第250話 学園祭準備
前書き番外編 「ギギルの冒険 第1話」
人間界の海の中を優雅に泳ぐ人影。
その姿は人の姿をしたイカだった。
彼の名はギギル、真理亜の命を狙おうとした水棲魔族だがレイアとの戦いで敗北しその後は人間界の海の広さが気に入り今日も海の中を泳いでいる。
人間界ではイカ人間と言う未確認生物として知られていて時々陸に上がっては目撃されたり写真を撮られたりしている。
まあ、そんな事もあり今日も彼は泳いでいるがそんなギギルに襲い掛かる影が、それは大きなサメだった。
サメはギギルを喰らおうと口を大きく開けて襲うが気づいたギギルはパンチを一撃当ててサメを返り討ちにする。
ギギルはちょうど腹も減っていたのでそのサメを食べるのだった。
サメを食べ終えたギギルはいつものように海を泳いでいくのであった。
続く。
魔王シャロが人間界から元の世界に帰ってから数日。
テストも無事終えた真央達は学園祭へ向けての話し合いをしていた。
「と言うわけで、私達の組はメイド喫茶をする事に決まりました」
委員長の言葉に全員が拍手をする。
ちなみに真央達四年一組の委員長は沙月である。
「メイド喫茶に決まったので今からそれに向けての準備を始めたいと思いますが、まず必要な物を言ってください」
「やっぱメイド服だね」
「喫茶店に出すメニューも考えないとね」
「メイドさんとしての作法もやった方が良いかも」
次々と意見を言い黒板に書いていく。
「えーっと、まずメニューについてだが、これはまあホットケーキとかオムライス辺りを出して置けば大丈夫だし、それ以外にも数種類あれば問題ないし、作るのは私や料理経験がある人がやれば良いから大丈夫だな」
沙月の言葉に全員が頷く。
「次にメイドさんの作法だが、まあメイド喫茶だからそれ関係のが出ているアニメとか漫画を見れば大体問題ないから、メイドとして接する人はちゃんと見ておくように」
これも全員が頷く。
「さて、問題はメイド服だな」
「それについてなら大丈夫だよぉ」
沙月の言葉に亜子が答える。
「ん? 亜子何かあるのか?」
「うん、私達のクラスにはあの子がいるでしょぉ」
亜子の言葉に全員がハッとする。
「じゃあ、聞いての通り、針ヶ谷さん、お願いできる?」
「はーい、任せてー」
亜子に呼ばれて答える少女。
「私が全員分のメイド服をかわいく作ってあげるよー」
「奈木か、確かに奈木ならメイド服の問題も解決だな、じゃあ皆、これで問題はないか?
沙月の問いに全員が頷く。
「とりあえず現時点での問題はこれで解決だけど途中で思いついたらその都度解決しよう」
こうして話し合いは終えるのだった。
「じゃあ、皆のサイズを測るよー」
そう言って奈木はメジャーを取り出す。
「やるのは良いけど一人で大丈夫なのか?」
「問題ないよ宇界さん、彼女は針ヶ谷奈木、裁縫クラブに所属していて彼女のおばあさんはかつて超有名な天才ファッションデザイナーで今でもファッション業界で顔が利くらしいよぉ、しかもそのおばあさんから才能があると言われて将来はそっちの道に進んでほしいと願っていて針ヶ谷さんの両親にも薦めてるそうだよぉ、確かに私もこの目で見たけど彼女の裁縫の作業スピードは小学生にしてはとても早いよぉ」
「そうなんだ、凄い子だな」
「いやー、そう言われると照れるなー、でもおばあちゃんに比べたら私なんかまだまだだから日々精進してるんだよ」
「努力するのは良い事だ」
「ありがとう、それじゃあ早速真央ちゃんのサイズを測らせてもらうね」
「わかった」
真央は奈木に言われた通りにサイズを測ってもらう。
それからクラス全員のサイズも測り終える。
「はい、全員分測ったよ、大体一週間あればできるから楽しみに待っててね」
それから一週間後。
「できたよー」
「本当に有言実行だな」
奈木の作業スピードに沙月は驚く。
「早速作ってみたけど、真理亜ちゃん着てみて」
「うん、良いよ」
真理亜は奈木に言われてメイド服を着る。
「どうかな?」
「わあ、かわいい」
「凄く似合う」
「えへへ」
「真理亜ちゃん、凄くかわいいよ~、かわいいよ~」
「お前、気持ち悪いぞ」
彩音も真理亜のメイド服姿を見てだらしなくニヤけている。
「でも、奈木これちょっと」
沙月は困った顔をする。
「そうですね、少し露出が多いような」
唯も同意するように言う。
真理亜の着ているメイド服は胸の部分が見えたり肩が出てたりと一般的にはそんなに変と言うわけではないが小学生が着るには大丈夫なのかと思われるデザインだった。
