第243話 シャロ、人間界に現れる 4 シャロ、真理亜達と出会う
「しっかし、まさか破壊、破滅、首狩りが五大幹部だったとは、レイア一体どうやって配下にしたのだ?」
「どうやってって普通に戦ったら配下になってたとしか」
「さすがなのだ、あの三国もあれだけ圧倒されたらもう戦争を仕掛けて来ないのだ」
「そうか」
「少し休んだから今度は、食べ物では、なくどこか楽しいとこに行きたいのだレイア行くのだ!!」
お菓子に満足したのかシャロは、今度は、楽しいとこに行きたいようだ。
「ああ、わかったよ」
「あれ、真央ちゃん?」
レイアが行こうとした時一瞬止まり声のした方を向く。
するとそこには、真理亜達がいた。
「ま、真理亜」
「やっぱり真央ちゃんだ」
「真央姉さん」
「おお、奇遇だな、一人で外を歩いてたら偶然皆と会ってさそれでみんなで遊ぶ事になったんだ」
「真央さんとも会えてこれで全員ですね」
今日は、遊ぶ約束を特にしていなかったが偶然いつものメンバーが揃ったのである。
「・・・・・・」
普段ならレイアもこの状況は、喜ぶべきだが今の状況は、非常にマズいと感じている。
「ん? レイア、この人間の子供達は、何なのだ?」
「!!」
シャロの言葉にレイアは、すぐさま振り向く。
「真央ちゃん、誰かと一緒にいるの?」
真理亜が首を傾げながら問う。
「あ、えっと」
「真央姉さんこのお姉さんは、誰なの?」
「む? おい、そなたお姉さんとは、我の事か?」
「え? そうだけど」
「そうかそうか、そなた人間の子供にしては、見る目があるのだ」
彩音の言葉にシャロは、満足そうに頷く。
「人間の子供って、何を言ってるんだ?」
沙月は、シャロを不思議な感じに見る。
「ところで真央さんの事をレイアって言ってませんでした?」
唯の言葉にレイアは、ギクリとする。
「あ、いや、その」
「レイア、どうしたのだ? 何を困惑しておるのだ?」
「お前、ちょっとこっち来い」
レイアは、シャロを掴んで真理亜達と少し離れて話す。
「何なのだ?」
「シャロ、人間界では、僕は、宇界真央と言う名前で過ごしてるんだ、本名で言うな」
「そう言えばそんな事言ってたような」
「良いか、とにかく話を合わせろ」
「わかったのだ」
レイアとシャロは、再び真理亜達の元に戻って行く。
「皆、こっちは、シャロと言って僕の友達だ」
「友達って前に真央ちゃんが言ってた自分の国の友達?」
「ああ、そうだ」
「そうなのだ、我は、レ・・・いやマオの友達なのだ」
シャロは、レイアに話を合わせる。
「そうなんだ、真央姉さんの友達だったんだ」
「年上の友達なんだな」
「シャロさんと言うんですね、とても素敵な名前です」
「そうなのだ、我は、魔王だからな、人間の子供よ我の名を褒めるとは、中々なのだ」
「「「「魔王?」」」」
「お前」
レイアは、シャロを見る。
「ん? どうしたのだ、レイア?」
「だから僕は、レイアじゃないって言ってるだろ」
「だって人間界での名は、呼びにくいのだ」
「・・・・・・」
レイアは、シャロの言葉に頭を抱えそうになる。
(マズい、どうすればいい? このままじゃ真理亜達に変に思われる)
レイアは、今どうすれば良いのか必死に考えている、シャロの爆弾発言により真理亜達にどううまくごまかせば良いのかを考えている。
リズもガリウスもこの状況をどうすべきか困惑している。
「「「「・・・・・・」」」」
真理亜達は、真央の困ったような顔を見る。
⦅・・・・・・ハッ!!⦆
その時、真理亜達は、理解した。
「なあ、真央」
「ん?」
「その、言いにくいよな、ああ言う子が友達だと」
「え?」
沙月の言葉に真央は、疑問の声を上げる。
「そうだよね、自分で魔王とか言ってるし」
「そう言った人達もいますからね、魔王と言う設定で自分をキャラづけてカッコいいって感じる時期があるって聞いた事ありますし」
「確か中二病とか言ったな」
「???」
沙月達の会話に真央は、ただ頭に?マークが浮かんでいる。
「真央ちゃん、大丈夫だよ、私達真央ちゃんがどんな友達がいてもそれで真央ちゃんに対する態度が変わったりしないよ」
真理亜の言葉に全員が頷く。
「そのレイアって言うのも真央さんが一緒に遊んでいる時に呼び合っている、ニックネームみたいなものですよね」
「ああ、人間界って言うのも自分が魔王でこの世界に来ているって言う設定だろうな」
「ああ・・・・・・そうだな」
真理亜達がうまい具合に勘違いしているので真央は、そのまま通す事に決めた。
「えっと、お姉さんは、魔王なんですか?」
彩音がシャロに問う。
「その通りなのだ、我は、魔の十王第三魔王のシャロなのだ」
「かなり凝った設定だな」
「魔の十王、第三魔王って事は、まだ他にも九人魔王がいるって設定ですね、おそらく真央さんもその中に含まれているって事でしょうね」
「思ったより私達の常識を超えた領域に足を踏み入れてるな」
「この手の場合は、意外と現実との区別を理解できていると思うんですよ、だから無理に現実的な事を言わない方が良いと思いますね」
「と言う事は、私達は、あのお姉さんの話に合わせれば良いのか?」
「そうなりますね」
「わかった、皆話を合わせよう」
沙月の言葉に真理亜達は、頷くのだった。
(僕が何もしなくても、大丈夫だな)
レイアは、ごまかす必要がないと判断して考えるのをやめた。
「あー、魔王シャロ様、一体何でこの人間界に来たのですか?」
「ほお、そなた達我が魔王と言っても素直に信じるのだな? 大抵の者は、我が魔王と言っても皆、鼻で笑って舐めた態度を取っていたのだ」
「そりゃ、冗談で言うとは、思えなかったので」
「そうかそうか、やはり人間界の人間達は、理解力が高いのだ、我のいた世界の人間共とは、大違いなのだ」
シャロは、上機嫌になる。
「我が人間界に来た理由は、我の友であるレイア、いやこっちでは、マオと言う名前だったのだ、友達に会いに来てついでに帰る前にこの人間界を楽しもうと思ったのだ」
「そうだったんですか」
「それなら私達と一緒に来ませんか? 人間界に来たのなら人間界に住む人達に案内してもらった方が良いと思いますよ」
「ふむ、それもそうだな、で、そなた達が我を案内してくれるのか?」
「私達でよろしければ案内しますよ」
「それは、面白いのだ、頼むのだ」
唯の言葉に同意したシャロは、真理亜達に案内してもらう事になった。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。