日のように会ってるしな今日みたいな会えるはずなのに会えないのは、こたえるんだよ」
真央の問いに沙月は、答える。
「真理亜さんが誘拐されて次の日欠席した時もそうでしたが、さすがにまだ三時間目しか終わってないのにこのままじゃ彩音さんこの後さらに酷くなりますからね、毎回こうだと私達も困りますからそろそろ何かしらの対策をしないといけませんね」
「まあ、さすがに毎回真理亜が休む度にこうだとな、仕方ないこれだけは、使いたくなかったが、緊急事態だしな背に腹は代えられないな」
そう言って沙月は、ある物を取り出す。
「真央、悪いけど今日一日これをつけてくれないか?」
「ん?」
真央は、沙月の手に持っている物を見る。
それは、銀髪の長髪のカツラだった。
「アンタと真理亜って双子かって思えるくらい似てるだろ? だから真理亜と同じ銀髪でこの長髪のカツラを被れば完璧に真理亜になれると思うんだ、だから今日一日真理亜の代わりになってくれ」
「沙月、マジで言ってるのか?」
「マジもマジ大マジだ」
沙月は、真剣な表情で言う。
「・・・・・・わかった」
真央は、沙月からカツラを受け取りそれを被る。
「どうだ?」
「おお、凄いな初見なら本当に真理亜そっくりだ」
「真央さん、長髪も似合いますね、伸ばして見たらどうですか?」
「いや、短い方が良いな、それよりこの後どうすれば良いんだ?」
「そのまま彩音の所に行けば問題ないさ」
「これで大丈夫なのかは、疑問だな」
真央は、彩音に近づく。
「真央、一応真理亜と同じ様にしゃべってくれ」
(真理亜と同じってええっと真理亜のしゃべり方って確か)
「・・・・・・うあ?」
彩音は、真央の方を向く。
「あ、彩音ちゃんどうしたの? 何だか元気ないよ? 大丈夫?」
真理亜のしゃべり方を思い出し彩音にしゃべり掛ける。
普段の真央ならしゃべらないような口調でしゃべっているので凄い違和感を感じる。
「・・・・・・ふわあ!!」
彩音は、真央の姿を見て一気に生気が戻ったような顔になる。
「真理亜ちゃん大丈夫だよ!! ほらこの通り私元気だよ!!」
彩音は、身体で元気だと表現する。
「そっか、なら良かった、えへへ」
真央も真理亜のように笑って答える。
「思いのほかうまくいったな」
「これで今日一日大丈夫ですね」
沙月と唯は、解決法を見つけて安堵するのだった。
その後も真央は、カツラを被ったまま授業を受けるが当然教師は、それを疑問に思うのだった。
「えっと、宇界さんその髪は、何ですか?」
「子供には、子供の事情があるんです」
一条先生の質問に真央は、そう答えるのだった。
それからも真央は、カツラを被ったまま生活し放課後になるのだった。
「よし、一日終わったな」
「長い一日でしたね」
「真理亜の様子を見にお見舞いにでも行くか」
「そうですね、賛成です」
「そうだな、僕も真理亜の様子が見たいしな」
「え? 皆どうしたの真理亜ちゃんならここにいるでしょ?」
「お前は、何を言ってるんだ、真央そろそろ外して良いぞ」
「そうだな、僕もいい加減カツラがかゆくてしょうがなかったんだ」
真央は、そう言ってカツラを外す。
「て、うわ!? 真理亜ちゃんが真央姉さんになった!?」
「真理亜は、今日風邪で欠席だっただろ」
「え? そうだったの?」
「お前の頭は、どう言う記憶能力を持ってるんだ」
「まあまあ、それよりこれから真理亜さんのお見舞いに行きましょう」
「そうだね、真理亜ちゃんがどんな様子か気になるし、皆今すぐレッツゴー!!」
彩音の言葉と共に真理亜の家にお見舞いに行くのだった。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。