「え? そんなに変かな?」
「いや、一般的に見れば変って感じはしないと思うけど」
「確かに、お腹を見せたりとかスカートが短すぎて見えてしまうとかそんな感じじゃなくて、胸の部分が少し見えて肩とか出すだけだから、そんなにと言うほどではありませんが少なくとも小学生の私達が着るにはギリギリアウトのラインではないかと」
唯の言葉に皆も言われて見ればと言う考えに至る。
「そうかな? せっかく作ったこのメイド服用のオプションも持って来たのに」
「オプション?」
「うん、真理亜ちゃん、はいこれで目隠しして」
「? うん、良いよ」
奈木に言われるがままに真理亜は黒い布で目隠しをする。
「うん、それから両手を後ろにして」
「うん」
真理亜は両手を後ろにすると奈木は子供の遊び用のおもちゃの手錠で後ろ手に拘束する。
「それで首にこれを付けて」
奈木は真理亜の首に首輪をつける。
リールの部分は鎖である。
「はい、真央ちゃんこれを持って、それで真理亜ちゃんは正座して首を上に向けて」
言われるがままに真央は鎖の部分を持ち真理亜は正座して首を上に向ける。
「はい、完成!! 立派な女主人とそのメイドの主従関係でしょ?」
「いや、何やってんだよ!!」
黙って見ていた沙月がツッコむ。
「何だよこれ!! 何となく黙って見てたけど、完全にヤバい奴じゃないか!!」
「そうですね、これはどう見てもヤバいですよね」
沙月と唯の言葉に何となく黙って見ていた他のクラスメイト達も頷く。
「え? さっちゃん、唯ちゃんどうしたの? 何で私の目と耳を塞いでるの?」
彩音は沙月と唯に目と耳を塞がれて何が起きてるかわからない。
「唯、絶対に離すなよ」
「わかってますよ、離した瞬間この教室が真っ赤な血に染まり死体が一つできますからね」
「・・・・・・奈木、僕も流れに乗ってやったけど、そろそろ真理亜を解放してくれないか?」
「うーん、私的にはもう一つこれで口を塞げば完璧なんだけど」
「解放してくれないか?」
「うん、わかったよ」
真央の謎の威圧感を受けたのか、奈木は引き下がるのだった。
真央は真理亜の首輪と手錠を外し最後に目隠しを取り解放する。
「真理亜、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だけど?」
「真理亜、何でも素直に言う事を聞くものじゃないぞ」
「え?」
「今のだって嫌なら嫌ってハッキリ言うべきだ」
「え? 別に私嫌じゃなかったよ?」
「え?」
「だって奈木ちゃんがそうしてって言ったんだからきっと何か必要な事なんだろうなって思ったから」
「いや、深い意味はないかもしれないぞ、ただ冗談でやっただけかもしれないし」
「そうだったとしても、友達なんだからきっと酷い事はしないと思ったから本当に嫌じゃなかったよ」
真理亜は笑顔で答える。
「・・・・・・真理亜ちゃん」
「ん?」
「本当に申し訳ありませんでしたー!!」
真理亜の純真無垢な心に良心の呵責に耐え切れなかったのか奈木が土下座で謝罪する。
「え?」
他の皆は当然だなと思っているが真理亜だけは何が何だかわからなかった。
「なあ奈木、まさかこれを全員分作ったのか?」
「うんにゃ、本当は露出の少ない清楚な感じの普通のメイド服を作ったよ、はいこれ」
そう言って奈木はもう一つのメイド服を見せる。
先程のメイド服と違い露出も少なく本当に屋敷にいる使用人達が着る清楚な感じのメイド服である。
「こっちは全員分作って真理亜ちゃんが着てるのは材料が余ってたからラノベとかに出て来そうなメイド服を作ったんだよ」
「・・・・・・さ」
「さ?」
「最初からこっちを出せよー!!」
沙月のツッコミに全員が頷くのだった。
こうして文化祭の準備は着々と進んで行くのだった。
そして真央は。
(真理亜のこの穢れを知らない純粋さはどうにかしないといけないかもな、将来的に危険で心配だ)
叔母として姪の真理亜を心配するのだった。
そして学園祭当日を迎えるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
前書きに書いてあるのは世界中で有名な漫画の扉絵のストーリー的なアレです。
主要キャラ以外のキャラの番外編を書きたいと思ったので前書きの部分を使わせていただきました。
何も言われなければ続きを書こうと思います。
同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。




